金属の鉄、ステンレス、アルミなどに触ったとき、冷たいと感じることが多くないでしょうか。
夏場では、このような金属に触れることで冷えて気持ちいいですが、冬場では寒くなりすぎ避けたいものです。
そのように、鉄、ステンレス、アルミは冷えやすい材質といえますが、そもそもなぜ冷たいのでしょうか。
ここでは、金属が冷たいと感じやすい理由に関して、科学的な観点から解説していきます。
目次
金属が冷たい理由 熱伝導度との関係
実は、金属が冷たいという表現は正しくなく、「金属に触れると冷たく感じる」という表現が正しいです。
この原理について詳しく解説していきます。
人はもし同じ温度の物体を触ったとしても「自分から熱が抜けていく速度が速いほど冷たい」と感じます。つまり、人から物体への熱の伝わる速度(伝熱速度)が高ければ、温度が低いと判断してしまうのです。
以下のようなイメージです。
一方で、木材などに触れると温かいと感じやすいのは、伝熱速度が小さい事が要因です。
そして、伝熱速度は、物体間の温度差や厚み(専門用語では境膜の厚み)等のパラメータが同じであれば、熱伝導率と比例します。
このとき、鉄、ステンレス、アルミなどの金属の熱伝導率(熱伝導度)は他のプラスチック、木材などよりも大幅に高いです。結果として、金属に触ると伝熱速度が高くなるため、「金属は冷たい」と感じるのです。
また、実際のところ、このように伝熱速度の観点からも冷たいと感じているだけでなく、伝熱速度が金属では高いことによって実際の皮膚表面温度も下がっている場合が多いです。
鉄、ステンレス、アルミなどの金属の熱伝導率は?
上述の金属類の熱伝導率がどの程度なのか、以下にまとめていきます。
なお、比較対象として、熱伝導率が低いプラスチックや木材、空気などの数値も記載していきますので、参考にしてみてください。
熱伝導度の一覧(熱伝導度の単位[W/(m・K)]
- アルミニウム:240
- 鉄:80
- ステンレス:20
- 水:0.5
- 木材:0.2
このように、金属全般では熱伝導率が高いことが理由で冷たいと感じるのです。夏場などの暑い時期では、鉄、アルミ、ステンレスに触ってコンディションを整えていきましょう。
まとめ
ここでは、なぜ金属に触れると冷たいのかについて解説しました。
鉄、ステンレス、アルミなどに触れると冷たいというのは錯覚であり、正確には冷えてると感じているだけです。
これは「私たちの体と物体が接触したときの熱の移動速度が大きい」と冷たいと感じることが原因です。
なお、この伝熱速度は温度勾配と熱伝導率の積で計算することができます。そして、金属は熱伝導率が高いため、この伝熱速度も大きい傾向にあるのです。
このような原理から、鉄、ステンレス、アルミなどに触れると、冷たいと感じるわけです。
夏などの気温が高い時期は、この冷たいと感じる性質を上手に活用して、リフレッシュしていきましょう。