橋やビル、機械部品など、私たちの身の回りの構造物には常に様々な力がかかっています。

その中でも「曲げ応力度」は、部材の安全性を判断するうえで欠かせない指標です。

とはいえ、曲げ応力度の公式と聞くと、断面係数や曲げモーメントといった専門用語が並び、難しく感じてしまう方も多いのではないでしょうか。

実は、曲げ応力度の考え方は一つずつ丁寧に紐解いていけば、決して複雑なものではありません。

曲げ応力度の公式は?計算方法も!という疑問に答えるべく、この記事では基本の公式から実際の計算手順、断面係数や曲げモーメントとの関係まで、順を追って解説していきます。

構造設計や材料力学を学ぶ方はもちろん、資格試験の対策をしている方にも役立つ内容にまとめました。

ぜひ最後まで読んで、曲げ応力度の理解を深めていただければと思います。

曲げ応力度の公式は?結論から解説

それではまず曲げ応力度の公式について解説していきます。

曲げ応力度の公式は、次のように表されます。

σ = M ÷ Z

σ:曲げ応力度(N/mm2)

M:曲げモーメント(N・mm)

Z:断面係数(mm3)

この式が示しているのは、部材に生じる曲げ応力度が、曲げモーメントを断面係数で割った値になるということです。

曲げモーメントが大きいほど、また断面係数が小さいほど、曲げ応力度は大きくなります。

つまり、同じ荷重がかかっていても、部材の断面形状によって発生する応力度は変わってくるのです。

これが曲げ応力度を考えるうえでの結論であり、出発点になります。

曲げ応力度 公式という検索キーワードで調べる方の多くは、この基本式を知りたいはずです。

まずはこのシンプルな関係をしっかり頭に入れておきましょう。

なお、この公式は曲げモーメントによって生じる垂直応力度を求めるためのものです。

せん断力による応力度とは区別して考える必要があります。

曲げ応力度は曲げモーメントを断面係数で割ることで求められます。

断面係数が小さい部材ほど、同じ荷重でも曲げ応力度が大きくなりやすいため注意が必要です。

次の見出しからは、この公式を構成する曲げモーメントと断面係数について、それぞれ詳しく見ていきます。

曲げモーメントとは何か

続いては曲げモーメントについて確認していきます。

曲げモーメントとは、部材を曲げようとする力の作用のことです。

梁に荷重がかかると、その荷重の大きさと支点からの距離に応じてモーメントが発生します。

単位は一般にN・mmやkN・mで表されます。

曲げモーメントの求め方

単純梁に集中荷重がかかる場合、曲げモーメントは荷重と支点からの距離の積で求められます。

M = P × a × b ÷ L

P:集中荷重(N)

a、b:支点からの距離(mm)

L:スパン長(mm)

等分布荷重の場合は、また異なる計算式を用います。

荷重の種類や支持条件によって、曲げモーメントの計算方法は変わってきます。

そのため、まずは対象となる梁がどのような荷重条件なのかを正確に把握することが大切でしょう。

曲げモーメント図の役割

曲げモーメント図とは、梁の各断面に生じる曲げモーメントの大きさを図示したものです。

この図を見ることで、どの位置で最大の曲げモーメントが発生しているかが一目で分かります。

設計において最も重要なのは、最大曲げモーメントが発生する箇所です。

なぜなら、その位置で曲げ応力度も最大になる可能性が高いからです。

実務では、この曲げモーメント図をもとに危険断面を特定し、断面設計を行います。

曲げモーメントと荷重の関係

荷重が大きくなれば、当然曲げモーメントも大きくなります。

また、支点間の距離が長くなることでも、曲げモーメントは増加する傾向にあります。

そのため、スパンが長い構造物ほど、断面を大きくしたり材料を変更したりする対策が必要になるでしょう。

設計段階では、想定される荷重条件を正しく設定することが何より重要です。

荷重条件の設定を誤ると、曲げ応力度の計算結果そのものが意味を持たなくなってしまいます。

断面係数とは何か

続いては断面係数について確認していきます。

断面係数とは、部材の断面形状が曲げに対してどれだけ強いかを表す指標です。

記号はZで表され、単位はmm3やcm3が使われます。

断面係数が大きいほど、同じ曲げモーメントに対して発生する曲げ応力度は小さくなります。

断面係数の基本公式

断面係数は、断面二次モーメントを図心からの距離で割ることで求められます。

Z = I ÷ y

I:断面二次モーメント(mm4)

y:図心から縁端までの距離(mm)

断面二次モーメントIは、断面の形状によって計算式が異なります。

形状ごとの公式を覚えておくと、実務でスムーズに計算できるでしょう。

代表的な断面形状の断面係数

ここで、よく使われる断面形状の断面係数を一覧にまとめます。

断面形状 断面二次モーメントI 断面係数Z
長方形 bh3 ÷ 12 bh2 ÷ 6
円形 πd4 ÷ 64 πd3 ÷ 32
正方形 a4 ÷ 12 a3 ÷ 6
中空円形 π(D4−d4)÷ 64 π(D4−d4)÷ 32D

bは幅、hは高さ、dは直径、aは一辺の長さ、Dは外径を表します。

形鋼やH形鋼など複雑な断面の場合は、規格表に記載された断面係数を参照するのが一般的です。

断面係数と部材強度の関係

断面係数が大きい部材は、同じ荷重条件でも曲げ応力度が小さくなります。

つまり、断面係数を大きくすることが、曲げに強い部材を作る近道になります。

高さを増やすことで断面係数を効率よく大きくできるのは、長方形断面の公式からも分かるでしょう。

ただし、闇雲に断面を大きくするとコストや重量が増えてしまいます。

設計では、必要な強度とコストのバランスを取ることが求められます。

曲げ応力度の計算方法を実例で解説

それでは続いて、実際の数値を使って曲げ応力度を計算してみましょう。

ここでは、単純梁の中央に集中荷重がかかるケースを例にします。

計算条件の設定

スパンL:4000mm

集中荷重P:10000N(中央載荷)

断面:幅100mm、高さ200mmの長方形

まずは条件を整理することが、計算ミスを防ぐ第一歩です。

条件が複雑な場合は、図に書き起こすと分かりやすいでしょう。

曲げモーメントの計算

中央集中荷重の場合、最大曲げモーメントは次の式で求めます。

M = P × L ÷ 4

M = 10000 × 4000 ÷ 4 = 10000000 N・mm

この値が、この梁に生じる最大の曲げモーメントです。

中央付近が最も曲がりやすい箇所だと分かります。

断面係数と曲げ応力度の計算

次に、長方形断面の断面係数を求めます。

Z = bh2 ÷ 6

Z = 100 × 2002 ÷ 6 = 666666.7 mm3

最後に、これらの値を曲げ応力度の公式に当てはめます。

σ = M ÷ Z

σ = 10000000 ÷ 666666.7 ≒ 15 N/mm2

計算の結果、この梁に生じる曲げ応力度は約15N/mm2ということが分かりました。

この数値を、使用する材料の許容応力度と比較することで、安全性を判断できます。

曲げ応力度の計算は、曲げモーメントと断面係数をそれぞれ求めたうえで、割り算するだけのシンプルな流れです。

手順を分解すれば、決して難しい計算ではありません。

許容応力度との比較で分かる安全性の考え方

それでは続いて、許容応力度との関係について解説していきます。

曲げ応力度を計算しただけでは、その部材が安全かどうかは判断できません。

安全性を確認するには、算出した曲げ応力度と材料の許容応力度を比較する必要があります。

許容応力度とは

許容応力度とは、材料が安全に耐えられる応力の上限値のことです。

木材や鋼材、コンクリートなど、材料の種類によってこの値は大きく異なります。

曲げ応力度が許容応力度を下回っていれば、その部材は安全とみなされます。

逆に上回ってしまうと、部材が破損する危険性が高まるでしょう。

材料ごとの許容応力度の目安

代表的な材料の許容曲げ応力度の目安を表にまとめます。

材料 許容曲げ応力度の目安
構造用鋼材(SS400) 約156〜235 N/mm2
木材(スギ等級区分) 約7〜10 N/mm2
コンクリート 約2〜3 N/mm2(曲げ引張)

この数値はあくまで目安であり、実際には規格や設計基準に基づいた正確な値を確認する必要があります。

先ほどの計算例で得られた曲げ応力度15N/mm2は、木材であれば許容範囲を超える可能性がある一方、鋼材であれば十分安全な範囲に収まります。

安全率という考え方

設計の現場では、許容応力度に対してさらに余裕を持たせる安全率という考え方も使われます。

想定外の荷重や材料のばらつき、経年劣化などを考慮するためです。

安全率を高く設定するほど、構造物の安全性は高まりますが、コストも増加します。

設計者には、安全性と経済性の両方をバランスよく満たす判断力が求められるでしょう。

この判断こそが、構造設計における腕の見せどころといえるかもしれません。

曲げ応力度を計算する際の注意点

それでは続いて、計算時に気をつけたいポイントを確認していきます。

曲げ応力度の計算自体はシンプルですが、いくつか見落としやすい注意点があります。

単位の統一を徹底する

計算過程で最も多いミスが、単位の不統一によるものです。

荷重をNで、長さをmmで統一していれば、応力度はN/mm2で求まります。

途中でmとmmが混在してしまうと、桁が大きくずれた誤った結果になってしまいます。

計算前に、使用する単位系を最初に決めておくことをおすすめします。

荷重条件の見落としに注意

実際の構造物には、固定荷重だけでなく積載荷重や風荷重、地震荷重など複数の荷重が同時に作用します。

単一の荷重だけを考慮して計算してしまうと、実際よりも小さい曲げ応力度しか算出できません。

荷重の組み合わせをどう考えるべきか。

設計基準に定められた荷重の組み合わせを確認し、最も厳しい条件で計算することが重要です。

断面欠損の考慮

ボルト穴や溶接部など、断面の一部が欠損している場合は注意が必要です。

欠損部分を考慮せずに断面係数を計算すると、実際よりも高い強度があると誤認してしまいます。

特にボルト接合部では、欠損断面での検討が欠かせません。

設計基準では、有効断面積や有効断面係数を用いて検討するよう定められているケースがほとんどです。

細部まで気を配ることが、安全な構造物を作るための鍵になるでしょう。

まとめ

今回は曲げ応力度の公式は?計算方法も!というテーマで、基本的な考え方から実際の計算方法まで解説してきました。

曲げ応力度は、曲げモーメントを断面係数で割ることで求められます。

曲げモーメントは荷重条件や支持条件によって、断面係数は部材の形状によって、それぞれ決まる値です。

計算した曲げ応力度は、材料ごとの許容応力度と比較することで、初めて安全性を判断できます。

単位の統一や荷重条件の見落とし、断面欠損への配慮など、細かな注意点にも気を配る必要があるでしょう。

一つ一つの手順は決して難しいものではありません。

この記事で紹介した公式と計算例を参考に、ぜひご自身の設計や学習に役立てていただければ幸いです。

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