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ビッカース硬さとは?意味や測定原理を解説!(材料試験・硬度測定・ダイヤモンド圧子・金属材料・機械的性質など)

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金属材料の性能評価において「硬さ」は非常に重要な機械的性質のひとつです。

硬さの測定方法にはいくつかの種類がありますが、その中でも幅広い材料・荷重範囲で使えるビッカース硬さ試験は特に広く使われています。

本記事では、ビッカース硬さの定義・測定原理・圧子の形状・計算式・JIS規格での表記方法までを詳しく解説していきます。

目次

ビッカース硬さとは何か?定義と測定原理

それではまず、ビッカース硬さの定義と基本的な測定原理について解説していきます。

ビッカース硬さ(Vickers Hardness:HV)とは、ダイヤモンド製の四角錐圧子を材料表面に押し込み、できた圧痕の面積と試験力から算出した硬さの指標です。

1921年にイギリスのビッカース社が開発した試験方法であり、JIS Z 2244で規定されています。

硬さ試験の種類 圧子の形状 特徴
ビッカース硬さ 正四角錐ダイヤモンド(対面角136°) 幅広い材料・荷重に対応
ブリネル硬さ 鋼球またはタングステンカーバイド球 軟質材料・粗い表面に適する
ロックウェル硬さ 円錐ダイヤモンドまたは鋼球 迅速測定・大量検査に適する
ショア硬さ 落錘の反発量を測定 非破壊・大型部品に適する

ダイヤモンド圧子の形状と特徴

ビッカース試験で使用する圧子は、対面角(向かい合う面のなす角)が136°の正四角錐ダイヤモンドです。

136°という角度は、ブリネル試験で最もよく使われる圧子(球の直径と圧痕径の比が0.375)と等価になるように設計されています。

ダイヤモンドは最も硬い材料であるため、軟質金属から超硬合金・セラミックスまで幅広い材料に対応できます。

ビッカース硬さの計算式

ビッカース硬さHVは次の式で算出されます。

HV = 0.1891 × F / d²

F:試験力 [N](旧来の式ではkgf表記)

d:圧痕の対角線長さの平均値 [mm](d = (d₁ + d₂)/2)

0.1891:幾何学的定数(正四角錐の面積計算から導かれる係数)

圧痕の二本の対角線d₁、d₂を顕微鏡で測定し、その平均値dを用います。

試験力の範囲とマイクロビッカース

ビッカース試験は試験力の大きさによってマイクロビッカース(0.098〜1.96 N)・低荷重ビッカース(1.96〜49 N)・標準ビッカース(49 N以上)に分類されます。

マイクロビッカース試験は薄膜・めっき層・熱処理層など微小部分の硬さ測定に使われます。

ビッカース硬さの測定手順と注意点

続いては、ビッカース硬さ試験の具体的な測定手順と測定上の注意点を確認していきます。

測定手順

ビッカース硬さ試験の標準的な手順は次のとおりです。

まず試験片の表面を研磨して平滑にし、試験面を試験機の台に固定します。

次に所定の試験力で圧子を15秒間(JIS規定)押し込み、圧痕を形成します。

顕微鏡で圧痕の二本の対角線d₁、d₂を測定し、平均値dを求めてHV値を計算します。

測定上の注意点

正確なビッカース硬さを得るためにはいくつかの注意が必要です。

試験面が圧子の押込み方向に対して垂直でないと、圧痕が非対称になり誤差が生じます。

また、圧痕の間隔は対角線長さの2.5倍以上、端部からの距離は対角線長さの2.5倍以上確保する必要があります(JIS Z 2244)。

表面の異物・酸化膜・加工変質層は測定精度を低下させるため、適切な試験片作製が重要でしょう。

代表的な材料のビッカース硬さ

代表的な金属材料のビッカース硬さをまとめます。

・純アルミニウム:15〜30 HV

・黄銅(真鍮):60〜170 HV

・炭素鋼(焼きなまし):120〜200 HV

・炭素鋼(焼入れ):500〜900 HV

・超硬合金:1400〜1800 HV

ビッカース硬さの単位・表記と他の硬さとの換算

続いては、ビッカース硬さの単位・JIS規格での表記方法・他の硬さ指標との換算について確認していきます。

HVの表記方法

ビッカース硬さはHVという記号に続いて試験条件を記す形式で表記します。

表記例:600 HV 10/15

600:ビッカース硬さの値

10:試験力(kgf単位、10 kgf = 98.07 N)

15:押込み保持時間(秒)※10〜15秒が標準なので省略可

試験力が標準(30 kgf = 294 N)の場合は省略して「600 HV」とだけ表記することもあります。

ブリネル硬さ・ロックウェル硬さとの換算

各硬さ試験間の換算はJIS Z 2252「金属材料の硬さ換算」で規定されています。

ただし、換算は厳密な数式的関係ではなく経験的な対応表であり、材料によって誤差が生じます。

鋼材における概略的な換算として、HV ≈ HBW(ブリネル硬さ)という近似が低硬度域でよく使われます。

引張強さとの相関

鋼材では、ビッカース硬さと引張強さの間に次の近似的な相関があります。

引張強さ [MPa] ≈ 3.3 × HV(鋼材の場合の目安)

ただし材料によって係数が異なるため、正確な値は引張試験による確認が必要です。

まとめ

本記事では、ビッカース硬さの定義・測定原理(正四角錐ダイヤモンド圧子)・計算式・測定手順・表記方法・他の硬さ指標との換算を解説しました。

ビッカース硬さは幅広い材料・荷重範囲に対応できる汎用性の高い硬さ試験であり、材料試験の現場で最も広く使われる手法のひとつです。

計算式 HV = 0.1891 × F/d² の意味と、圧痕対角線の正確な測定が精度の鍵であることを押さえておきましょう。

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