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波数空間とは?意味とフェルミ波数も解説!(逆格子空間:ブリルアンゾーン:固体物理:k空間など)

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固体物理や量子力学を学ぶ中で、「波数空間」「k空間」「逆格子空間」という言葉に出会うことがあります。

これらは実空間とは異なる数学的な空間ですが、固体の電子構造を理解する上で欠かせない概念です。

本記事では、波数空間(k空間)の意味・逆格子空間・ブリルアンゾーン・フェルミ波数についてわかりやすく解説していきます。

目次

波数空間とは波数ベクトルを座標軸とする仮想的な空間である

それではまず、波数空間(k空間)の意味と定義について解説していきます。

波数空間(k空間)とは、実空間の位置座標(x, y, z)の代わりに波数ベクトルの成分(kₓ, kᵧ, k_z)を座標軸とする数学的な空間のことです。

波数空間(k空間)の定義:波数ベクトルk̲=(kₓ, kᵧ, k_z)を座標とする仮想空間。実空間とフーリエ変換で対応している。

実空間の周期的な結晶構造は、波数空間では「逆格子」として表現されます。

波数空間は固体中の電子・フォノン・光子の挙動を記述する上で不可欠な概念です。

実空間と波数空間の対応

実空間と波数空間はフーリエ変換によって対応しています。

実空間で長い周期を持つ波は、波数空間では小さいk値に対応します。

逆に実空間で短い周期を持つ波は、波数空間では大きいk値に対応します。

波数空間と逆格子空間の関係

結晶物理学では、波数空間は「逆格子空間」とも呼ばれます。

実空間の格子定数aに対して、逆格子空間の基本単位は2π/aとなります。

逆格子ベクトルG̲は k̲→k̲+G̲の変換で物理量が変化しないという重要な性質を持ちます。

ブリルアンゾーンとは

続いては、波数空間における重要な概念であるブリルアンゾーンについて確認していきます。

第一ブリルアンゾーンの定義

ブリルアンゾーンとは、逆格子空間において逆格子点に最も近い領域のことで、ウィグナー・ザイツセルの逆格子版に相当します。

第一ブリルアンゾーンは、全ての独立した波数状態を含む最小の繰り返し単位です。

バンド構造(E-k図)はこのブリルアンゾーン内でのみ描かれます。

1次元格子のブリルアンゾーン

格子定数aの1次元格子では:

第一ブリルアンゾーン:-π/a ≦ k ≦ π/a

ゾーン境界:k=±π/aでエネルギーギャップが生じる

バンド構造とブリルアンゾーン

半導体や金属の電子バンド構造は、ブリルアンゾーン内の各k点でのエネルギー固有値としてプロットされます。

バンドギャップ(禁制帯)はゾーン境界付近でブラッグ反射によって生じます。

シリコンのバンドギャップが間接ギャップである理由も、ブリルアンゾーン内の最小エネルギー点と最大エネルギー点の位置関係から説明されます。

フェルミ波数と波数空間でのフェルミ面

続いては、フェルミ波数と波数空間でのフェルミ面について確認していきます。

フェルミ波数の定義と計算

フェルミ波数kFは、絶対零度での電子占有状態の境界を波数空間で表したものです。

自由電子モデル(3次元)でのフェルミ波数:

kF=(3π²n)^(1/3)

例)銅(n≒8.5×10²⁸ m⁻³)の場合:kF≒1.36×10¹⁰ m⁻¹

フェルミ面とは

フェルミ面とは、波数空間においてフェルミエネルギーに対応するエネルギー等高面のことです。

自由電子モデルでは球形のフェルミ面(フェルミ球)ですが、実際の金属では結晶の対称性を反映した複雑な形状になります。

フェルミ面の形状が金属の電気伝導・熱伝導・磁気的性質を決定します。

波数空間での電子状態密度

波数空間において、電子状態は等間隔に分布しています。

状態密度D(E)はフェルミエネルギー付近での電子状態の密度を表し、比熱・磁化率などの物性に直結します。

波数空間の概念なくして、現代の固体物理学は成り立たないといえるでしょう。

まとめ

本記事では、波数空間(k空間)の定義・逆格子空間・ブリルアンゾーン・フェルミ波数・フェルミ面について解説しました。

波数空間は実空間とフーリエ変換で対応する仮想空間で、固体の電子構造を記述する上で不可欠な概念です。

ブリルアンゾーン・バンド構造・フェルミ面はいずれも波数空間上で定義される重要な概念ですので、固体物理・量子力学を学ぶ方はぜひ本記事を参考に理解を深めてみてください。

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