麦茶のカリウム含有量や摂取目安量は（meqも、1杯に含まれる量が多い、腎臓病や透析なども）

麦茶は日本の夏を代表する飲み物として、長年愛され続けています。大麦を焙煎して作られるこの香ばしい飲み物は、ノンカフェインで子供から高齢者まで安心して飲むことができ、水分補給に最適な飲料として親しまれています。冷やして飲むことが多い夏の定番ですが、温かい麦茶として年間を通して楽しまれています。

麦茶の栄養成分の中でも注目すべきなのが「カリウム」です。麦茶のカリウム含有量は飲み物の中では中程度で、1杯（200ml）で約12mgという比較的少ない含有量です。これは果物や野菜と比較すると非常に少なく、水分補給を兼ねたカリウム摂取源として適しています。

カリウムは血圧調整、筋肉機能、神経伝達、体内の水分・電解質バランス維持に重要な役割を果たすミネラルです。特に汗をかく夏季には、水分とともにカリウムも失われるため、麦茶のような飲み物での補給が効果的です。腎臓病や透析治療を受けている方にとっても、カリウム含有量が少ない麦茶は比較的安心して摂取できる飲み物です。

この記事では、麦茶1杯に含まれるカリウムの詳細な量から、市販品と手作りの違い、年齢別の摂取目安量、腎臓病患者の方への注意点まで、分かりやすく解説していきます。日本の伝統的な飲み物である麦茶を安心して美味しく楽しむための参考にしていただければ幸いです。

麦茶一杯に含まれるカリウムの量は？濃さや種類別麦茶

麦茶のカリウム含有量について詳しく解説していきます。

麦茶の濃さや種類によってカリウム含有量は異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

麦茶の種類・濃さ	分量	カリウム含有量	meq換算
薄めの麦茶	200ml（コップ1杯）	約8mg	約0.2meq
普通の濃さの麦茶	200ml（コップ1杯）	約12mg	約0.3meq
濃いめの麦茶	200ml（コップ1杯）	約18mg	約0.5meq
ペットボトル麦茶	500ml	約30mg	約0.8meq
水出し麦茶（薄め）	200ml	約6mg	約0.2meq

普通の濃さの麦茶1杯（200ml）には約12mgのカリウムが含まれており、これは非常に少ない含有量です。比較として、りんご1個（約275mg）の約23分の1、バナナ1本（約360mg）の約30分の1という微量です。

麦茶の濃さによってカリウム含有量は変化します。濃く煮出した麦茶ほどカリウム含有量が多くなりますが、それでも18mg程度と非常に少量です。これは大麦の成分が水に溶け出す量が限られているためです。

市販のペットボトル麦茶の場合、製品によって若干の違いがありますが、500mlで約30mg程度が一般的です。家庭で作る麦茶と大きな差はありませんが、製造過程での抽出条件により微妙な違いが生じます。

水出し麦茶は熱湯で煮出すタイプよりもカリウム含有量がやや少なくなります。これは低温では大麦からの成分抽出が穏やかになるためです。夏場に人気の水出し麦茶は、よりカリウム含有量が少ない傾向があります。

無糖の麦茶であれば、カリウム以外のミネラルもわずかに含まれていますが、どれも微量で、水分補給が主な目的の飲み物と言えます。

カリウムの1日摂取目安量に相当の麦茶の量や杯数は？年齢別

カリウムの1日摂取目安量に相当する麦茶の杯数について、年齢別に詳しく解説していきます。

年齢・性別	1日カリウム摂取目安量	麦茶換算（普通の濃さ200ml）	現実的な摂取量
成人男性（18歳以上）	3,000mg	約250杯	水分補給として3～6杯程度
成人女性（18歳以上）	2,600mg	約217杯	水分補給として3～6杯程度
小学生（6～11歳）	1,600mg～2,000mg	約133杯～167杯	水分補給として2～4杯程度
中学生・高校生（12～17歳）	2,400mg～2,800mg	約200杯～233杯	水分補給として3～5杯程度
高齢者（65歳以上）	成人と同様	成人と同様	水分補給として3～5杯程度

麦茶のカリウム含有量は非常に少ないため、麦茶だけでカリウムの必要量を摂取することは現実的ではありません。成人男性が1日の推奨摂取量を麦茶だけで摂取しようとすると、約250杯（50L）という非現実的な量になってしまいます。

麦茶の役割は、水分補給と微量のカリウム補給です。夏場の汗をかく季節には、水分とともに失われる電解質の一部を補う役割を果たします。1日3～6杯程度（600ml～1,200ml）の麦茶摂取で、約36mg～72mgのカリウムを摂取できます。

季節別の推奨摂取量

季節に応じた麦茶の摂取量目安：

– 夏季（6月～9月）：1日4～6杯（800ml～1,200ml）
– 冬季（12月～2月）：1日2～3杯（400ml～600ml）
– 春秋季：1日3～4杯（600ml～800ml）

夏場は発汗により水分とカリウムが失われるため、麦茶での補給が特に効果的です。

運動時の摂取量

運動や屋外作業時の摂取量：

– 軽い運動：追加で1～2杯（200ml～400ml）
– 激しい運動：追加で2～3杯（400ml～600ml）
– 屋外労働：追加で3～4杯（600ml～800ml）

運動時は発汗により電解質が失われるため、麦茶による補給が有効です。ただし、激しい運動の場合はスポーツドリンクとの併用も検討してください。

腎臓病や透析患者の場合のカリウムの1日摂取目安量に相当の麦茶の量や杯数は？

腎臓病や透析患者の方のカリウム摂取について詳しく解説していきます。

患者区分	1日カリウム摂取制限量	麦茶換算（普通の濃さ200ml）	実際の推奨量
腎臓病患者	1,500mg～2,000mg	約125杯～167杯	水分制限内で摂取可能
透析患者	1,500mg程度	約125杯	水分制限内で摂取可能

麦茶が安全な飲み物である理由

腎臓病や透析患者の方にとって、麦茶は最も安全な飲み物の一つです：

– 極めて少ないカリウム含有量：1杯約12mgと微量
– 制限量に占める割合が極小：1杯で制限量の約0.8％
– ノンカフェイン：腎臓への負担が少ない
– 添加物なし：自然な大麦のみの成分

麦茶1杯（約12mg）は、1日の制限量（1,500mg）のわずか約0.8％にすぎないため、カリウム制限の観点では全く問題になりません。

水分制限との関係

腎臓病や透析患者の方の場合、カリウムよりも水分制限の方が重要な制約となります：

– 腎臓病患者：医師の指示による水分制限内で摂取
– 透析患者：透析間の体重増加を考慮した水分管理
– 麦茶の位置づけ：水分制限内であればカリウムの心配は不要

水分制限がある場合は、1日の水分摂取量の一部として麦茶を楽しむことができます。

他の飲み物との比較

腎臓病患者の方が避けるべき飲み物と麦茶の比較：

– 野菜ジュース（200ml）：約500mg～800mg（高リスク）
– オレンジジュース（200ml）：約400mg（高リスク）
– コーヒー（200ml）：約65mg（注意が必要）
– 緑茶（200ml）：約54mg（注意が必要）
– 麦茶（200ml）：約12mg（安全）

麦茶は他の飲み物と比較して圧倒的にカリウム含有量が少ないことがわかります。

推奨される飲み方

腎臓病患者の方への推奨する麦茶の飲み方：

– 薄めに作る：カリウム含有量をさらに減らす
– 冷たくして飲む：夏場の水分補給に最適
– 食事と一緒に：食事のお供として適量摂取
– 他の飲み物の代替：高カリウム飲料の代わりに選択

注意点

麦茶摂取時の注意点：

– 水分制限がある場合は医師の指示に従う
– 市販品を選ぶ場合は無糖タイプを選択
– 他の食材からのカリウム摂取が主体であることを理解
– 定期的な血液検査でカリウム値を確認

免責事項

ここで記載した内容は、あくまでも一般的な目安値です。腎臓病や透析患者の方の場合、個人の病状や治療状況によって適切な摂取量は大きく異なります。水分制限がある場合は、必ず主治医や管理栄養士にご相談の上、個人に合った水分・食事管理を行ってください。麦茶は非常に安全な飲み物ですが、水分制限の範囲内での摂取を心がけてください。