水というのは、私たちの身の回りにあまりにも当たり前に存在している物質です。

そのため、化学結合という視点であらためて見つめ直す機会は意外と少ないのではないでしょうか。

実は「水は共有結合と水素結合どっち?違いや関係をわかりやすく解説(分子間力:極性分子:化学結合の種類など)」というテーマは、化学を学ぶうえで非常に混同しやすいポイントのひとつです。

水分子そのものを作っている結合と、水分子同士をつなぎとめている力は、実はまったく別のしくみだからです。

この二つを一緒くたに考えてしまうと、沸点の高さや氷が水に浮く理由といった、水ならではの不思議な性質がうまく説明できなくなってしまいます。

この記事では共有結合と水素結合の違いを軸にしながら、分子間力や極性分子、化学結合の種類といった関連する内容もあわせて丁寧に解説していきます。

高校化学の復習をしたい方はもちろん、資格試験の勉強中の方にも役立つ内容を目指しました。

それでは、水の結合の正体について一緒に確認していきましょう。

結論 水分子の中は共有結合、水分子どうしは水素結合です

それではまず、この記事の結論にあたる部分から解説していきます。

水は共有結合と水素結合のどちらか一方というものではありません。

正確には両方の結合が別々の場所で働いているというのが答えです。

水分子一つひとつの内部、つまり酸素原子と水素原子をつなぐ結合は共有結合です。

一方で、水分子と水分子の間に働く弱い引力のことを水素結合と呼びます。

この違いを理解しないまま先に進むと、あとの説明がすべて曖昧になってしまうため注意が必要です。

水分子内のH‐O結合は共有結合です。

水分子どうしをつなぐのは水素結合です。

この二つは全く別のレベルの結合であるという点が最大のポイントになります。

水分子内のH‐O結合は共有結合

水の化学式はH2Oで表されます。

この化学式が示しているのは、酸素原子一個と水素原子二個が結びついてできた一つの分子です。

酸素原子と水素原子は、それぞれの原子が持つ電子を出し合い、共有することで結びついています。

この電子を共有する結合こそが共有結合です。

共有結合は分子内結合と呼ばれる強い結合の一種であり、簡単には切れません。

水を加熱して沸騰させても、H2Oという分子そのものが壊れて水素と酸素に分解されることはないでしょう。

これは、共有結合の強さを物語る身近な例といえます。

水分子間に働くのは水素結合という分子間力

続いては、水分子どうしの関係について確認していきます。

水は液体の状態でも固体の状態でも、無数の水分子が集まって存在しています。

このとき、隣り合う水分子の水素原子と、別の水分子の酸素原子との間に弱い引力が生まれます。

この引力のことを水素結合と呼びます。

水素結合は分子間力の一種であり、共有結合のような分子内結合とは性質が大きく異なります。

分子と分子の間をゆるやかに結びつける力、というイメージを持つとわかりやすいでしょう。

この力があるからこそ、水は特定の温度範囲で液体として存在できるのです。

共有結合と水素結合を混同しやすい理由

なぜ多くの人がこの二つを混同してしまうのでしょうか。

理由のひとつは、どちらの結合にも水素原子が関わっている点にあります。

共有結合ではH‐Oという形で水素が直接結びついていますし、水素結合という名前にも水素という文字が入っています。

そのため、名前の響きだけで同じ仲間のように錯覚しやすいのです。

しかし実際には、共有結合は分子を形作る強い結合であり、水素結合はその分子どうしをつなぐ弱い力です。

この違いを意識するだけで、化学結合の種類全体に対する理解がぐっと深まります。

共有結合とは何か しくみと特徴を確認

続いては、共有結合そのものについて詳しく確認していきます。

共有結合を理解することで、水素結合との違いがより鮮明になるはずです。

共有結合の定義と電子対共有のしくみ

共有結合とは、原子どうしが互いの電子を出し合い、電子対を共有することで結びつく化学結合の種類です。

原子は安定した電子配置を目指す性質を持っています。

単独では電子の数が不足している原子どうしが、電子を共有し合うことでお互いに安定した状態を作り出すのです。

水分子の場合で考えてみます。

酸素原子は電子を二個共有したい状態にあります。

水素原子は電子を一個共有したい状態にあります。

そのため酸素原子一個に対して水素原子二個が結びつき、H2Oという分子が完成します。

このように電子を共有してできる結合は、イオン結合や金属結合と並ぶ代表的な化学結合の種類のひとつです。

共有結合によってできた分子は非常に安定しており、簡単に分解されることはありません。

極性共有結合と無極性共有結合の違い

共有結合には、実はさらに細かい分類が存在します。

それが極性共有結合と無極性共有結合です。

電子を共有する二つの原子の電気陰性度が同じ場合、電子は均等に引き寄せられます。

これを無極性共有結合と呼びます。

一方、電気陰性度が異なる原子どうしの場合、電子はどちらか一方に偏って引き寄せられます。

これを極性共有結合と呼びます。

水の場合、酸素原子の電気陰性度が水素原子よりも高いため、電子は酸素側に偏ります。

この偏りこそが、後ほど説明する極性分子としての性質につながっていきます。

共有結合の強さと結合エネルギー

共有結合の強さは、結合エネルギーという数値で表すことができます。

結合エネルギーとは、その結合を切るために必要なエネルギーの大きさを示す指標です。

水のH‐O結合の結合エネルギーは一molあたりおよそ460キロジュール程度とされています。

これに対して、水素結合の結合エネルギーは一molあたり数十キロジュール程度にとどまります。

つまり共有結合は水素結合の十倍前後も強い結合ということになるのです。

この数値の差からも、共有結合がいかに壊れにくい結合であるかがわかるでしょう。

水素結合とは何か しくみと特徴を確認

続いては、水素結合について詳しく確認していきます。

水素結合がどのような条件で生まれるのかを知ることが、水の性質を理解する近道になります。

水素結合が生まれる条件

水素結合が発生するには、いくつかの条件がそろう必要があります。

まず、水素原子が電気陰性度の高い原子、たとえば酸素や窒素、フッ素と結びついていることが前提です。

電気陰性度の高い原子に引っ張られた水素原子は、わずかにプラスの電気を帯びた状態になります。

このプラスに偏った水素原子が、別の分子にある電気陰性度の高い原子と引き合うことで水素結合が生まれます。

水の場合は、酸素原子どうしがマイナスに、水素原子がプラスに偏っているため、まさにこの条件を満たしているのです。

水素結合の強さと共有結合との比較

水素結合は分子間力の中では比較的強い力に分類されます。

とはいえ、共有結合と比べるとその強さは大きく劣ります。

簡単に表現するなら、共有結合はがっちりと固定された結びつきであり、水素結合は緩やかに引き合う結びつきだといえるでしょう。

水が沸騰するとき、切れているのはどちらの結合でしょうか。

答えは水素結合です。

水蒸気になった状態でも、H2Oという分子そのもの、つまり共有結合は保たれたままなのです。

水素結合が水の性質に与える影響

水素結合は、水が持つさまざまな特異な性質の源になっています。

沸点や融点の高さ、比熱の大きさ、表面張力の強さなど、数え上げればきりがありません。

もし水分子どうしに水素結合が働いていなかったとしたら、水は常温で気体として存在していた可能性さえあるのです。

分子量だけで比べると、水と似た大きさの分子は常温で気体であることが多いためです。

それでも水が液体として存在できるのは、まさに水素結合のおかげといえるでしょう。

共有結合と水素結合の違いを一覧表で整理

続いては、これまでの内容を一覧表にまとめて整理していきます。

文章だけでは掴みにくい違いも、表にすると一目で理解しやすくなるはずです。

結合の種類ごとの特徴比較

まずは共有結合と水素結合の基本的な特徴を比較した表をご覧ください。

比較項目 共有結合 水素結合
結合の種類 分子内結合 分子間力
結びつく対象 原子と原子 分子と分子
結合の強さ 非常に強い 比較的弱い
結合エネルギーの目安 一molあたり数百キロジュール 一molあたり数十キロジュール
水における具体例 酸素原子と水素原子の結びつき 水分子どうしの結びつき
切れるとどうなるか 分子そのものが分解する 分子どうしが離れるだけ
加熱時の変化 ほとんど影響を受けない 比較的簡単に切れる

この表からもわかるように、共有結合と水素結合はまったく異なるレベルの結びつきです。

両者を同じ土俵で比べること自体、実はあまり適切ではないのかもしれません。

分子内結合と分子間力の違い

化学結合の種類を整理するとき、大きく二つの階層に分けて考えると理解しやすくなります。

ひとつは分子を作るための結合、もうひとつは分子どうしをつなぐ力です。

共有結合、イオン結合、金属結合などは前者、つまり分子内結合に分類されます。

これに対して、水素結合やファンデルワールス力は後者、つまり分子間力に分類されるのです。

分子内結合は分子の�नagakawaというより本体そのものを作る結合であり、分子間力はその分子どうしの関係性を決める力といえるでしょう。

化学結合の種類全体における位置づけ

ここで化学結合の種類全体を俯瞰しておきましょう。

代表的な結合には、共有結合、イオン結合、金属結合、そして分子間力としての水素結合やファンデルワールス力があります。

イオン結合は陽イオンと陰イオンが電気的な引力で結びつく結合です。

金属結合は自由電子を介して金属原子どうしが結びつく結合です。

これらと比較すると、水の中で起きている現象は、共有結合による分子形成と、水素結合による分子間の結びつきという二段構えになっていることが、あらためてよくわかるのではないでしょうか。

極性分子である水が持つ性質と分子間力の関係

続いては、水がなぜ極性分子と呼ばれるのか、その理由を確認していきます。

極性分子という性質こそが、水素結合という分子間力を生み出す土台になっています。

水はなぜ極性分子なのか

極性分子とは、分子内で電荷の偏りがある分子のことを指します。

水分子はく字型、正式には折れ線形と呼ばれる立体構造を持っています。

酸素原子の電気陰性度が高いため、共有電子対は酸素側に引き寄せられます。

その結果、酸素原子側がわずかにマイナス、水素原子側がわずかにプラスの電荷を帯びることになるのです。

酸素原子の電荷はδマイナスと表されます。

水素原子の電荷はδプラスと表されます。

この記号は、完全なイオンではなく、わずかな電荷の偏りを示す表記です。

もし水分子が直線形をしていたら、電荷の偏りが打ち消し合い、極性を持たなかった可能性があります。

実際に直線形をしている二酸化炭素は、極性を持たない無極性分子として知られています。

極性分子が引き起こす分子間力の種類

分子間力には、実はいくつかの種類が存在します。

すべての分子に共通して働くファンデルワールス力、極性分子どうしに働く双極子間力、そして水素結合です。

水素結合は、双極子間力の中でも特に強い部類に入る特別な力といえます。

水が極性分子であることは、この水素結合が生まれるための大前提になっているのです。

逆にいえば、極性を持たない無極性分子どうしの間には、水素結合は発生しません。

水素結合が生み出す水の特異な物性

水素結合の存在は、水にさまざまな特異な物性をもたらしています。

たとえば水は、同じくらいの分子量を持つ他の物質と比べて、驚くほど比熱が大きいことで知られています。

これは、温度を上げるために水素結合を振り切るエネルギーが余分に必要になるためです。

また、水は極性を持つため、塩や砂糖といった極性を持つ物質をよく溶かす性質も備えています。

これも極性分子としての水の性質が関わっている代表的な例でしょう。

水の共有結合と水素結合が関わる身近な現象

続いては、実生活の中で観察できる、水の結合に関わる現象について確認していきます。

理屈だけでなく具体例を知ることで、理解がより定着しやすくなるはずです。

沸点や融点が異常に高い理由

水と似た分子量を持つ物質、たとえば硫化水素と比較してみましょう。

硫化水素の沸点はマイナス60度程度と非常に低い温度です。

それに対して水の沸点は100度と、圧倒的に高い数値を示します。

この違いを生んでいる原因こそが水素結合です。

硫黄は酸素ほど電気陰性度が高くないため、硫化水素の分子間には強い水素結合が働きません。

そのため分子どうしが簡単に離れてしまい、低い温度でも気体になってしまうのです。

一方の水は、水素結合という強めの分子間力に引き止められているため、100度まで加熱しなければ気体にならないのです。

氷が水に浮く理由と水素結合

氷が水に浮くという現象も、実は水素結合と深く関わっています。

液体の水では、水分子は絶えず動き回りながら、比較的密に集まっています。

ところが温度が下がって氷になると、水分子は水素結合によって規則正しい六角形の構造を作り始めます。

この規則的な構造は、液体のときよりも分子と分子の間にすき間が多くなる特徴を持っています。

すき間が多いということは、同じ体積あたりの重さ、つまり密度が小さくなるということです。

その結果、氷は液体の水よりも軽くなり、水面に浮かぶことになるのです。

水素結合が作る規則的な構造が、この身近な現象の正体だったというわけです。

表面張力や毛細管現象との関係

コップに水をぎりぎりまで注いだとき、水面がわずかに盛り上がって見えることはありませんか。

この現象は表面張力と呼ばれ、これも水素結合が関係しています。

水の表面にある分子は、内部の分子ほど周囲から引っ張られていないため、内側に引き込まれるような力が働きます。

この力の正体こそ、水分子どうしを引き合わせている水素結合なのです。

また、植物が根から吸い上げた水を高い場所まで運べる毛細管現象も、水分子どうしの水素結合による結びつきが土台になっています。

細い管の中を水が上っていく様子は、まさに水素結合の働きを日常生活で目にできる貴重な例といえるでしょう。

まとめ

ここまで、水は共有結合と水素結合どっちなのかというテーマについて、違いや関係を詳しく解説してきました。

結論として、水分子の内部にある酸素原子と水素原子の結びつきは共有結合です。

そして、その水分子どうしを緩やかに結びつけている力が水素結合でした。

共有結合は分子内結合として非常に強く、水素結合は分子間力として比較的弱いという明確な違いがあります。

この違いを理解しておくことで、水の高い沸点や氷が水に浮く理由、表面張力といった身近な現象を、化学的な視点から説明できるようになるはずです。

また、水が極性分子であることも、水素結合という分子間力が生まれるための重要な条件でした。

化学結合の種類は多岐にわたりますが、身近な水を題材にすることで、共有結合と水素結合という二つの概念を、より実感を持って理解できたのではないでしょうか。

これから水にまつわる化学の話に触れたときは、ぜひ今回の内容を思い出してみてください。

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