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吸水率の計算式は?求め方と測定手順も!(重量変化・乾燥重量・含水率・パーセント計算・実験方法など)

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吸水率の計算は、材料試験・食品科学・建材評価など幅広い分野で日常的に行われる基本的な作業です。

しかし「乾燥重量をどう定めるのか」「含水率と吸水率の違いは何か」「実験の手順で注意すべき点は何か」といった疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。

吸水率の計算式自体はシンプルですが、その適用には正確な乾燥操作・質量測定・表面水の処理など、細部への注意が求められます。

本記事では、吸水率の計算式の基本から、求め方の手順・重量変化の取り扱い・含水率との違い・実験方法まで、実践的な観点から丁寧に解説していきます。

目次

吸水率の計算式:基本公式と結論

それではまず、吸水率の計算式の基本と結論について解説していきます。

吸水率(water absorption)は、材料が水を吸収した量を乾燥状態の質量に対するパーセントで表した値です。

吸水率の基本計算式

吸水率(%)= (W₂ − W₁)/ W₁ × 100

W₁:乾燥状態の質量(乾燥重量)

W₂:吸水後の質量(表面水除去後)

分母に乾燥重量を置くことが吸水率計算の絶対的な基本です。

この式は非常にシンプルですが、W₁(乾燥重量)の定め方が分野・規格によって異なるため、計算前に基準の確認が必要です。

一般的には105℃乾燥炉で恒量になるまで乾燥させた絶乾状態の質量を W₁ として使用します。

また、W₂ の測定では表面に余分な水が残っていると吸水率が過大評価されるため、表面水の処理が重要なポイントになります。

分野 W₁の基準 W₂の条件 主な規格
建材(タイル) 105℃絶乾質量 24時間浸漬後、表面水拭き取り JIS A 5209
コンクリート骨材 105℃絶乾質量 24時間浸漬後、SSD状態 JIS A 1109/1110
食品(米・穀物) 105℃絶乾質量または現状乾量 所定時間浸漬後、表面水拭き取り 研究・JAS等
高分子材料 24h乾燥後質量(50〜105℃) 所定条件での浸漬後測定 JIS K 7209等

使用する規格に応じて乾燥温度・乾燥時間・浸漬時間・水温を確認したうえで試験を実施することが求められます。

吸水率の求め方:ステップ別の手順

続いては、吸水率の求め方をステップ別に確認していきます。

吸水率を正確に求めるためには、乾燥・浸漬・質量測定の各ステップを正確に実施することが不可欠です。

ステップ1:試料の乾燥と乾燥重量の測定

最初のステップは試料の乾燥です。

試料を乾燥炉(105 ± 5℃)に入れ、恒量になるまで乾燥させます。

恒量とは、一定時間(通常2時間以上)乾燥を続けても質量変化がほぼなくなった状態を指します。

JIS規格では通常「連続した2回の測定値の差が試料質量の0.1%以内」を恒量の条件とすることが多いです。

乾燥後は必ずデシケーターに移し、完全に室温まで冷却してから質量を測定します。

このとき精度0.01 g 以上の電子天秤を使用することが推奨されます。

乾燥重量(W₁)を記録したら、試料をすみやかに次の浸漬ステップに移します。

ステップ2:浸漬操作

乾燥重量を測定した試料を水に浸漬します。

浸漬に使用する水は通常蒸留水または清水(20 ± 5℃)が標準ですが、試験規格によって水温の指定が異なる場合があります。

試料が完全に水中に沈んでいることを確認し、必要に応じて重りや金属メッシュで固定します。

浸漬容器は試料が十分に水に浸かる大きさのものを使用し、試料の周囲に水が循環できるよう余裕を持たせます。

浸漬時間は規格や目的に応じて設定しますが、多くの場合24時間が標準条件です。

複数の浸漬時間での吸水率を比較したい場合は、同じ条件で複数の試料を用意して異なる時間で取り出すと効率的です。

ステップ3:表面水の除去と吸水後質量の測定

浸漬終了後、試料を水から取り出します。

取り出した直後に湿らせたタオルや布で表面の余分な水を速やかに拭き取り、すみやかに質量を測定します。

拭き取りの時間が長くなったり、過剰に拭いたりすると、吸収された水分まで取り除いてしまう可能性があります。

一定の手順と時間で操作を行うことが再現性確保のカギです。

骨材などの粒状材料では、試料全体を広げて表面水を均一に拭き取る方法や、コーンテストによるSSD状態の確認が行われます。

吸水後質量(W₂)を記録したら、計算式に代入して吸水率を算出します。

重量変化に基づく吸水率の詳細計算

続いては、重量変化に基づく吸水率の詳細計算を確認していきます。

吸水率の計算は、基本的には浸漬前後の重量変化をもとにしたシンプルな演算ですが、複数の試料や経時変化を扱う場合にはいくつかの計算上の注意が必要です。

複数試料の平均吸水率の計算

試験では通常3個以上の試料を使用し、各試料の吸水率を個別に計算してから平均を取ります。

複数試料の平均吸水率の計算例

試料1:W₁ = 50.0 g、W₂ = 51.3 g → 吸水率 = 2.6%

試料2:W₁ = 49.8 g、W₂ = 51.0 g → 吸水率 = 2.4%

試料3:W₁ = 50.2 g、W₂ = 51.5 g → 吸水率 = 2.6%

平均吸水率 = (2.6 + 2.4 + 2.6)/ 3 = 2.53%(≈ 2.5%)

標準偏差 = 0.12%(ばらつきの評価にも使用)

各試料間のばらつきが大きい場合(例:最大値と最小値の差が平均値の20%超など)は、試験条件の見直しや再試験を検討します。

また、報告書には平均値だけでなく各個別値と標準偏差も記載することで、データの信頼性をより明確に示すことができます。

経時変化の計算と吸水曲線の作成

浸漬時間 t での吸水率 A(t) を複数の時点で計算することで、吸水曲線を作成できます。

経時吸水率の計算例(同一試料を複数の時点で取り出して測定)

乾燥重量 W₁ = 100.0 g

30分後:W₂ = 122.0 g → A(30) = 22.0%

60分後:W₂ = 126.5 g → A(60) = 26.5%

120分後:W₂ = 128.8 g → A(120) = 28.8%

240分後:W₂ = 129.5 g → A(240) = 29.5%

吸水率の増加速度は初期に大きく、時間とともに減少して飽和に近づくことが確認できます。

この吸水曲線を数学モデル(ペレグモデル・フィックの拡散則など)でフィッティングすることで、最大吸水率や拡散係数などの材料定数を求めることができます。

吸水率と単位体積あたりの吸水量への換算

吸水率(質量ベース)から単位体積あたりの吸水量(体積ベース)に換算する際には、材料の密度が必要です。

体積吸水率の計算

体積吸水率(%)= 吸水率(%)× ρ_材料 / ρ_水

ここで ρ_材料:材料の見かけ密度(g/cm³)、ρ_水:水の密度(≈1.0 g/cm³)

例:見かけ密度 2.0 g/cm³ の材料で吸水率 2.5% の場合

体積吸水率 = 2.5 × 2.0 / 1.0 = 5.0%

体積ベースの評価は、間隙率や空隙率との比較・凍害リスク評価などに活用されます。

吸水率と含水率の違いと使い分け

続いては、吸水率と含水率の違いと使い分けを確認していきます。

吸水率と含水率はしばしば混同されますが、定義・用途・計算方法が異なる別の指標です。

含水率の定義と計算式

含水率(moisture content)は、材料中に現在含まれている水の量を示す指標です。

乾燥基準(dry basis)の含水率は次の式で計算します。

含水率(乾燥基準)= (W_wet − W_dry)/ W_dry × 100(%)

W_wet:現状(湿潤)質量、W_dry:乾燥質量

一方、湿潤基準の含水率(食品・農産物でよく用いる)

含水率(湿潤基準)= (W_wet − W_dry)/ W_wet × 100(%)

含水率は現時点での水分保有状態を示すのに対し、吸水率は「試験条件下でどれだけ水を吸えるか」という材料の特性・能力を示す指標です。

つまり、吸水率は材料固有の性質に近く、含水率はその材料が置かれている環境条件によって変化します。

吸水率・含水率・飽水率の比較

吸水率に関連した指標として飽水率(saturation coefficient)もあります。

飽水率は常温浸漬での吸水量と、加圧・真空処理による強制吸水量(最大吸水能力)の比であり、凍害抵抗性の評価に使われます。

指標 定義 主な用途
吸水率 浸漬後の吸収水量 / 乾燥質量 × 100 材料の水吸収能力の評価
含水率(乾燥基準) 現状の水分量 / 乾燥質量 × 100 木材・食品・土の水分状態
含水率(湿潤基準) 現状の水分量 / 湿潤質量 × 100 食品表示・農産物評価
飽水率 常温吸水率 / 強制吸水率 × 100 凍害抵抗性の評価

これらの指標の違いを正確に理解することで、試験データの正しい解釈と材料特性の適切な評価が可能になります。

実験での注意点とデータの品質管理

吸水率の測定では、次のような点に特に注意することでデータの信頼性を確保できます。

第一に、乾燥炉の温度精度と均一性を定期的に確認することが重要です。

温度が設定値より低いと不完全乾燥となり、乾燥重量が過大になります。

第二に、電子天秤の定期的な校正と使用前のゼロ点確認を行うことで、質量測定の精度を保ちます。

第三に、試料の取り出し・表面水拭き取り・質量測定までの時間を一定にすることで、操作によるばらつきを最小化します。

第四に、試験水の温度管理(恒温水槽の使用や水温の記録)を行い、温度変動の影響を排除します。

まとめ

本記事では、吸水率の計算式と求め方について、基本公式・乾燥重量の考え方・測定手順・重量変化の計算・含水率との違い・実験方法まで詳しく解説してきました。

吸水率(%)= (W₂ − W₁)/ W₁ × 100という基本公式を正確に理解し、乾燥操作・浸漬条件・表面水処理の各ステップを規格に従って丁寧に実施することが、精度の高い吸水率データ取得の基本です。

含水率・飽水率との違いを理解したうえで、目的に応じた指標を使い分けることが材料評価の精度向上につながります。

試験の再現性を高めるための各種管理ポイントも参考にしながら、実験・試験の品質向上に役立てていただければ幸いです。

本記事が吸水率の理解と実践に貢献できれば幸いです。

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