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回折角とは?意味や求め方は?(光の回折:回折現象:物理:波長:スリット:ヤングの実験など)

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光が細いスリットや小さな穴を通り抜けるとき、直進するだけでなく影の領域にも回り込む現象を回折と呼びます。

この回折が起きるとき、光がどの方向に進むかを定量的に示すのが「回折角」です。

ヤングの実験をはじめ、CD・DVDの光の色づき、X線による結晶解析など、回折角は現代科学技術の根幹を支える重要な物理量です。

本記事では、回折角の意味と定義から、光の回折現象のしくみ、スリットや回折格子での回折角の求め方まで、物理初学者にもわかりやすく丁寧に解説します。

目次

回折角とは何か?定義と物理的意味

それではまず、回折角の定義と物理的意味から解説していきます。

回折角(diffraction angle)とは、回折現象によって光(または波)が元の進行方向から曲がる角度のことです。

一般には、入射波の進行方向(または格子面の法線方向)を基準として、回折した波が進む方向との角度として定義されます。

回折とは何か

波(光・音・水波など)が障害物の端や小さな開口部を通るとき、波はその後ろ側に回り込んで進む性質があります。

この現象を回折(diffraction)といい、波の本質的な性質のひとつです。

回折が顕著に起きる条件は、開口部の大きさや障害物のサイズが波長と同程度かそれ以下であることです。

例えば光の波長は400〜700nmですが、CDのトラック間隔(約1.6μm)はこれに近いため、CDに光を当てると鮮やかな回折が見られるのです。

回折角の方向と定義の基準

回折角の基準と方向は、実験の文脈によって若干異なる場合があります。

実験・状況 回折角の基準方向 記号
単スリット・回折格子 入射光の進行方向(スリット法線) θ
ヤングの実験(二重スリット) スリット面の法線方向 θ
X線回折(ブラッグの法則) 結晶格子面(入射角と同じ側) θ(ブラッグ角)

本記事では主に可視光の回折格子・スリットに関する回折角(入射方向からの角度)を扱いますが、X線回折については別項で触れます。

回折角と波長の基本関係

回折角は波長と密接な関係にあります。

同じスリット幅・格子定数でも、波長が長い光ほど回折角が大きく(大きく曲がる)、波長が短い光ほど回折角が小さくなります。

これが、プリズムを使わなくても回折格子で光を分光できる理由であり、分光器の原理の根幹をなしています。

光の回折現象とスリットによる回折

続いては、光の回折現象の詳細と、スリットによる回折パターンについて確認していきます。

単スリットによる回折

幅aの単スリットに単色光(波長λ)を当てると、スリットの後方にスクリーンを置いたとき明暗の縞模様が現れます。

暗線(極小)の位置(回折角θ)は次の式で与えられます。

単スリットの暗線条件:

a sin θ = m λ(m = ±1, ±2, ±3, …)

a:スリット幅(m)

λ:波長(m)

θ:回折角

m:整数(次数)

中央(m = 0)に最も明るい主極大があり、両側にm = ±1, ±2…の暗線が対称に並びます。

スリット幅aが小さいほど回折が広がり、波長λが長いほど回折角が大きくなることが式から読み取れるでしょう。

ヤングの実験(二重スリット)

ヤングの二重スリット実験は、光の波動性を示した歴史的に重要な実験です。

間隔dの2本のスリットに波長λの光を当てると、スクリーン上に干渉縞が現れます。

明線(極大)の条件:

d sin θ = m λ(m = 0, ±1, ±2, …)

暗線(極小)の条件:

d sin θ = (m + 1/2) λ(m = 0, ±1, ±2, …)

d:スリット間隔(m)

この式から、スリット間隔が狭いほど縞の間隔が広がること(回折角が大きくなること)がわかります。

回折現象における波の重ね合わせ原理

回折が起きる本質は、ホイヘンスの原理にあります。

スリットを通過した光の各点が新しい波源となり、それらの球面波(または円形波)が重ね合わさることで干渉パターンが形成されます。

位相が揃う方向では波が強め合い(明線)、位相がずれる方向では弱め合い(暗線)が現れるのです。

この重ね合わせの結果として現れる明暗パターンの各位置が、それぞれの回折角に対応しているでしょう。

回折格子と回折角の計算式

続いては、回折格子における回折角の計算方法について確認していきます。

回折格子とは

回折格子(diffraction grating)とは、一定間隔dで多数の細い溝(スリット)を平行に刻んだ光学素子です。

格子定数d(隣接する溝の中心間距離)が波長λと同程度のとき、光が回折します。

二重スリットと比べて格子の本数が多いため、回折光の方向が非常に鋭く確定され、精密な分光が可能です。

回折格子の基本式と回折角の計算

回折格子の基本式(格子方程式):

d sin θ = m λ

d:格子定数(隣接する溝の間隔、m)

θ:回折角(入射方向からの角度)

m:回折次数(0, ±1, ±2, …)

λ:波長(m)

この式を変形すると、回折角θは次のように求められます。

θ = arcsin(m λ / d)

例:格子定数d = 1.0 × 10⁻⁶ m(1μm)の回折格子に波長λ = 500nm(5.0 × 10⁻⁷ m)の光を入射した場合、1次回折(m = 1)の回折角は:

sin θ = 1 × 5.0 × 10⁻⁷ / 1.0 × 10⁻⁶ = 0.5

θ = arcsin(0.5) = 30°

m = 2の場合はsin θ = 1.0となり θ = 90°(ぎりぎり観測可能)、m = 3以上はsin θ > 1 となるため観測できません。

回折次数と見える光の色

白色光(可視光全体)を回折格子に当てると、次数mごとに各波長の光が異なる角度に分かれてスペクトルが現れます。

0次光(m = 0)は回折せず直進します。

1次光(m = ±1)では紫側(λ小)ほど内側、赤側(λ大)ほど外側に回折します。

2次以上では次数の重なりが生じ、スペクトルが複雑になります。

CDやDVDに光を当てると虹色に輝くのは、まさにこの回折格子としての機能によるものでしょう。

回折角の求め方:具体的な計算例

続いては、回折角を具体的な数値で求める計算例を確認していきます。

可視光の回折角計算例

格子定数d = 600本/mm(つまりd = 1/600 mm ≒ 1.667 × 10⁻⁶ m)の回折格子を使った場合を考えます。

光の色 波長λ(nm) 1次回折角θ(m=1) 2次回折角θ(m=2)
400 13.9° 28.7°
450 15.7° 32.7°
550 19.2° 41.2°
590 20.7° 45.1°
700 24.8° 57.0°

表から、波長が長い(赤い)光ほど回折角が大きく、波長が短い(紫の)光ほど回折角が小さいことが確認できます。

次数が大きくなるほど各波長の回折角の差も広がり、スペクトルの分散が大きくなる傾向があります。

スクリーンでの縞間隔への変換

実験では回折角θよりも、スクリーン上での縞の位置(スリットからの距離y)として観測することが多いです。

スリットからスクリーンまでの距離をLとすると:

y = L tan θ ≒ L sin θ(θが小さい場合)

ヤングの実験での明線間隔Δy:

Δy = λL / d

この式は回折角が小さい(sin θ ≈ θ)近似が成り立つ場合に適用できます。

スクリーンの距離Lを大きくするほど縞の間隔が広がり、測定が容易になるでしょう。

X線回折とブラッグ角

X線回折(XRD)では、結晶格子が回折格子の役割を果たします。

ブラッグの法則は次のように表されます。

2d sinθ = n λ

d:格子面間隔(m)

θ:ブラッグ角(入射X線と格子面のなす角)

n:正整数(回折次数)

λ:X線の波長(m)

ここでのθはブラッグ角と呼ばれ、可視光の回折格子実験とは角度の定義が異なります(格子面との角度)。

X線回折は結晶構造の解明や材料解析に広く使われており、DNA二重らせん構造の発見にも貢献した重要な技術です。

まとめ

本記事では、回折角の定義・物理的意味から、単スリット・ヤングの実験・回折格子における計算方法まで体系的に解説しました。

回折角とは、波が障害物や開口部で回折する際に元の進行方向から曲がる角度であり、d sinθ = mλ という格子方程式で計算できます。

波長が長いほど回折角は大きく、格子定数(スリット間隔)が小さいほど回折角も大きくなります。

この性質を利用した回折格子は精密な分光器として、また結晶のX線回折は材料科学の基礎として、現代科学技術に欠かせない役割を果たしています。

回折角の理解は光学・物理・化学・材料工学など多くの分野に共通する基礎知識でしょう。

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