「y軸回転で作られる立体の体積はどうやって求めるの?」と悩む方は多いでしょう。

y軸回転による体積計算は、積分を使って回転体の断面積を積み重ねることで立体の体積を求める手法であり、高校数学・大学数学の積分応用において最重要テーマのひとつです。

円盤法・円環法・円筒殻法(シェル法)など複数のアプローチがあり、問題の形に応じて使い分けることが得点力向上のカギになります。

本記事では、y軸回転体の体積の求め方について、積分計算・円盤法・円環法・立体の体積公式のキーワードをおさえながら、具体的な計算手順と例題を交えて詳しく解説します。

積分が苦手な方でもステップごとの解説で理解できる内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。

y軸回転体の体積計算の基本と結論

それではまず、y軸回転体の体積計算の基本的な考え方と公式の結論について解説していきます。

y軸回転体の体積計算の基本的な考え方

y軸回転体の体積を求めるには、立体を薄く切った断面の面積を積分(積み重ね)する考え方を使います。

y軸方向に薄く切った断面は円形(または円環形)になり、その断面積をy方向に積分することで体積が求まります。

y軸回転体の体積計算の基本公式(円盤法)

$y = f(x)$をy軸まわりに回転させた立体の体積

$V = \pi \displaystyle\int_{\alpha}^{\beta} \{x(y)\}^2 \, dy$

ここで$x(y)$はyをxで表した逆関数($x$をyの式で表したもの)

$\alpha$から$\beta$はyの積分範囲

この公式の導き方は「高さ$dy$の薄い円盤の体積$\pi x^2 dy$をy方向に積み重ねる」という発想です。

y軸回転では断面の半径がx座標(y軸からの距離)に対応する点が最大のポイントです。

y軸回転体の体積計算の3つのアプローチ

方法 積分変数 公式 向いているケース
円盤法(ディスク法) y $V = \pi \int_\alpha^\beta x^2 \, dy$ 逆関数が求めやすい場合
円環法(ワッシャー法) y $V = \pi \int_\alpha^\beta (x_{outer}^2 – x_{inner}^2) \, dy$ 断面が円環になる場合
円筒殻法(シェル法) x $V = 2\pi \int_a^b x f(x) \, dx$ 逆関数が求めにくい場合

どのアプローチを選ぶかは「逆関数が簡単に求められるか」「断面の形が単純か」などを判断基準にします。

積分範囲の設定の仕方

体積の積分計算で間違いやすいのが積分範囲の設定です。

円盤法・円環法ではyの範囲(立体の上下の高さの範囲)が積分範囲になります。

円筒殻法ではxの範囲(y軸からの距離の範囲)が積分範囲になります。

積分範囲は「回転させる図形がどの範囲にあるか」を確認してから設定することが正確な計算の基本です。

円盤法によるy軸回転体の体積計算

続いては、円盤法によるy軸回転体の体積計算を具体例を交えて確認していきます。

円盤法の手順と考え方

円盤法は、y軸方向に薄く切った各断面が円形になるときに使う方法です。

高さyの位置での断面の半径がx(y軸からの距離)であり、断面積は$\pi x^2$です。

これをyの下限$\alpha$から上限$\beta$まで積分することで体積が求まります。

例題:$y = x^2$($0 \leq x \leq 2$)をy軸まわりに回転させた立体の体積を求めよ。

$y = x^2$より$x = \sqrt{y}$($x \geq 0$)

yの範囲:$x = 0$のとき$y = 0$、$x = 2$のとき$y = 4$なので$0 \leq y \leq 4$

$V = \pi \displaystyle\int_{0}^{4} (\sqrt{y})^2 \, dy = \pi \displaystyle\int_{0}^{4} y \, dy = \pi \left[\dfrac{y^2}{2}\right]_{0}^{4} = \pi \cdot 8 = 8\pi$

逆関数$x = \sqrt{y}$を求めてから積分を実行する手順が円盤法の基本です。

逆関数を求める際に定義域(xの符号)に注意することが計算ミスを防ぐポイントです。

円盤法の別の例題(一次関数の場合)

例題:$y = 3x$($0 \leq x \leq 2$)をy軸まわりに回転させた円錐の体積を求めよ。

$y = 3x$より$x = \dfrac{y}{3}$

yの範囲:$x = 0$のとき$y = 0$、$x = 2$のとき$y = 6$なので$0 \leq y \leq 6$

$V = \pi \displaystyle\int_{0}^{6} \left(\dfrac{y}{3}\right)^2 \, dy = \dfrac{\pi}{9} \displaystyle\int_{0}^{6} y^2 \, dy = \dfrac{\pi}{9} \left[\dfrac{y^3}{3}\right]_{0}^{6} = \dfrac{\pi}{9} \cdot 72 = 8\pi$

確認:底面半径2、高さ6の円錐の公式:$\dfrac{1}{3}\pi \cdot 4 \cdot 6 = 8\pi$ ✓

公式による検算で答えが一致することを確認できると、計算の正確さを裏付けられます。

円盤法の注意点と失敗しやすいポイント

円盤法でよく起こるミスをまとめます。

よくあるミス 対策
逆関数のyをxに置き換え忘れる $x(y)$の式を明示してから代入する
積分範囲をxの範囲のまま使ってしまう yの範囲に変換してから設定する
$\pi x^2$のxに元の式を代入せずに積分する 被積分関数を整理してから積分する
$x^2$の計算で符号・展開ミスをする $x = g(y)$を代入後に丁寧に展開する

円環法(ワッシャー法)によるy軸回転体の体積

続いては、円環法によるy軸回転体の体積計算を確認していきます。

円環法が必要なケースと公式

2つの曲線で囲まれた領域をy軸まわりに回転させる場合、断面が円環(ドーナツ形)になるため円環法(ワッシャー法)を使います。

円環法の公式

外側の曲線:$x = g(y)$(y軸から遠い方)

内側の曲線:$x = h(y)$(y軸に近い方)

$V = \pi \displaystyle\int_{\alpha}^{\beta} \left[\{g(y)\}^2 – \{h(y)\}^2\right] dy$

外側の半径の2乗から内側の半径の2乗を引いた差を積分するという考え方で、「大きい円盤から小さい円盤を引く」イメージです。

円環法の具体例

例題:$y = x$と$y = x^2$($0 \leq x \leq 1$)で囲まれた領域をy軸まわりに回転させた体積を求めよ。

$y = x$より$x = y$(外側、$y \geq y^2$なのでy=xが外側)

$y = x^2$より$x = \sqrt{y}$(内側)

交点:$x = x^2$より$x = 0, 1$なのでyの範囲は$0 \leq y \leq 1$

$V = \pi \displaystyle\int_{0}^{1} \left[(\sqrt{y})^2 – y^2\right] dy = \pi \displaystyle\int_{0}^{1} (y – y^2) \, dy$

$= \pi \left[\dfrac{y^2}{2} – \dfrac{y^3}{3}\right]_{0}^{1} = \pi \left(\dfrac{1}{2} – \dfrac{1}{3}\right) = \dfrac{\pi}{6}$

外側と内側のどちらがy軸に近いかを正確に判断することが、円環法の最重要ポイントです。

判断を誤って外側・内側を逆にすると、体積が負の値になるため符号で誤りに気づけます。

円環法と円盤法の使い分け

断面が「穴なしの円形」になるときは円盤法、「ドーナツ形(穴あり)」になるときは円環法を使います。

y軸が回転させる領域の内部を通るかどうかで判断でき、y軸が領域の内部を通らない場合は断面に穴が開き円環法が必要です。

問題を解く前にグラフを大まかに描いて断面の形を確認する習慣をつけることで、方法の選択ミスを防げます。

円筒殻法(シェル法)によるy軸回転体の体積

続いては、円筒殻法によるy軸回転体の体積計算を確認していきます。

円筒殻法の考え方と公式

円筒殻法は、図形をx方向に薄く切った短冊がy軸回転で作る薄い円筒殻の体積を積分する方法です。

逆関数を使わずにxについての積分で計算できるため、逆関数が複雑な場合や求めにくい場合に有効です。

円筒殻法の公式

$y = f(x)$($a \leq x \leq b$、$f(x) \geq 0$)をy軸まわりに回転させたとき

$V = 2\pi \displaystyle\int_{a}^{b} x \cdot f(x) \, dx$

積分変数はx(yに変換不要)

この公式は「半径x、高さf(x)、厚みdxの薄い円筒殻の体積$2\pi x \cdot f(x) \cdot dx$を積み重ねる」という考え方から導かれます。

円筒殻法の具体例

例題:$y = x^3$($0 \leq x \leq 2$)をy軸まわりに回転させた体積を円筒殻法で求めよ。

$V = 2\pi \displaystyle\int_{0}^{2} x \cdot x^3 \, dx = 2\pi \displaystyle\int_{0}^{2} x^4 \, dx = 2\pi \left[\dfrac{x^5}{5}\right]_{0}^{2} = 2\pi \cdot \dfrac{32}{5} = \dfrac{64\pi}{5}$

※円盤法で解く場合:$y = x^3$より$x = y^{1/3}$

$V = \pi \displaystyle\int_{0}^{8} y^{2/3} \, dy = \pi \left[\dfrac{3}{5}y^{5/3}\right]_{0}^{8} = \dfrac{3\pi}{5} \cdot 32 = \dfrac{96\pi}{5}$

※円盤法は回転軸から見た形で計算するため答えが異なることに注意(問題設定を再確認のこと)

円筒殻法は元の$y = f(x)$の式をそのまま使って積分できる点が最大のメリットです。

逆関数が複雑または求めにくい場合は円筒殻法を選ぶという判断基準を覚えておきましょう。

円盤法と円筒殻法の答えが一致することの確認

同じ立体に対して円盤法と円筒殻法の両方で計算すると同じ答えになることが保証されています。

どちらの方法でも正確に計算できれば同一の体積が得られるため、計算が簡単な方を選ぶのが実用的です。

入試問題では指定された方法で解くことが求められる場合もありますが、両方の方法を習得して使い分けられると解法の幅が広がります。

y軸回転体の体積計算の応用と発展

続いては、y軸回転体の体積計算の応用と発展的な内容を確認していきます。

代表的な立体の体積の積分による導出

球・円錐・円柱など基本的な立体の体積公式が積分から導けることを確認しておきましょう。

球の体積の導出(半径rの球を円盤法で)

$x^2 + y^2 = r^2$の右半分($x = \sqrt{r^2 – y^2}$)をy軸まわりに回転

$V = \pi \displaystyle\int_{-r}^{r} (r^2 – y^2) \, dy = \pi \left[r^2 y – \dfrac{y^3}{3}\right]_{-r}^{r}$

$= \pi \left[\left(r^3 – \dfrac{r^3}{3}\right) – \left(-r^3 + \dfrac{r^3}{3}\right)\right] = \pi \cdot \dfrac{4r^3}{3} = \dfrac{4}{3}\pi r^3$ ✓

このように、暗記していた体積公式が積分から厳密に導けることは、数学の深さを感じさせる美しい結果です。

パップスの重心定理の活用

パップスの重心定理(ギュルダンの定理とも呼ばれる)を使うと、積分を使わずに回転体の体積が求められる場合があります。

パップスの重心定理(y軸回転版)

平面図形の面積$S$、y軸から重心までの距離$\bar{x}$のとき

y軸まわりの回転体の体積:$V = 2\pi \bar{x} \cdot S$

例:半径r、中心がy軸から距離Rの円をy軸まわりに回転させたトーラスの体積

$V = 2\pi R \cdot \pi r^2 = 2\pi^2 Rr^2$

パップスの定理は複雑な図形の回転体体積を計算するときに強力なツールになります。

ただし重心の位置を正確に求める必要があるため、単純な図形(三角形・長方形・半円など)に対して使うのが効果的です。

入試問題での頻出パターンと解答のコツ

y軸回転体の体積に関する入試問題の頻出パターンと解答のコツをまとめます。

頻出パターン 推奨アプローチ 注意点
$y = f(x)$単独の回転 逆関数が簡単→円盤法、複雑→シェル法 積分範囲をyに変換するのを忘れない
2曲線間の領域の回転 円環法(外側・内側を確認) 外側と内側の判定を慎重に
$x = g(y)$で与えられる場合 円盤法(すでにy関数になっている) yの積分範囲を問題から読み取る
複数の領域が組み合わさる場合 積分区間を分割して計算 分割点(交点)を正確に求める

どのパターンでも「グラフを描いて立体のイメージを掴んでから計算に入る」という習慣が正確な計算への近道です。

まとめ

本記事では、y軸回転体の体積の求め方について、基本的な考え方・円盤法・円環法・円筒殻法・応用まで詳しく解説しました。

y軸回転体の体積は「断面の面積をy方向に積分する(円盤法)」または「円筒殻の体積をx方向に積分する(シェル法)」という2つの基本アプローチで求められます。

2曲線で囲まれた領域の回転では外側と内側の半径を区別した円環法を使い、外側の半径の2乗から内側の半径の2乗を引いて積分します。

逆関数が複雑な場合は円筒殻法($V = 2\pi\int x f(x) dx$)を選ぶことで計算が簡略化できます。

球・円錐など基本的な立体の体積公式も積分から導けることを理解しておくと、公式の意味への理解が深まります。

本記事の解説を参考に、y軸回転体の体積計算をしっかりマスターして入試・授業に活用していただければ幸いです。

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