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鉄の引張強度は?種類別の一覧も!(鋼材・炭素鋼・強度比較・材料特性など)

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鉄の引張強度は?種類別の一覧も!(鋼材・炭素鋼・強度比較・材料特性など)というテーマについて、今回は詳しく解説していきます。

鉄や鋼材を扱う仕事をしていると、図面や仕様書に書かれた引張強度の数値の意味が気になる場面は多いはずです。

単に鉄と言っても純鉄と鋼材ではまったく強度が違いますし、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼といった種類によっても数値は大きく変わります。

本記事では、鉄の引張強度がどれくらいなのか、種類別にどう違うのか、一覧表を交えながら整理していきます。

材料選定や強度計算の際に役立つ知識を、できるだけわかりやすくまとめました。

専門用語が多い分野ですが、初めて調べる方にも理解しやすいよう、基礎から順番に解説していきます。

目次

鉄の引張強度はどれくらいなのか

それではまず鉄の引張強度について解説していきます。

結論から言うと、純鉄の引張強度はおよそ180から250メガパスカル程度です。

ただし実際の産業用途で使われるのはほとんどが鋼材であり、炭素鋼で400から800メガパスカル程度、合金鋼や熱処理鋼になると1000メガパスカルを超えるものも珍しくありません。

つまり鉄そのものは意外と柔らかい金属であるという点が重要なポイントです。

私たちが普段目にする強い鉄というイメージは、実は炭素や合金元素を加えた鋼材の強度によるものと言えるでしょう。

鉄と鋼の引張強度の目安

鉄と鋼は混同されがちですが、強度の面では明確な違いがあります。

純鉄は炭素含有量がほぼゼロに近く、柔らかく加工しやすい反面、引張強度は低めです。

一方で鋼は炭素を0.02パーセントから2パーセント程度含む鉄の合金であり、この炭素量の違いが強度に直結します。

純鉄の引張強度はおよそ180から250メガパスカルです。

一般構造用圧延鋼材であるSS400では約400から510メガパスカルとされています。

高炭素鋼のS45Cでは約570メガパスカル前後まで上昇します。

数値だけを見ると小さな差に思えるかもしれませんが、実際の強度差は数倍に及ぶこともあります。

引張強度と降伏点の違い

引張強度と似た言葉に降伏点や耐力といった用語があります。

引張強度は材料が破断するまでに耐えられる最大の応力を指す数値です。

これに対して降伏点は、材料が弾性変形から塑性変形へ移行する境界の応力を意味します。

設計の現場では、破断しないことよりも変形しないことが重視される場合が多いでしょう。

そのため実務上は引張強度よりも降伏点や耐力の数値が基準になるケースも少なくありません。

引張強度は最終的な限界値、降伏点は実用上の許容限界と考えると整理しやすいはずです。

種類別引張強度早見表

ここで代表的な鉄鋼材料の引張強度を一覧表にまとめます。

材料名 分類 引張強度の目安 主な用途
純鉄 180から250MPa 電磁材料、実験用途
SS400 一般構造用圧延鋼材 400から510MPa 建築、機械フレーム
S45C 機械構造用炭素鋼 570から700MPa シャフト、歯車
SUJ2 軸受鋼 1500MPa以上 ベアリング
SUS304 オーステナイト系ステンレス鋼 520から720MPa 厨房機器、配管
SUS440C マルテンサイト系ステンレス鋼 760から1970MPa 刃物、精密部品
SCM435 クロムモリブデン鋼 930から1080MPa 自動車部品、ボルト
高張力鋼板 ハイテン材 780から1500MPa 自動車ボディ

こうして並べてみると、同じ鉄鋼材料と言っても強度の幅が非常に大きいことがわかります。

鉄の引張強度とはそもそも何を意味するのか

続いては引張強度という言葉の基本的な意味を確認していきます。

引張強度とは、材料を引っ張ったときに耐えられる最大応力のことです。

単位にはメガパスカルまたはニュートン毎平方ミリメートルが使われます。

この二つは数値としては同じ値を示すため、換算を気にする必要はありません。

引張強度の定義と単位

引張強度は、試験片の断面積で荷重を割った値として表されます。

引張強度は次の式で求められます。

引張強度=最大荷重÷試験前の断面積

単位はMPa(メガパスカル)です。

荷重が同じでも断面積が小さいほど、単位面積あたりの応力は大きくなります。

そのため引張強度は材料そのものの性質であり、部品の太さや形状には左右されません。

逆に言えば、部品全体が耐えられる荷重を知りたい場合は、断面積を掛け合わせて計算する必要があるでしょう。

引張試験の方法

引張強度は引張試験機を使って実際に測定します。

試験片を専用のつかみ具で固定し、一定の速度で両端を引っ張っていきます。

荷重と伸びを同時に記録することで、応力とひずみの関係を示すグラフが得られます。

このグラフの最高点が、まさに引張強度に相当する箇所です。

グラフはさらに、弾性域、降伏点、加工硬化域、そして破断点という段階に分かれています。

この一連の過程を見ることで、材料の粘り強さや脆さも判断できるというわけです。

引張強度と関連する強度指標

材料強度を語るうえでは、引張強度以外にも押さえておきたい指標があります。

代表的なものが降伏強度、疲労強度、そして硬さです。

降伏強度は前述の通り変形が始まる限界値を示します。

疲労強度は繰り返し荷重に対する耐久性を表す指標です。

硬さは表面の傷つきにくさを示すものであり、引張強度とはある程度相関があるものの完全には一致しません。

これらの指標を組み合わせて総合的に材料を評価することが、設計の現場では欠かせないはずです。

炭素鋼の引張強度と炭素含有量の関係

続いては炭素鋼における炭素含有量と強度の関係を確認していきます。

鋼の強度を決める最も大きな要因は、含まれる炭素の量です。

炭素含有量が増えるほど、鋼は硬く強くなりますが、その分だけ粘り強さは低下していきます。

低炭素鋼の特性

低炭素鋼は炭素含有量がおよそ0.3パーセント以下の鋼材を指します。

代表例はSS400やS10Cといった材料です。

引張強度は300から500メガパスカル程度と、それほど高くありません。

その代わりに加工性や溶接性に優れており、建築構造物や一般機械部品に幅広く使われています。

強度よりも扱いやすさを優先したい場面に適した鋼材と言えるでしょう。

中炭素鋼の特性

中炭素鋼は炭素含有量がおよそ0.3から0.6パーセント程度の鋼材です。

S45CやS50Cといった機械構造用炭素鋼が代表格になります。

引張強度は570から750メガパスカルほどまで上がります。

焼き入れや焼き戻しといった熱処理を施すことで、さらに強度を引き上げることも可能です。

シャフトや歯車、ボルトなど、強度と加工性のバランスが求められる部品に多く使われています。

高炭素鋼の特性

高炭素鋼は炭素含有量がおよそ0.6パーセント以上の鋼材を指します。

代表例はS55CやSK材といった工具鋼です。

引張強度は700メガパスカルを超え、熱処理次第では1000メガパスカル以上に達することもあります。

ただし炭素量が増えるほど脆くなりやすく、割れが発生しやすいという弱点も抱えています。

刃物やバネ、工具など、高い硬度が求められる用途に用いられることが多いでしょう。

炭素含有量が増えるほど引張強度は上がりますが、靭性は下がっていく傾向があります。

強ければ良いというわけではなく、用途に応じたバランスの取れた炭素量を選ぶことが重要です。

鋼材の種類別引張強度一覧

続いては鋼材の種類別に引張強度を比較していきます。

鋼材は用途によって成分設計が異なり、引張強度も大きく変わってきます。

構造用鋼材の引張強度

構造用鋼材は建築や機械のフレームに使われる、最も一般的な鋼材です。

SS400の引張強度は400から510メガパスカルとされています。

SM490という溶接構造用鋼材になると、490から610メガパスカル程度まで上がります。

建築基準に基づいた設計がなされているため、強度の下限値が明確に規定されている点が特徴です。

安全性を数値で担保しやすい鋼材と言えるでしょう。

特殊鋼と合金鋼の引張強度

特殊鋼にはクロムやモリブデン、ニッケルなどの合金元素が添加されています。

SCM435というクロムモリブデン鋼では、930から1080メガパスカルほどの強度を持ちます。

SNCM439というニッケルクロムモリブデン鋼になると、さらに高強度が求められる部品に対応可能です。

自動車のギアやシャフト、航空機部品など、高い強度と靭性の両立が必要な分野で活躍しています。

合金元素の組み合わせ次第で強度の設計自由度が広がる点が魅力です。

ステンレス鋼の引張強度

ステンレス鋼は耐食性で知られていますが、引張強度も種類によって幅があります。

ステンレス鋼 系統 引張強度の目安
SUS304 オーステナイト系 520から720MPa
SUS316 オーステナイト系 520から720MPa
SUS430 フェライト系 450MPa前後
SUS410 マルテンサイト系 440から1100MPa
SUS440C マルテンサイト系 760から1970MPa

マルテンサイト系は熱処理によって強度を大きく上げられる点が特徴です。

一方でオーステナイト系は強度こそ中程度ですが、耐食性と加工性に優れています。

用途に応じて系統を選び分けることが、失敗しない材料選定の鍵になるはずです。

引張強度に影響する材料特性と熱処理

続いては引張強度に影響を与える材料特性や熱処理について確認していきます。

同じ鋼種であっても、処理の仕方次第で強度は大きく変わります。

熱処理による強度変化

焼き入れとは、鋼を高温に加熱した後、急冷して硬さを高める処理です。

焼き入れ後の鋼は非常に硬くなりますが、脆くなりやすいという欠点があります。

そこで焼き戻しという処理を加え、粘り強さを回復させながら強度を調整します。

S45Cの場合、焼き入れ焼き戻しを行うと引張強度は800メガパスカル以上に達することがあります。

未処理の状態と比べると、強度が1.3倍から1.5倍ほど向上するケースも珍しくありません。

熱処理は鋼材の潜在能力を引き出すための、非常に重要な工程と言えるでしょう。

添加元素の影響

鋼にはクロム、モリブデン、ニッケル、マンガンなど、さまざまな元素が添加されます。

クロムは耐食性と硬さを高める効果があります。

モリブデンは高温強度や靭性を向上させる働きを持ちます。

ニッケルは靭性を高めつつ、低温環境での脆化を防ぐ効果が期待できます。

これらの元素を組み合わせることで、強度と靭性のバランスを細かく調整できるのが合金鋼の強みです。

結晶粒径と強度の関係

金属の内部は無数の結晶粒という小さな結晶の集まりで構成されています。

この結晶粒が細かいほど、材料の強度は高くなる傾向があります。

これはホールペッチの関係と呼ばれる、金属材料学における基本的な法則です。

圧延や熱処理の条件を工夫することで、結晶粒を微細化し強度を高めることが可能でしょう。

近年の高張力鋼板の多くも、この結晶粒微細化の技術によって強度と成形性を両立させています。

鉄の引張強度を他の金属と比較する

続いては鉄鋼材料の引張強度を、他の金属と比較しながら確認していきます。

強度だけを見ていると、鉄鋼材料がどれほど優れているのか実感しにくいかもしれません。

アルミニウムとの比較

純アルミニウムの引張強度はおよそ90メガパスカル程度と、非常に低めです。

ジュラルミンなどのアルミニウム合金になると、400から500メガパスカルまで強度が上がります。

それでも一般的な鋼材と比べると、強度面ではやや劣ると言わざるを得ません。

ただしアルミニウムは比重が鉄の約3分の1しかないため、重量あたりの強度では優れている場合もあります。

軽さを取るか強度を取るか、用途次第で選択が分かれるところでしょう。

チタンとの比較

チタン合金は600から1200メガパスカル程度の引張強度を持ちます。

数値だけ見ると高強度鋼と同等か、それ以上のものもあります。

比重は鉄の約57パーセントほどしかないため、軽量かつ高強度という理想的な特性を持つ材料です。

ただしコストが高く、航空機や医療機器など限られた分野での使用が中心になっています。

銅との比較

純銅の引張強度はおよそ200から250メガパスカル程度です。

これは純鉄とほぼ同じ水準と言えるでしょう。

銅は強度よりも導電性や熱伝導性が評価される金属であり、電線や配線部品に多用されています。

強度で選ぶ金属ではないという点は、覚えておいて損はないはずです。

引張強度から材料を選定する際の注意点

続いては実際に材料を選定する際の注意点を確認していきます。

数値だけを見て強い材料を選べば良い、というわけではありません。

用途に応じた強度選定

強度が高すぎる材料は、加工が難しくコストも上がりやすい傾向があります。

逆に強度不足の材料を選んでしまうと、破損や事故につながるおそれもあるでしょう。

まずは求められる荷重条件を明確にし、そのうえで必要十分な強度の材料を選ぶことが大切です。

過剰なオーバースペックは、コストの無駄につながってしまいます。

安全率の考え方

設計の現場では、引張強度をそのまま使用限界とすることはまずありません。

実際にかかる荷重に対して、一定の余裕を持たせた安全率を設定するのが一般的です。

許容応力=引張強度または降伏点÷安全率

一般的な機械部品では安全率3から5程度が用いられることが多いです。

なぜここまで余裕を取るのでしょうか。

材料のばらつきや想定外の荷重、経年劣化などを考慮する必要があるからです。

溶接や加工による強度低下

鋼材は溶接や切削加工によって、部分的に強度が変化することがあります。

溶接部は熱影響によって組織が変化し、母材よりも強度や靭性が低下しやすい箇所です。

また曲げ加工や穴あけ加工も、応力集中の原因となり得ます。

カタログ値の引張強度がそのまま製品全体の強度になるとは限らないという点は、しっかり意識しておきたいところです。

設計段階から加工方法まで見据えておくことが、トラブルを防ぐ近道と言えるでしょう。

まとめ

今回は鉄の引張強度について、種類別の一覧を交えながら解説してきました。

純鉄の引張強度はおよそ180から250メガパスカルと、実は決して高くありません。

一方で炭素鋼や合金鋼、ステンレス鋼などの鋼材になると、400から2000メガパスカル近くまで幅広い強度が実現されています。

炭素含有量や合金元素、熱処理の有無によって、同じ鉄という素材でも強度は大きく変わるものです。

材料を選ぶ際には、単純な引張強度だけでなく、降伏点や靭性、加工性、コストなども総合的に考慮する必要があります。

安全率を適切に設定し、用途に見合った鋼材を選定することが、安全で無駄のない設計につながるはずです。

ぜひ今回ご紹介した一覧表を、材料選定や強度確認の際の参考にしてみてください。

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