身近なところに面白い科学がたくさん隠れていますよね。
例えば、冬にはマッチなどを使って火を起こす機会があります。このマッチをこすると、火が付く仕組みについて知っていますか。
ここでは、「マッチで火が付く原理」について解説していきます。
目次
マッチで火がつく原理
マッチをこすることによって発火する仕組みについて解説する前に、まずマッチとマッチをこすり合わせるケースの材料について解説してきます。
まず、マッチの構成を考えていきます。
マッチの構成と成分
マッチは使用したことがある方が多いかと思いますが、「持ち手となる木の棒の部分」「頭の赤色の部分」から構成されます。
そして、火の発生原理と関係しているのは、頭の赤色の部分です。以下の部分のことを指します。
そして、このマッチの赤色の部分(頭)は「塩素酸カリウム」「ガラス粉」「松やに」などの物質から構成されています。後程これらの物質の役割について解説していきます。
マッチの箱の側面の構成成分
続いて、マッチをこすり合わせていく、マッチの側面部の成分について解説していきます。以下のような部分です。
ここのマッチ側面のざらざらしたところの成分は主に「赤リン」によって構成されているのです。
マッチで火が付く仕組み
このように擦り合わせる部分の成分の解説ができたところで、火が付くメカニズムについて考えていきましょう。
マッチをマッチの箱と擦り合わせることで火が発生するとき、以下のような一連の流れが起こっています。
①擦ることで摩擦熱が発生
②摩擦熱によって温度が上昇し、物質の化学反応を促進し、発火させる
③火の点火時間の継続
まずは、①の摩擦熱について解説していきます。
私達は寒いときに手をこすり合わせますよね。これは、こすることで熱を発生させ、体を温めているのです。
そして、マッチの場合ではこの現象よりさらに摩擦熱が発生できるようになっています。上述の成分に含まれていたガラス粉などは、よりざらざらさせて摩擦時の熱を多く発生できるように含まれています。
次に②の現象について確認していきます。
マッチと側面をこすり、摩擦熱が多くでると、化学反応が進みやすくなります。そして、マッチの頭には塩素酸カリウムが、マッチの側面のざらざら部分には赤リンが入っていましたよね。
実は、これら塩素酸カリウムと赤リンが組み合わさり、そこに熱が加わると、発火させるほどの化学反応が起こるのです。
以下に、塩素酸カリウムの性質の引用(Wikipedia)を記載します。
酸化剤としてマッチ・花火・爆弾などの原料となり、漂白剤・染料・医薬品などの製造にも用いられる。長期間保存したものは亜塩素酸カリウムを含み、乾燥状態では有機物・リン・硫黄などの可燃性物質と接触しただけでも爆発することがある。また新しいものでも摩擦・衝撃などに鋭敏で、爆発事故をおこしやすく、濃硫酸・濃硝酸に触れても爆発しやすい。混合爆薬として用いられることもある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A1%A9%E7%B4%A0%E9%85%B8%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0 より引用
引用にも記載のとおり、「塩素酸カリウムはリンなどの可燃性物質と接触しただけで爆発することがある」との記載を確認できます。
これを上手に利用したのが、マッチで火がつく仕組みなのです。
さらに③について確認します。
このようにマッチで火が起こせるのですが、一定時間火が燃え続けていないと他の物質に火をつけることができません。
ここで、火の燃焼を継続して行うための火種が必要なのです。火種とは、たき火で入れる新聞紙や木など燃えやすい物質のことであり、マッチの場合は松やになどがこれに相当します。つまり、松やになどを含んでいるために、付いた火がすぐに消えることなく、燃焼が続いているのです。
これらが、マッチで火が付く原理といえます。
まとめ
ここでは、マッチで火がつく仕組みについて解説しました。
マッチ棒とマッチ箱の側面をこすると火が起こせるのは、各々の構成成分と関係しています。
マッチ棒の頭部には、塩素酸カリウム、ガラス粉、松やになどが配合されており、マッチ箱の側面には赤リンなどが含まれています。
これらをこすると合わせると、ガラスなどを含むために大きな摩擦熱が発生されます。高温下で、塩素酸カリウムと赤リンが接触すると、発火・爆発することが知られています。
そして、この性質を程よく利用して危険じゃないレベルで火を付けることができるのがマッチなのです。
さらに、一度ついた火が簡単に消えないよう、松やになどの火種(燃えるのを継続させる物質)が含まれています。
このような仕組によって、マッチで火を安全につけることができるのです。
身近な現象を科学でひも解くのは面白いですよね。あなたも、身近な疑問を科学で解決することによって、毎日をより楽しんでいきましょう。