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飽和透水係数とは?意味や定義をわかりやすく解説!(土質力学:透水性:土壌:地盤工学:単位:測定方法など)

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地盤工学や土質力学を学ぶとき、必ず登場する重要な概念のひとつが飽和透水係数です。

地盤中の水の動きを把握することは、盛土・掘削・ダム・地下水利用など土木工学のあらゆる場面に関わる根本的な問題です。

本記事では、飽和透水係数の意味・定義・単位から、ダルシーの法則との関係・測定方法の概要まで、初学者にもわかりやすく丁寧に解説します。

地盤工学・土質力学を学ぶ学生から、実務で地盤の透水性を扱う技術者まで幅広くお役立ていただける内容です。

目次

飽和透水係数とは?意味と本質を理解する

それではまず、飽和透水係数の定義と物理的意味から解説していきます。

飽和透水係数(saturated hydraulic conductivity)とは、土壌や地盤が完全に水で飽和した状態において、単位水頭差・単位断面積あたりに単位時間に透過する水の量を表す係数のことです。

記号はk(またはks、Ks)で表され、地盤の透水性の高低を定量的に示す最も基本的な指標です。

飽和透水係数の本質:土や地盤の「水の通しやすさ」を数値化したもの。kの値が大きいほど水が通りやすい(透水性が高い)地盤であり、小さいほど水が通りにくい(不透水性に近い)地盤を意味する。砂地盤と粘土地盤では10万倍以上の差がある場合もある。

飽和状態の意味

「飽和」とは、土の間隙(粒子間の隙間)がすべて水で満たされた状態を指します。

地下水面以下の地盤は基本的に飽和状態にあり、地下水の流動・排水・圧密などの現象は飽和透水係数を用いて解析されます。

地下水面より上の不飽和状態では、気体(空気)も間隙に存在するため透水性が変化しますが、飽和透水係数はあくまで飽和状態での値として定義されています。

ダルシーの法則との関係

飽和透水係数はダルシーの法則(Darcy’s law)の比例係数として定義されます。

ダルシーの法則:

q = k × i

または

Q = k × i × A

q:流量フラックス(単位断面積あたりの流量、m/s)

Q:全断面での流量(m³/s)

k:飽和透水係数(m/s)

i:動水勾配(水頭差 / 浸透距離、無次元)

A:断面積(m²)

この式からわかるように、飽和透水係数kは「動水勾配が1のとき(単位水頭差・単位距離)に単位断面を通過する流量」として理解できます。

動水勾配iが大きいほど、また透水係数kが大きいほど流量が増大するのです。

透水係数と透水度・浸透率の違い

混同しやすい類似用語との違いを整理しておきましょう。

用語 記号 定義 単位
飽和透水係数 k ダルシー則の比例係数(水を基準) m/s、cm/s
透水度(透過率) K 流体の粘性・密度に依存しない地盤固有の透水性 m²、ダルシー
浸透率 k(石油工学) 石油・ガス工学での透過率(主にダルシー単位) ダルシー(D)

土質力学・地盤工学で単に「透水係数」といえば飽和透水係数k(単位:m/s または cm/s)を指すのが一般的です。

飽和透水係数の単位と数値範囲

続いては、飽和透水係数の単位と、土質ごとの典型的な数値範囲を確認していきます。

SI単位と実用単位

飽和透水係数の単位はダルシーの法則の式から導かれます。

k = q / i = (m/s)/(無次元)= m/s

SI単位:m/s

実用単位:cm/s(地盤工学で最も多く使用)

換算:1 cm/s = 0.01 m/s = 10⁻² m/s

日本の土質試験ではcm/s が最も広く使われる実用単位であり、データシートや地盤調査報告書でもcm/s表記が標準的です。

土質別の典型的な飽和透水係数

地盤の種類によって飽和透水係数は非常に広い範囲(数十桁以上)にわたります。

土質の種類 飽和透水係数 k(cm/s) 透水性の評価
粗砂礫・礫 10⁻¹ 〜 10¹ 非常に高い
粗砂 10⁻² 〜 10⁻¹ 高い
細砂・中砂 10⁻³ 〜 10⁻² 中程度
シルト質砂 10⁻⁵ 〜 10⁻³ 低い
シルト 10⁻⁷ 〜 10⁻⁵ 非常に低い
粘土 10⁻⁹ 〜 10⁻⁷ ほぼ不透水

砂礫と粘土の飽和透水係数は最大で10桁以上の差があることが表からよくわかります。

この広大な数値範囲こそが、透水係数を対数スケールで表すことが多い理由でしょう。

透水性の工学的分類

地盤工学では透水係数の大きさから透水性を次のように分類することがあります。

透水性の分類(Casagrandeによる目安):

k > 10⁻² cm/s:透水性が高い(ドレーン・基礎排水に留意)

10⁻⁴ 〜 10⁻² cm/s:透水性が中程度(法面排水・圧密に注意)

10⁻⁶ 〜 10⁻⁴ cm/s:透水性が低い(緩やかな地下水流)

k < 10⁻⁶ cm/s:実用上、ほぼ不透水(遮水材料として使用可)

粘土がダムコアや遮水シートの代替として使われるのは、その飽和透水係数の小ささによるものでしょう。

飽和透水係数に影響する主な要因

続いては、飽和透水係数の大きさを左右する主要な要因を確認していきます。

粒子サイズ・粒度分布

飽和透水係数に最も大きな影響を与えるのは、土粒子のサイズ(粒径)です。

粒子が大きいほど間隙も大きくなり、水が通りやすくなります。

ハーゼン(Hazen)の式は均等砂における飽和透水係数の経験式として広く知られています。

ハーゼンの式(均等砂への適用):

k = C × D₁₀²

k:透水係数(cm/s)

C:定数(約1.0〜1.5 cm⁻¹s⁻¹)

D₁₀:粒径加積曲線の10%通過粒径(cm)

D₁₀が大きい(粗い)ほど透水係数が大きく、粒径の二乗に比例して透水性が上昇することがこの式から読み取れます。

間隙比・間隙率

同じ土質でも、間隙比e(土の固体体積に対する間隙体積の比)が大きいほど透水係数が大きくなります。

締め固められた(密な)地盤は間隙比が小さく透水性が低く、ゆるい(疎な)地盤は間隙比が大きく透水性が高くなります。

これは、締固め施工が遮水目的の盛土で重要な理由のひとつです。

水温・粘性

飽和透水係数は水の粘性(動粘性係数)に反比例します。

水温が上昇すると粘性が低下するため透水係数が増大します。

温度補正式:

k₂₀ = kT × ηT / η₂₀

k₂₀:20℃換算の透水係数

kT:測定温度Tでの透水係数

ηT:温度Tでの水の動粘性係数

η₂₀:20℃での水の動粘性係数(1.004 × 10⁻⁶ m²/s)

試験では測定時の水温を記録し、標準温度(15℃または20℃)に補正した値を報告することが求められます。

飽和透水係数の測定方法の概要

続いては、飽和透水係数を実際に測定する代表的な方法の概要を確認していきます。

室内試験の2種類

室内(ラボ)でのk測定には定水位透水試験と変水位透水試験の2種類があります。

定水位透水試験(constant head test)は透水性の高い砂質土に適用され、一定の水頭差を保ちながら試料を通過した水量を計測してkを求めます。

変水位透水試験(falling head test)は透水性の低いシルト・粘土質土に適用され、水頭が時間とともに低下する速度からkを求めます。

試験方法 適用土質 透水係数の範囲 計算式の特徴
定水位透水試験 砂・砂礫 k > 10⁻³ cm/s k = QL/(Aht)(直接計算)
変水位透水試験 シルト・粘土 k < 10⁻³ cm/s k = (aL/At)ln(h₁/h₂)(対数計算)

現場試験

現場でのk測定には、現場透水試験(揚水試験・注水試験)やルジオン試験(岩盤)などが用いられます。

室内試験は乱れた試料(不撹乱試料の採取が難しい)を使う場合に精度が劣ることがあり、実際の地盤条件を反映した現場透水試験が信頼性の高い値を与えることが多いとされています。

まとめ

本記事では、飽和透水係数の意味・定義・単位・影響因子・測定方法の概要まで幅広く解説しました。

飽和透水係数kとは、土が完全に水で飽和した状態でのダルシー則の比例係数であり、地盤の「水の通しやすさ」を定量的に表す最も基本的な指標です。

単位はm/sまたはcm/sで表され、土質によって粘土(10⁻⁹ cm/s程度)から礫(10¹ cm/s程度)まで10桁以上の幅があります。

粒径・間隙比・水温などが透水係数に大きく影響し、定水位・変水位の室内試験や現場透水試験によって測定されます。

飽和透水係数は地盤工学・土質力学の根幹をなす概念であり、地下水解析・圧密計算・遮水設計など多くの実務に欠かせない知識でしょう。

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