カットオフ周波数の計算は、フィルタ回路の設計において最初に行うべき基本計算です。
RC回路・RL回路・LC回路などの回路タイプによって計算公式が異なるため、それぞれの公式を正確に理解し使い分けることが精確なフィルタ設計の基礎となります。
本記事では、各種回路のカットオフ周波数の計算公式・導出の考え方・具体的な計算例・設計への活用方法について詳しく解説していきます。
目次
RC回路のカットオフ周波数計算
それではまず、最も基本的なRC回路のカットオフ周波数計算について解説していきます。
RCローパスフィルタの計算公式と例
RCローパスフィルタのカットオフ周波数
fc = 1 / (2π × R × C)
計算例1:R = 1 kΩ、C = 0.1 μF
fc = 1 / (2π × 1000 × 0.1×10⁻⁶)≈ 1592 Hz ≈ 1.59 kHz
計算例2:fc = 10 kHz に設定したいとき R = 10 kΩ の場合
C = 1 / (2π × fc × R)= 1 / (2π × 10000 × 10000)≈ 1.59 nF
RCハイパスフィルタも同じ公式fc = 1/(2πRC)でカットオフ周波数が求められます。コンデンサーと抵抗の位置が入れ替わるだけで、カットオフ周波数の計算式は同一です。
RCフィルタ設計のための逆算(RまたはCの求め方)
目標カットオフ周波数からR・Cを求める逆算式
R = 1 / (2π × fc × C)
C = 1 / (2π × fc × R)
設計例:fc = 1 kHz、R = 10 kΩ の場合のCを求める
C = 1 / (2π × 1000 × 10000)≈ 15.9 nF → 標準値16 nF を選択
RL回路のカットオフ周波数計算
続いては、RL回路のカットオフ周波数計算について確認していきます。
RLフィルタのカットオフ周波数公式と計算例
RLローパスフィルタのカットオフ周波数
fc = R / (2π × L)
計算例:R = 100 Ω、L = 1 mH
fc = 100 / (2π × 0.001)≈ 15,915 Hz ≈ 15.9 kHz
RCフィルタとRLフィルタの違いは、RC回路では周波数が高くなるとコンデンサーのインピーダンスが下がって出力が小さくなるのに対し、RL回路では周波数が高くなるとコイルのインピーダンスが増加して出力が小さくなるという点です。
LC回路のカットオフ周波数(共振周波数)計算
続いては、LC回路(LCフィルタ)のカットオフ周波数計算について確認していきます。
LC共振回路の共振周波数(カットオフ周波数)計算
LC共振回路の共振・カットオフ周波数
f₀ = 1 / (2π × √(L × C))
計算例:L = 1 mH、C = 1 μF
f₀ = 1 / (2π × √(0.001 × 1×10⁻⁶))
= 1 / (2π × √(10⁻⁹))= 1 / (2π × 10⁻⁴·⁵)≈ 5033 Hz ≈ 5.03 kHz
LCフィルタの遮断特性は1次RCフィルタより急峻な-40 dB/decadeのロールオフを実現できるため、高周波ノイズの除去効率が高い特徴があります。
各回路のカットオフ周波数公式まとめ
| 回路タイプ | カットオフ周波数公式 | ロールオフ |
|---|---|---|
| RC(1次) | 1/(2πRC) | -20 dB/decade |
| RL(1次) | R/(2πL) | -20 dB/decade |
| LC(2次) | 1/(2π√(LC)) | -40 dB/decade |
| RLC(2次) | 1/(2π√(LC))(共振) | 設計による |
高次フィルタのカットオフ周波数と設計上の注意点
続いては、高次フィルタにおけるカットオフ周波数の取り扱いと設計上の注意点について確認していきます。
多段接続と-3dBポイントのシフト
同一のカットオフ周波数を持つRCフィルタを2段直列接続(2次フィルタ)にすると、全体のカットオフ周波数は各段のfcより低下します。
2段RCフィルタの実効的な-3dBカットオフ周波数はfc_actual = fc / √(2^(1/n) – 1)で補正する必要があり、設計カットオフ周波数を達成するには各段のfcをやや高めに設定する必要があります。
実際の部品誤差とカットオフ周波数のずれ
設計したカットオフ周波数が実際の回路で実現されるかどうかは、使用する抵抗・コンデンサー・コイルの精度(公差)に依存します。
精密なカットオフ周波数が要求される用途では、1%精度の抵抗・NPO/C0G特性のコンデンサーなど低公差部品の使用が推奨されます。
まとめ
本記事では、RC・RL・LC回路のカットオフ周波数計算公式・具体的な計算例・逆算方法・高次フィルタへの注意点について詳しく解説しました。
RC回路のカットオフ周波数はfc = 1/(2πRC)、RL回路はfc = R/(2πL)、LC回路はf₀ = 1/(2π√(LC))という各公式が基本です。
目標カットオフ周波数から部品定数(R・C・L)を逆算する設計手順を習得することで、実用的なフィルタ設計が自在に行えるようになるでしょう。