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熱膨張係数の計算方法は?公式と求め方も!(計算式・温度差・長さ変化・体積変化・測定方法など)

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熱膨張係数の計算は、機械設計・建築・電子工学・材料工学など多くの分野で日常的に必要とされる重要な技術計算です。

温度変化が生じたときに部材がどれだけ伸縮するかを事前に計算することで、設計上の不具合やトラブルを未然に防ぐことができます。

公式自体はシンプルですが、単位の扱いや温度依存性の考慮など、実用上のポイントを正しく理解することが精確な計算への近道です。

本記事では、熱膨張係数の計算公式・長さ変化・体積変化の計算方法・具体的な計算例・注意点について詳しく解説していきます。

目次

熱膨張係数の基本計算公式と使い方

それではまず、熱膨張係数の基本計算公式とその使い方について解説していきます。

熱膨張の計算で最もよく使われるのは、線膨張(長さ変化)の計算公式です。

線膨張の計算公式

線膨張の計算公式

ΔL = α × L₀ × ΔT

ΔL:長さの変化量(m、mm)

α:線膨張係数(/℃ または /K)

L₀:基準温度での元の長さ(m、mm)

ΔT:温度変化(℃ または K)

変化後の長さ:L = L₀ × (1 + α × ΔT)

ΔT(温度変化)は摂氏(℃)でも絶対温度(K)でも、差の値は同一なのでどちらを使っても計算結果は変わりません。

具体的な計算例(鉄製レールの場合)

計算例:鉄製レール(10mの長さ)が夏冬で温度差50℃変化した場合

α(鉄)= 11.8 × 10⁻⁶ /℃

L₀ = 10,000 mm

ΔT = 50 ℃

ΔL = 11.8 × 10⁻⁶ × 10,000 × 50 = 5.9 mm

→ 10mの鉄製レールは50℃の温度差で約5.9mm伸縮する

この計算結果からも、長尺の構造物では熱膨張による伸縮量が設計上無視できない大きさになることが理解できます。

体積膨張の計算公式

体積膨張の計算公式(等方性材料)

ΔV = γ × V₀ × ΔT ≈ 3α × V₀ × ΔT

ΔV:体積の変化量

γ:体積膨張係数(≈ 3α)

V₀:基準温度での元の体積

等方性の金属材料では体積膨張係数は線膨張係数の約3倍として近似できるため、γが未知の場合でもαから算出可能です。

熱応力の計算方法と設計への活用

続いては、熱膨張を制約された場合に生じる熱応力の計算方法について確認していきます。

自由に膨張できる場合は変形のみが生じますが、固定端や拘束がある場合は熱応力が発生します。

熱応力の計算公式

熱応力の計算公式

σ = E × α × ΔT

σ:熱応力(Pa、MPa)

E:ヤング率(弾性係数)(Pa、GPa)

α:線膨張係数(/℃)

ΔT:温度変化(℃)

熱応力はヤング率と線膨張係数の積に温度変化を掛けた値となり、剛性(ヤング率)が高く熱膨張係数が大きい材料ほど熱応力が大きくなります。

異種材料接合部の熱応力計算

線膨張係数の異なる材料を接合した場合の熱応力は、単純な一材料の熱応力より複雑になります。

二材料の組み合わせでは、各材料の熱膨張量の差(ΔL差)がひずみとなり、接合部に集中応力が生じます。

設計段階でこの差を最小化するために、線膨張係数が近い材料の組み合わせを選定すること(CTE matching)が重要です。

実用計算時の注意点

熱膨張係数の計算を実務で行う際には、以下の点に注意が必要です。

まず、使用する線膨張係数の値が適用温度範囲に対応したものかを確認します。

次に、材料の温度依存性(高温での係数変化)を考慮した計算が必要な場合があります。

また、複合材料や異方性材料(繊維強化プラスチックなど)では方向によって線膨張係数が異なるため、適切な方向の値を使用することが重要です。

熱膨張係数の測定方法の概要

続いては、熱膨張係数を実験的に測定する代表的な方法について確認していきます。

ダイラトメーター法(押し棒式熱膨張計)

最も一般的な熱膨張係数の測定法はダイラトメーター法(押し棒式熱膨張計)です。

試料を炉内で加熱しながら、試料の一端に接触した石英棒(低熱膨張)の変位を高精度変位センサーで測定します。

得られた変位量と温度変化から線膨張係数を算出します。

JIS R 1618・JIS Z 2285などの規格に基づいた測定法として、材料メーカーや研究機関で広く採用されています。

TMA(熱機械分析)法とXRD法

TMA(熱機械分析)は微小荷重を印加しながら試料の変形を精密に測定する方法で、薄膜・コーティング・小型部品の熱膨張測定にも対応できます。

X線回折(XRD)法は、温度変化に伴う結晶格子定数の変化を精密に測定することで熱膨張係数を求める手法です。

非接触かつ高精度に測定できるため、脆性材料やセラミックスの測定に特に有効です。

簡易測定と文献値の活用

実用設計では、JISや材料メーカーのデータシートに記載された文献値を活用することが一般的です。

文献値を利用する際は、測定温度範囲・材料の組成・熱処理状態などの条件が自社の使用条件と一致しているかを確認することが重要です。

まとめ

本記事では、熱膨張係数の計算公式・線膨張と体積膨張の計算例・熱応力の計算方法・測定手法について詳しく解説しました。

線膨張の基本計算式はΔL = α × L₀ × ΔTであり、この式をマスターすることで多くの実用計算に対応できます。

熱応力はσ = E × α × ΔTで求められ、材料の拘束条件と組み合わせることで接合部・固定部の設計に活用されます。

異種材料接合設計では線膨張係数のマッチングが重要であり、差が大きい組み合わせほど熱応力と疲労破壊のリスクが増大します。

計算値の精度を高めるためには、使用温度範囲に対応した正確な材料データの使用と、温度依存性の考慮が欠かせないでしょう。

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