科学において、物質の状態を変化させたとき想像もしないような現象が発生することがあります。
例えば、身近な液体である水が蒸発して水蒸気になった場合には、非常に体積が大きくなることを知っていましたか?「多くて数倍程度かな?」とイメージしていますが、それよりも全然大きな倍率となっています。
ここでは、計算式を用いて「水から水蒸気に変化するとその体積が何倍になるのか」ということについて確認していきます。
目次
水が蒸発し水蒸気になると体積は1700倍近くになる
まず結論から言ってしまうと、通常の圧力下で水が水蒸気に変化するときには体積は約1700倍となります。
結構びっくりな数値ではないでしょうか?
ただ、これは理論的にも説明でき、以下で詳細を確認しましょう。
・水の体積の計算
このとき、水の密度1g/cm3と気体の状態方程式PV=nRTを使用することで、水と水蒸気の関係を導出できます。
例えば、水が100mol分あるとします。水の分子量を18g/molで温度変化してもほぼ一定であることを活用しますと、このとき1800g分の水が存在することになります。
さらに、水の密度は1g/cm3であることから、100molの水は1800cm3=1.8Lの体積の水に相当することがわかります。
・水が水蒸気に変化した時の体積の求め方
続いて、水は約100℃で沸騰、蒸発し、水蒸気に変化することを考え、気体の状態方程式を利用します。
このとき、大気圧下なのでP=1atm、V=XL、n=100mol、R=0.0821 atm・L/(mol・K)、T=273+100=373Kという数値を代入していきます。
すると、1・x=100・ 0.0821 ・373 よりx=3062.33Lの水蒸気が生まれることになります。
よって、3062.33 ÷ 1.8 = 1701.・・・=約1700倍と変換できるのです。
やはり、1700倍にまで体積が増えていることが驚きといえますよね。
なお、水蒸気と似た言葉である蒸気との違いについてはこちらで解説しているため、参考にしてみてください。
まとめ
ここでは、大気圧(1atm)で水が蒸発し水蒸気となったときには体積が何倍になるのかということについて解説しました。
この倍率を考えるには、まず水の物質量を指定し、その体積を計算しておきます。続いて、気体の状態方程式(PV=nRT)を利用し、気体になった場合の水蒸気に体積も求めるのです。
そして、気体(水蒸気)と水の体積を比較するとおよそ1700倍となることがわかるのです。
数値を覚えるというよりも、この計算方法自体を覚えておくといつでも計算できるため、おすすめです。
さまざまな科学現象を理解し、より毎日を楽しんでいきましょう。