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格子定数とは?物理での意味をわかりやすく解説!(結晶格子・原子間距離・結晶構造・単位格子・周期性など)

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固体物理学や結晶学を学ぶ際に必ず登場するのが「格子定数」という概念です。

結晶材料の性質を理解するうえで格子定数は根本的な情報であり、X線回折測定などで日常的に使われる重要なパラメータです。

本記事では、格子定数の定義・結晶格子との関係・原子間距離との違い・単位格子の概念・代表的な結晶での値までをわかりやすく解説していきます。

目次

格子定数とは何か?定義と結晶格子の基本概念

それではまず、格子定数の定義と、それが記述する結晶格子の基本的な概念について解説していきます。

格子定数とは、結晶の単位格子(基本繰り返し単位)の辺の長さと辺間の角度を表すパラメータです。

一般的な結晶の単位格子は六つの格子定数によって完全に記述されます。

格子定数:a, b, c(単位格子の三辺の長さ)

     α, β, γ(三辺のなす角度)

立方晶の場合:a = b = c、α = β = γ = 90°なのでaのみで記述

単位格子の概念

結晶は原子・イオン・分子が三次元的に周期的に配列した構造を持っています。

この周期的配列の最小繰り返し単位を単位格子(unit cell)と呼び、単位格子を並べることで結晶全体が再現されます。

格子定数は単位格子の形と大きさを定量的に表すパラメータです。

格子定数と原子間距離の違い

格子定数と原子間距離は混同されやすいですが、概念が異なります。

格子定数は単位格子の辺の長さであり、最近接原子間距離は格子定数と結晶構造(原子の配置)から計算されます。

たとえば体心立方格子(BCC)の最近接原子間距離は a√3/2 であり、格子定数aそのものではありません。

格子定数の単位

格子定数の単位は一般にオングストローム(Å)またはナノメートル(nm)が使われます。

1 Å(オングストローム) = 10⁻¹⁰ m = 0.1 nm

原子・イオン半径のオーダーが約0.1〜0.3 nmのため、格子定数は数Å〜数十Åの値を取ることが多い

SI単位系ではpmまたはnmが推奨されますが、固体物理・結晶学の文献ではÅが慣習的によく使われます。

代表的な結晶構造と格子定数の値

続いては、代表的な結晶構造のタイプと、よく知られた物質の格子定数の値を確認していきます。

物質 結晶構造 格子定数
鉄(Fe) 体心立方(BCC) a = 2.87 Å
アルミニウム(Al) 面心立方(FCC) a = 4.05 Å
銅(Cu) 面心立方(FCC) a = 3.62 Å
シリコン(Si) ダイヤモンド構造 a = 5.43 Å
塩化ナトリウム(NaCl) 岩塩構造 a = 5.64 Å

立方晶系の三種類

立方晶系は単純立方(SC)・体心立方(BCC)・面心立方(FCC)の三種類があります。

いずれも a = b = c、α = β = γ = 90° という条件を満たし、格子定数は一つのパラメータaだけで表されます。

金属結晶の多くはFCCまたはBCC構造を取り、格子定数は数Åのオーダーです。

六方晶系の格子定数

六方晶系では a = b ≠ c、α = β = 90°、γ = 120° という条件があります。

チタン(Ti)やマグネシウム(Mg)などは六方最密充填(HCP)構造を取り、格子定数a・cの二つのパラメータが必要です。

温度・圧力による格子定数の変化

格子定数は温度・圧力によって変化します。

温度上昇とともに熱膨張により格子定数が増大し、圧力増加とともに格子定数が減少します。

熱膨張係数や弾性定数の測定にはX線回折による格子定数の精密測定が活用されます。

格子定数の測定方法と求め方

続いては、格子定数の実験的な測定方法について確認していきます。

X線回折(XRD)による格子定数の決定

格子定数の測定にはX線回折(X-ray diffraction:XRD)が最も広く使われています。

X線が結晶に照射されると、特定の角度でブラッグの法則 2d sinθ = nλ を満たす反射が観測されます。

ブラッグの法則:2d sinθ = nλ

d:面間隔(格子定数から計算)

θ:回折角(測定値)

λ:X線の波長(既知)

n:整数(回折の次数)

回折ピークの角度θからd間隔を求め、ミラー指数を組み合わせることで格子定数が決定されます。

立方晶での格子定数計算式

立方晶の場合、面間隔dと格子定数aの関係は次のとおりです。

1/d² = (h² + k² + l²)/a²

h, k, l:ミラー指数(回折面を表す整数)

したがって:a = d√(h² + k² + l²)

格子定数の精密化:リートベルト法

現代のXRD解析では、リートベルト法(Rietveld refinement)と呼ばれる粉末回折パターン全体のフィッティングによって格子定数を高精度に決定します。

この方法では格子定数だけでなく、原子位置・占有率・温度因子なども同時に精密化できます。

まとめ

本記事では、格子定数の定義・単位格子との関係・代表的な結晶の格子定数値・X線回折による測定方法について解説しました。

格子定数は結晶の単位格子の辺長と角度を表すパラメータであり、材料の電気的・機械的・熱的性質と深く関係する基本的な物性値です。

X線回折とブラッグの法則による測定・立方晶系の計算式・温度依存性などを合わせて理解することで、格子定数を活用した材料解析の理解が深まるでしょう。

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