科学

吸水率とは?計算方法や求め方をわかりやすく解説!(定義・公式・測定方法・材料特性・多孔質材料など)

当サイトでは記事内に広告を含みます

建材や岩石、セラミックスなどを扱う場面で「吸水率」という言葉に出会うことがあります。

吸水率は材料がどれだけ水を吸い込む性質を持っているかを示す指標であり、建物の耐久性・断熱性・凍害抵抗性などの評価に直結する重要な物性値です。

しかし「具体的にどうやって計算するのか」「何をどう測定すればよいのか」といった疑問を持つ方は少なくないでしょう。

本記事では、吸水率の定義・公式・測定方法から、多孔質材料における挙動、材料特性との関係まで、わかりやすく丁寧に解説していきます。

建築・土木・材料工学に携わる方や、これから学ぼうとしている学生・研究者の方にとっても参考になる内容です。

ぜひ最後まで読み進めてみてください。

目次

吸水率とは何か:定義と基本概念の結論

それではまず、吸水率の定義と基本概念について解説していきます。

吸水率(water absorption rate)とは、材料が水に浸漬された際に吸収した水の質量を、乾燥状態の材料の質量に対するパーセント(%)で表した値です。

吸水率が高いほど材料が水を吸いやすく、逆に低いほど吸水しにくい性質を持つことを意味します。

吸水率の基本公式:吸水率(%)= (吸水後の質量 − 乾燥質量)/ 乾燥質量 × 100

この公式が吸水率の計算すべての出発点です。分母に乾燥質量を用いる点が最大のポイントです。

吸水率の概念は非常にシンプルですが、適用される材料の種類(コンクリート・タイル・骨材・岩石・木材など)によって測定手順や評価基準が異なります。

また、「含水率」と混同されることがありますが、含水率は材料中に現在存在する水分量を示すのに対し、吸水率は水を吸収できる能力・吸い込んだ量の割合を示す点で区別されます。

吸水率が高い材料は、凍結融解による劣化(凍害)や、汚れ・カビの付着などに対して脆弱になりやすいという特性があります。

そのため、建築材料の品質評価においては吸水率の管理が非常に重要です。

材料の種類 吸水率の目安 主な評価規格
磁器質タイル 0.5% 以下 JIS A 5209
せっ器質タイル 0.5 ~ 5% JIS A 5209
陶器質タイル 5 ~ 50% JIS A 5209
コンクリート用骨材(砂) 1 ~ 3% JIS A 1109
コンクリート用骨材(砂利) 0.5 ~ 2% JIS A 1110
岩石・石材 0.1 ~ 10%(種類による) JIS M 0201 など

この表からわかるように、材料の種類によって吸水率は大きく異なります。

規格ごとに許容値が定められており、試験方法も詳細に規定されています。

吸水率の計算方法と公式

続いては、吸水率の計算方法と公式を確認していきます。

吸水率の計算は基本的にシンプルですが、乾燥質量の定義と吸水後の状態の取り扱いに注意が必要です。

基本公式と各変数の意味

吸水率の計算に使う基本公式は次のとおりです。

吸水率(%)= (m₂ − m₁)/ m₁ × 100

m₁:乾燥状態の質量(g)

m₂:吸水後の質量(g)

例:乾燥質量 50.0 g の骨材を24時間水に浸漬後、表面水を拭き取り質量を測定したところ 51.2 g であった場合

吸水率 = (51.2 − 50.0)/ 50.0 × 100 = 2.4%

計算自体はシンプルですが、「乾燥質量」の定め方が規格によって異なる点に注意が必要です。

一般的には絶乾状態(105℃乾燥炉で恒量になるまで乾燥した状態)の質量を m₁ として使用します。

乾燥条件が不十分だと乾燥質量が過大になり、吸水率が小さく見積もられてしまうため、試験前の乾燥操作は慎重に行う必要があります。

表面乾燥飽和状態(SSD)の概念

コンクリート用骨材の吸水率測定では、表面乾燥飽和状態(SSD:Saturated Surface Dry condition)という概念が使われます。

SSD 状態とは、骨材の内部の間隙は水で飽和しているが、表面には余分な水が付着していない状態のことです。

吸水後に表面の余分な水分を取り除いてSSD状態にした試料の質量(m₂)と、絶乾質量(m₁)の差が吸水量となります。

表面水を完全に取り除く操作は技術的に難しく、試験者のスキルや手順によって結果がばらつくことがあるため、試験方法の標準化が重要です。

JIS A 1109(細骨材の密度および吸水率試験方法)やJIS A 1110(粗骨材の密度および吸水率試験方法)では、この操作の手順が詳細に規定されています。

浸漬時間と吸水率の関係

吸水率は浸漬時間によっても変化します。

材料に水が浸入するには時間がかかるため、短時間の浸漬では真の吸水率に達していない場合があります。

JIS規格では多くの場合、24時間浸漬を標準条件としていますが、材料の種類によっては48時間や72時間の浸漬を指定するものもあります。

また、加圧法(真空吸水)により強制的に間隙に水を浸入させて測定する方法もあり、この場合は「強制吸水率」と区別されます。

浸漬時間・温度・試料サイズなど、試験条件の統一が比較可能なデータ取得の基本となります。

吸水率の測定方法と実験手順

続いては、吸水率の測定方法と実験手順を確認していきます。

吸水率の測定は基本的にシンプルな手順ですが、各ステップでの注意事項を守ることで再現性の高いデータが得られます。

乾燥操作と恒量確認

測定の最初のステップは、試料を絶乾状態にすることです。

試料を乾燥炉(105 ± 5℃)に入れ、24時間以上乾燥させます。

「恒量」とは、一定時間ごとに質量を測定したときに変化がほぼなくなった状態(連続した2回の測定値の差が0.1%以内など)を指します。

恒量に達したことを確認してから乾燥質量(m₁)を記録します。

乾燥後は、デシケーター(乾燥剤入りの密閉容器)に移して室温まで冷却したうえで質量を測定するのが基本です。

デシケーターを使用しないと、冷却中に空気中の水分を吸収してしまい、乾燥質量が過大に測定されます。

浸漬操作と表面水の除去

絶乾質量を測定した後、試料を水(通常は20 ± 5℃の清水)に完全に沈める形で浸漬します。

浸漬中に試料が水面から出ないよう、必要に応じて重りを使って水中に固定します。

規定の時間(多くは24時間)が経過したら試料を取り出し、表面の余分な水を湿ったタオルや布で丁寧に拭き取り、すみやかに質量を測定します。

拭き取りの強さや時間によって表面水の除去度合いが変わるため、一貫した操作が重要です。

骨材では、コーン(円錐形モールド)に試料を入れてコーンを引き抜いたときの崩れ方でSSD状態を判断する方法(コーンテスト)がJIS規格で定められています。

計算と報告書への記載

測定値が得られたら、基本公式に代入して吸水率を計算します。

試験は通常2回以上実施し、平均値を採用するのが原則です。

複数回の測定値の差が規格で定める許容範囲を超える場合は、再試験が必要です。

報告書には、試料の種類・試験日・乾燥条件・浸漬時間・水温・測定値・計算結果・使用した規格・試験者の情報を記載します。

また、試験温度や乾燥条件が規格から外れた場合は、その旨と理由も記録しておくことが推奨されます。

多孔質材料における吸水率の特性

続いては、多孔質材料における吸水率の特性について確認していきます。

多孔質材料とは、内部に多数の空隙(ポア)を持つ材料のことで、コンクリート・岩石・セラミックス・木材・発泡体などが代表例です。

これらの材料では、空隙の構造が吸水率に強く影響します。

開口空隙と閉口空隙の違い

多孔質材料の空隙には、外部と連通している開口空隙(open pore)と、外部から孤立した閉口空隙(closed pore)があります。

吸水率の測定で評価されるのは、水が浸入できる開口空隙の体積です。

閉口空隙は水が到達できないため、吸水率には寄与しません。

例えば、泡立てて製造した気泡コンクリート(ALC)では多くの空隙が閉口型であり、見かけの空隙率は高くても吸水率は比較的低い場合があります。

一方、凝灰岩などの多孔質岩石では開口空隙が多く、吸水率が高くなる傾向があります。

毛管圧力と吸水のメカニズム

水が多孔質材料に浸入する主要なメカニズムの一つが毛管圧力(capillary suction)です。

細い管(毛管)では、水と管壁の濡れ性(接触角)と表面張力によって自発的に水が吸い上げられます。

空隙が細かいほど毛管圧力は大きく、水が吸い上げられやすくなります。

ただし、空隙が非常に細かい場合(ゲル孔など)は移動速度が遅く、時間をかけてゆっくりと吸水が進みます。

このため、多孔質材料では浸漬直後の吸水速度と長時間後の吸水率が大きく異なることがあります。

吸水速度(単位時間あたりの吸水量)を「吸水速度係数(sorptivity)」として測定することで、材料の水移動特性をより詳しく評価できます。

吸水率と材料の耐久性の関係

吸水率は材料の耐久性評価において重要な指標です。

特に凍害(freezing-thawing damage)は、材料内部の水が凍結時に体積膨張(約9%)することで発生するひび割れや剥離であり、吸水率が高い材料ほど凍害リスクが高まります。

外壁タイルや舗装ブロックでは、吸水率の規定値を満たすことが凍害抵抗性の基準として用いられています。

また、吸水率が高い材料は化学物質(塩分・酸・アルカリ)の浸透も受けやすく、化学的劣化のリスクも増大します。

材料選定の際には吸水率を一つの指標として活用し、使用環境の過酷さに応じた材料を選ぶことが重要です。

吸水率に影響する材料特性と改善方法

続いては、吸水率に影響する材料特性と改善方法を確認していきます。

吸水率は材料の製造・加工・使用環境によって変化します。

吸水率を低減することで材料の耐久性・意匠性・機能性を高めることができます。

焼成温度と吸水率の関係(タイル・セラミックス)

タイルやセラミックス製品では、焼成温度が吸水率に大きく影響します。

焼成温度が高いほど素地が緻密に焼き締まり、開口空隙が減少して吸水率が低下します。

磁器質タイル(焼成温度1200℃以上)は吸水率0.5%以下の非常に緻密な製品であり、陶器質タイル(焼成温度1000℃程度)は吸水率が高い粗い素地を持ちます。

焼成時の雰囲気(酸化・還元)や原料組成(長石・石英・カオリンの配合)も吸水率に影響します。

水セメント比と吸水率の関係(コンクリート)

コンクリートでは、水セメント比(W/C)が透水性・吸水率を左右する最重要変数の一つです。

水セメント比が低いほど硬化後の組織が緻密になり、吸水率が低下します。

また、混和材(フライアッシュ・高炉スラグ微粉末・シリカフューム)の使用によってセメントペーストの緻密化が促進され、吸水率をさらに低減することができます。

養生条件(湿潤養生の期間と方法)も組織の緻密化に影響するため、適切な養生管理が重要です。

表面処理と撥水剤による吸水率の低減

既存材料の吸水率を低減するための後処理として、撥水剤や浸透性吸水防止材の塗布が広く用いられています。

シリコーン系・シラン系の撥水剤は材料表面や内部空隙の壁面に吸着し、水との接触角を大きくすることで毛管圧力を低減します。

これにより、雨水・結露水・地下水などの浸入を効果的に抑制することができます。

ただし、撥水処理は永続するものではなく、使用環境や紫外線・摩耗などによって効果が低下するため、定期的な再塗布が必要です。

処理効果の評価には、撥水処理前後の吸水率測定が有効です。

まとめ

本記事では、吸水率の定義・公式・測定方法・多孔質材料における特性・材料特性との関係・吸水率の改善方法まで幅広く解説しました。

吸水率(%)= (吸水後の質量 − 乾燥質量)/ 乾燥質量 × 100という基本公式を正確に理解し、乾燥条件・浸漬時間・表面水の処理といった試験手順の各ステップを丁寧に実施することが、信頼性の高いデータ取得の基本です。

多孔質材料では開口空隙の構造・毛管圧力・材料製造条件が吸水率を大きく左右し、凍害や化学的劣化との関係も深いため、耐久性設計において吸水率の管理は欠かせません。

適切な材料選定と表面処理の組み合わせで、吸水率を管理しながら建材・製品の品質向上を図ることができます。

本記事が吸水率の理解と実務への応用に役立てば幸いです。

ABOUT ME
white-circle7338
私自身が今まで経験・勉強してきた「エクセル」「ビジネス用語」「生き方」などの情報を、なるべくわかりやすく、楽しく、発信していきます。 一緒に人生を楽しんでいきましょう