等比数列の一般項とは?求め方や公式をわかりやすく解説(等差数列との違い・計算方法・数学・高校数学など)
高校数学の数列分野において、「等比数列」は等差数列とならんで最も重要な数列のひとつです。
一定の比率で増えたり減ったりする数列の規則性を表す「等比数列の一般項」は、受験数学はもちろん、金融の複利計算・人口増加モデル・放射性物質の減衰など様々な現実の現象のモデルとして広く活用されています。
本記事では、等比数列の一般項の定義・公式の導出・具体的な求め方・等差数列との違い・計算問題のパターンまで、わかりやすく丁寧に解説していきます。
高校数学を学ぶ生徒の方から、数列の基礎を復習したい社会人の方まで、役立つ内容です。
等比数列の一般項とは?公式と本質をひとことで言えば
それではまず、等比数列の定義と一般項の公式について解説していきます。
等比数列とは、隣り合う項の比が常に一定の数列のことです。
この「一定の比」を「公比(common ratio)」と呼び、一般にrで表します。
等比数列の定義と公比
等比数列の定義
数列 {aₙ} が等比数列 ⟺ 隣り合う項の比が一定
すなわち a_{n+1} / aₙ = r(一定)(ただし aₙ ≠ 0)
または a_{n+1} = r・aₙ という漸化式で定義されることもある。
公比 r = 第(n+1)項 / 第n項(どの隣接する2項でも同じ値)
例:2, 6, 18, 54, 162, …
→ 各項は前の項の3倍になっている → 公比 r = 3
公比rの値によって数列の振る舞いが変わります。
r > 1 のとき、数列は増加(例:2, 4, 8, 16, …)します。
0
r
r = 1 のとき、すべての項が同じ値(定数数列)になります。
等比数列の一般項の公式と導出
等比数列の第n項(一般項)aₙは、初項a₁と公比rを使って以下の公式で表されます。
等比数列の一般項の公式(最重要)
aₙ = a₁ × r^(n−1)
a₁:初項(第1項の値)
r:公比(隣り合う項の比)
n:第n項(nは自然数)
公式の導出:
a₁ → a₂ = a₁r → a₃ = a₁r² → a₄ = a₁r³ → … → aₙ = a₁r^(n−1)
第n項は初項にrを(n−1)回掛けた値。
この公式「aₙ = a₁r^(n−1)」が等比数列の一般項の基本公式です。
具体的な数値例での一般項の計算
| 初項a₁ | 公比r | 一般項aₙ | 第5項a₅の値 |
|---|---|---|---|
| 2 | 3 | aₙ = 2×3^(n−1) | 2×3⁴ = 2×81 = 162 |
| 64 | 1/2 | aₙ = 64×(1/2)^(n−1) | 64×(1/2)⁴ = 64/16 = 4 |
| 1 | −2 | aₙ = (−2)^(n−1) | (−2)⁴ = 16 |
| 5 | 1 | aₙ = 5×1^(n−1) = 5 | 5(全項が5) |
等比数列の一般項の求め方(問題パターン別)
続いては、等比数列の一般項を求める具体的な問題パターンと解法について確認していきます。
試験でよく出るパターンを把握しておくことで、様々な問題に対応できます。
パターン1:初項と公比が直接与えられる場合
最もシンプルなパターンは「初項a₁ = ○、公比r = ○」と直接与えられている場合です。
パターン1の解法例
初項3、公比2の等比数列の一般項を求めよ。
解:公式 aₙ = a₁ × r^(n−1) に代入
aₙ = 3 × 2^(n−1)
確認:a₁ = 3×2⁰ = 3✓、a₂ = 3×2¹ = 6、a₃ = 3×2² = 12、…
パターン2:数列の具体的な値から初項・公比を求める場合
第m項と第n項の値が与えられ、そこから初項と公比を求めるパターンです。
パターン2の解法例
第2項が6、第4項が54である等比数列の一般項を求めよ。
解:
a₂ = a₁ × r¹ = 6 ···①
a₄ = a₁ × r³ = 54 ···②
② ÷ ① より r² = 54/6 = 9 → r = ±3
①より a₁ = 6/r
r = 3 のとき:a₁ = 6/3 = 2 → aₙ = 2 × 3^(n−1)
r = −3 のとき:a₁ = 6/(−3) = −2 → aₙ = −2 × (−3)^(n−1)
(どちらも条件を満たすため、両方答える)
パターン3:漸化式から一般項を求める場合
「a_{n+1} = r × aₙ」という漸化式(隣接2項間の漸化式)から一般項を求めるパターンです。
パターン3の解法例
a₁ = 4、a_{n+1} = (1/2)aₙ を満たす数列の一般項を求めよ。
解:この漸化式は a_{n+1}/aₙ = 1/2(公比r = 1/2)を意味する。
よって等比数列であり、一般項は
aₙ = a₁ × r^(n−1) = 4 × (1/2)^(n−1) = 4 / 2^(n−1) = 2^2 / 2^(n−1) = 2^(3−n)
または aₙ = 4 × (1/2)^(n−1) のままでも可。
等比数列と等差数列の違い
続いては、等比数列と等差数列の本質的な違いについて確認していきます。
両者の違いを正確に理解することで、数列の問題で「等差か等比か」の判断が素早くできるようになります。
定義上の違い
等差数列と等比数列の最大の違いは「隣り合う項の関係」です。
| 比較項目 | 等差数列 | 等比数列 |
|---|---|---|
| 隣り合う項の関係 | 差が一定(a_{n+1} − aₙ = d) | 比が一定(a_{n+1} / aₙ = r) |
| 特徴的な定数 | 公差d | 公比r |
| 一般項の公式 | aₙ = a₁ + (n−1)d | aₙ = a₁ × r^(n−1) |
| グラフの形 | 一次関数(直線) | 指数関数(曲線) |
| 増加の仕方 | 一定量ずつ増加(加法的) | 一定倍率で増加(乗法的) |
| 現実の例 | 毎月一定額の貯金・等速運動の距離 | 複利計算・人口増加・放射性崩壊 |
等差数列と等比数列の判別方法
数列が与えられたとき、等差か等比かを判別するには以下の手順を使います。
まず隣り合う項の差(a_{n+1} − aₙ)が一定かどうかを確認します。
差が一定であれば等差数列です。
次に差が一定でなければ、隣り合う項の比(a_{n+1} / aₙ)が一定かどうかを確認します。
比が一定であれば等比数列です。
例:数列 3, 6, 12, 24, 48 について確認すると、差は 3, 6, 12, 24(一定でない)、比は 2, 2, 2, 2(一定)→ 公比2の等比数列と判別できます。
等比数列の等比中項
等比数列において、隣り合う3つの項 a, b, c が等比数列をなすとき、bを「等比中項(geometric mean)」と呼びます。
等比中項の条件
a, b, c が等比数列をなす(公比が一定)
⟺ b/a = c/b(比が等しい)
⟺ b² = ac(等比中項の条件)
比較:等差中項の条件は b = (a + c)/2(算術平均)
等比中項:b = ±√(ac)(幾何平均)
例:a = 4, c = 9 のとき等比中項 b = ±√(4×9) = ±6
(b = 6 なら 4, 6, 9 は比 3/2 の等比数列)
等比数列の和の公式と応用
続いては、等比数列の和の公式と実際の計算への応用について確認していきます。
一般項の理解の上に立って、等比数列の和の公式も合わせて習得しておきましょう。
等比数列の和の公式
等比数列の和の公式
初項a₁、公比r、項数nの等比数列の和Sₙ:
r ≠ 1 のとき:Sₙ = a₁(1 − rⁿ)/(1 − r) = a₁(rⁿ − 1)/(r − 1)
r = 1 のとき:Sₙ = na₁(全項が同じなので単純にn倍)
公式の導出:
Sₙ = a₁ + a₁r + a₁r² + … + a₁r^(n−1)
rSₙ = a₁r + a₁r² + … + a₁r^(n−1) + a₁rⁿ
Sₙ − rSₙ = a₁ − a₁rⁿ
Sₙ(1 − r) = a₁(1 − rⁿ)
Sₙ = a₁(1 − rⁿ)/(1 − r)(r ≠ 1)
等比数列の和の計算例
等比数列の和の計算例
【例1】初項2、公比3、項数5の等比数列の和
S₅ = 2(1 − 3⁵)/(1 − 3) = 2(1 − 243)/(−2) = 2×(−242)/(−2) = 242
確認:2 + 6 + 18 + 54 + 162 = 242 ✓
【例2】初項100、公比1/2、項数6の等比数列の和
S₆ = 100×(1 − (1/2)⁶)/(1 − 1/2) = 100×(1 − 1/64)/(1/2)
= 100 × (63/64) × 2 = 100 × 63/32 = 6300/32 = 196.875
無限等比級数(|r|
公比の絶対値が1未満(|r|
無限等比級数の公式
|r|
(無限項の和が有限値に収束)
|r| ≥ 1 のとき:発散(無限大または振動)
例:初項1、公比1/2の無限等比級数
S = 1 + 1/2 + 1/4 + 1/8 + … = 1/(1 − 1/2) = 1/(1/2) = 2
(ゼノンのパラドックスに登場する有名な級数)
まとめ
本記事では、等比数列の定義・一般項の公式(aₙ = a₁r^(n−1))とその導出・具体的な求め方のパターン・等差数列との違い・等比中項・和の公式・無限等比級数まで幅広く解説してきました。
等比数列の一般項の核心は「aₙ = a₁ × r^(n−1)(初項に公比を(n−1)回掛ける)」という公式にあり、この公式を使いこなすことが等比数列問題の基本です。
等差数列(差が一定・一次関数的増加)との違い、漸化式から一般項を求める方法、和の公式との組み合わせをしっかりと習得することで、数列分野の問題に幅広く対応できる力が養われるでしょう。