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摩擦速度の求め方は?公式と計算方法も!(u*:せん断速度:壁面摩擦応力:流体密度:単位:次元解析など)

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乱流解析や境界層の研究で必要になる摩擦速度(u*)を実際に計算したいとき、「どの公式を使えばいいか」「壁面せん断応力をどう求めるか」という疑問に直面することは多いでしょう。

摩擦速度の計算自体は公式を理解すればシンプルですが、壁面せん断応力の取得方法・次元解析の確認・具体的な計算手順には複数のアプローチがあります。

本記事では、摩擦速度の公式と計算方法を基本公式の確認から始まり、壁面せん断応力の算出方法・次元解析・具体的な計算例・各種の応用的な求め方まで、実践的に解説していきます。

流体力学・乱流工学・環境流体力学の学習者から実務技術者まで、幅広い方々に役立つ内容です。

目次

摩擦速度の基本公式と次元解析

それではまず、摩擦速度の基本公式と次元解析について解説していきます。

摩擦速度の基本公式は次のように定義されます。

摩擦速度の基本公式:u* = √(τ_w / ρ)

τ_w:壁面せん断応力(Pa = N/m² = kg/(m・s²))

ρ:流体密度(kg/m³)

u*の次元:[kg/(m・s²) / (kg/m³)]^(1/2) = [m²/s²]^(1/2) = m/s ✓

単位が速度(m/s)になることが確認できます。

次元解析からも、この定義が物理的に整合していることがわかります。

壁面せん断応力をρで割って平方根を取るという操作は、圧力差から速度を導くベルヌーイの式と同じ「エネルギー密度→速度」という変換の一種です。

摩擦速度は「壁面摩擦のエネルギー密度(τ_w / ρ)に対応する速度スケール」として解釈することもできます。

壁面せん断応力の求め方:各種アプローチ

続いては、壁面せん断応力(τ_w)の求め方を各種アプローチで確認していきます。

摩擦速度を計算する際の最初の課題が壁面せん断応力(τ_w)の取得です。

圧力損失から求める方法(管内流れ)

円管内の完全発達乱流では、力の釣り合いから壁面せん断応力を圧力損失と直接結びつけることができます。

圧力損失を用いた壁面せん断応力の計算

力の釣り合いから:τ_w × (2π r L) = ΔP × π r²

τ_w = ΔP × r / (2L) = ΔP × D / (4L)

D:管径(m)、ΔP:圧力損失(Pa)、L:管長(m)、r:半径(m)

例:D = 0.05 m、L = 10 m、ΔP = 500 Pa の場合

τ_w = 500 × 0.05 / (4 × 10) = 6.25 Pa

この方法は実験的にも計算的にも最も直接的な手法であり、実務での管内乱流解析で広く使われています。

摩擦係数から求める方法

ダルシー・ワイスバッハの摩擦係数(f)を用いた壁面せん断応力の計算も実用的です。

摩擦係数を用いた計算

τ_w = f × (ρ × U_m²) / 8(ダルシー摩擦係数 f を使う場合)

または:τ_w = C_f × (ρ × U_m²) / 2(スキン摩擦係数 C_f を使う場合)

ここで C_f = f / 4(ファニング摩擦係数)との関係がある

摩擦速度への変換:

u* = √(τ_w / ρ) = U_m × √(f / 8) = U_m × √(C_f / 2)

例:U_m = 3 m/s、ρ = 1.2 kg/m³(空気)、f = 0.02 の場合

u* = 3 × √(0.02 / 8) = 3 × 0.05 = 0.15 m/s

摩擦係数はムーディー図やコールブルック式(乱流域)・ブラジウス式(滑面管乱流の近似)などから求められます。

壁面速度勾配から求める方法

実験や数値解析から速度プロファイルが得られている場合、壁面直上の速度勾配から τ_w を計算できます。

速度勾配からの計算

τ_w = μ × (∂u/∂y)|_{y=0}

μ:粘性係数(Pa・s)

摩擦速度:u* = √(ν × (∂u/∂y)|_{y=0})

ν = μ / ρ:動粘性係数(m²/s)

例:水(ν = 1 × 10⁻⁶ m²/s)で壁面速度勾配 = 10000 s⁻¹ の場合

u* = √(1 × 10⁻⁶ × 10000) = √(0.01) = 0.1 m/s

この方法は DNS(直接数値シミュレーション)や PIV(粒子画像流速計)による高解像度計測での摩擦速度の決定に用いられます。

次元解析と摩擦速度の導出過程

続いては、次元解析と摩擦速度の導出過程を確認していきます。

摩擦速度の定義がなぜ τ_w / ρ の平方根になるのかを、次元解析の観点から確認することで理解が深まります。

バッキンガムのπ定理による導出

壁面近傍の流れを支配する物理量として、τ_w(壁面せん断応力)・ρ(密度)・μ(粘性係数)・y(壁面からの距離)・u(局所流速)を考えます。

バッキンガムのπ定理を適用すると、次元を持つ5つの変数と3つの基本次元(長さ・質量・時間)から、2つの無次元変数が得られます。

次元解析による無次元変数の導出

基本次元:L(長さ)、M(質量)、T(時間)

各変数の次元:

τ_w:M L⁻¹ T⁻²、ρ:M L⁻³、μ:M L⁻¹ T⁻¹、y:L、u:L T⁻¹

繰り返し変数として τ_w・ρ・μ を選ぶと:

特性速度スケール:u* = √(τ_w / ρ)(摩擦速度)

特性長さスケール:l* = ν / u* = ν / √(τ_w / ρ)(粘性長さスケール)

無次元変数1:u⁺ = u / u*

無次元変数2:y⁺ = y / l* = y × u* / ν

この次元解析によって、摩擦速度と粘性長さスケールが壁面近傍乱流の自然な正規化スケールとして導出されることが確認できます。

摩擦速度と粘性速度スケールの使い分け

「摩擦速度」と「粘性速度スケール」は同じ u* を指すことが多いですが、一部の文献では粘性速度(viscous velocity)を u_v = ν / l* として別に定義する場合もあります。

どちらも壁面近傍乱流の正規化に使われますが、標準的な表記では u* = √(τ_w / ρ) を摩擦速度として使います。

摩擦速度を用いた実践的な計算例

続いては、摩擦速度を用いた実践的な計算例を確認していきます。

摩擦速度の計算を応用した具体的な問題を解いてみましょう。

計算例1:水道管内の乱流

【計算例1:水道管内の乱流での摩擦速度】

条件:内径 D = 100 mm の鋼管、流体は水(ρ = 998 kg/m³、ν = 1.0 × 10⁻⁶ m²/s)

平均流速 U_m = 2.0 m/s

Step1:レイノルズ数 Re = U_m × D / ν = 2.0 × 0.1 / 10⁻⁶ = 2.0 × 10⁵

Step2:ブラジウス式(滑面管の近似、Re < 10⁵)は使えないため、コールブルック式またはムーディー図から f ≈ 0.016(滑面近似、Re = 2×10⁵)

Step3:壁面せん断応力 τ_w = f × ρ × U_m² / 8 = 0.016 × 998 × 4.0 / 8 = 7.98 Pa

Step4:摩擦速度 u* = √(τ_w / ρ) = √(7.98 / 998) = √(0.00799) ≈ 0.089 m/s

Step5:確認 u* / U_m = 0.089 / 2.0 = 0.045(u* ≈ 0.04〜0.05 × U_m という典型的な範囲に一致)

計算例2:大気境界層の摩擦速度

【計算例2:大気境界層の摩擦速度の推定】

条件:中立安定大気境界層、表面粗さ長 z₀ = 0.1 m(草地・低い植生)、高さ 10 m での風速 U(10) = 8 m/s

対数則から:U(z) = (u* / κ) × ln(z / z₀)

u* = κ × U(10) / ln(10 / z₀)

= 0.41 × 8.0 / ln(10 / 0.1)

= 3.28 / ln(100)

= 3.28 / 4.605

≈ 0.71 m/s

確認:z₀ = 0.1 m、u* = 0.71 m/s での 10 m 高さの風速 = 0.71 / 0.41 × ln(100) = 1.73 × 4.605 ≈ 7.97 m/s ≈ 8 m/s ✓

計算例3:CFD解析でのメッシュ設計

【計算例3:壁面関数を使う CFD 解析でのメッシュ第一層の厚さ計算】

目標:y⁺ ≈ 50(壁面関数適用の適切な範囲)

条件:空気(ρ = 1.2 kg/m³、ν = 1.5 × 10⁻⁵ m²/s)、摩擦速度 u* ≈ 0.5 m/s(予め見積もった値)

粘性長さスケール:l* = ν / u* = 1.5 × 10⁻⁵ / 0.5 = 3.0 × 10⁻⁵ m = 30 μm

第一層の厚さ:Δy = y⁺ × l* = 50 × 30 × 10⁻⁶ = 1.5 × 10⁻³ m = 1.5 mm

→ 壁面から第一格子点までの距離を約 1.5 mm に設定することで y⁺ ≈ 50 が達成されます。

このように摩擦速度は CFD メッシュ設計の実践的な計算にも直接使われます。

摩擦速度の単位と各単位系での表現

続いては、摩擦速度の単位と各単位系での表現を確認していきます。

摩擦速度は速度の次元を持つため、SI 単位系では m/s で表されます。

ただし、分野によっては cm/s や mm/s が使われることもあります。

単位系 τ_w の単位 ρ の単位 u* の単位 主な使用分野
SI 単位系 Pa(N/m²) kg/m³ m/s 工学全般
CGS 単位系 dyn/cm² g/cm³ cm/s 一部の物理研究
海洋学単位 N/m² または Pa kg/m³ m/s または cm/s 海洋科学・気象学

単位系が混在する場合は計算前に統一することが不可欠です。

例えば τ_w = 0.1 dyn/cm²(CGS)= 0.01 Pa(SI)であり、ρ = 1.025 g/cm³(CGS)= 1025 kg/m³(SI)という変換が必要です。

まとめ

本記事では、摩擦速度の公式と計算方法について、基本公式・次元解析・壁面せん断応力の各種求め方・具体的な計算例・単位の確認まで詳しく解説しました。

u* = √(τ_w / ρ)という基本公式を確実に理解し、圧力損失・摩擦係数・速度勾配・対数則など複数のアプローチで壁面せん断応力を取得することで、さまざまな状況での摩擦速度の計算が可能になります。

次元解析の観点から摩擦速度と粘性長さスケールの導出を理解することで、乱流の壁面近傍理論の本質的な理解が深まります。

本記事が摩擦速度の計算スキル習得に役立てば幸いです。

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