直角度の測定は機械加工品・構造部品・精密部品の品質保証において不可欠な検査工程であり、適切な測定器具と正しい手順を理解することが精確なデータ取得につながります。
測定器具の選定・基準の取り方・測定位置の決め方によって結果が大きく変わるため、目的に応じた適切な測定方法の習得が重要です。
本記事では、直角度測定の代表的な方法・使用する器具の特徴・具体的な測定手順・測定誤差の要因と対策について詳しく解説していきます。
目次
直角度測定の代表的な方法と適用場面
それではまず、直角度測定の代表的な方法とそれぞれの適用場面について解説していきます。
各測定方法の比較
| 測定方法 | 測定精度 | 適用場面 | 主な器具 |
|---|---|---|---|
| スコヤ目視法 | 低(0.1 mm程度) | 現場の簡易確認 | 精密スコヤ |
| ダイヤルゲージ法 | 中(0.01 mm程度) | 量産品の工程検査 | 定盤・ダイヤルゲージ |
| オートコリメーター法 | 高(数秒角) | 光学・精密機器部品 | オートコリメーター |
| 三次元測定機(CMM) | 最高(μm以下) | 精密部品・複雑形状 | CMM |
定盤とダイヤルゲージを使った直角度測定手順
定盤・ダイヤルゲージ法の測定手順
①定盤(グラニットまたは鋳鉄製)を水平に設置する
②ワーク(被測定物)をデータム面が定盤面に接するように設置する
③ダイヤルゲージをスタンドに固定し、測定面に接触させる
④ダイヤルゲージを定盤面に垂直な方向(測定方向)に移動させる
⑤移動範囲全体での読み取り値の最大値と最小値を記録する
⑥直角度誤差 = 最大値 – 最小値
ワークのデータム面と定盤面の密着度が測定精度に直接影響するため、接触面の清掃と密着確認が測定前の必須作業です。
精密スコヤを使った直角度測定の手順
続いては、精密スコヤを使った直角度測定の具体的な手順について確認していきます。
精密スコヤの種類と特徴
精密スコヤにはシリンダースコヤ(円筒型)・ブロックスコヤ(直方体型)・L型スコヤなどの種類があり、用途と測定面の形状に応じて選択します。
JIS B 7526に規定される精密スコヤは0級・1級・2級の精度等級があり、最高精度の0級は最大許容誤差が非常に小さく、精密測定に対応します。
スコヤを使った直角度の目視測定手順
スコヤ法の測定手順
①定盤上にワークを安定して設置する
②スコヤの基準面をワークのデータム面に当てる
③スコヤの測定辺と測定面の間の隙間を観察する
④隙間に光を当てて漏れ方(光の漏れる位置と大きさ)を確認する
⑤必要に応じてシックネスゲージ(隙間ゲージ)で隙間量を計測する
隙間の位置(上部・下部・中央)から傾きの方向・量を概略評価し、精密測定が必要な場合はダイヤルゲージ・CMMへ移行します。
三次元測定機(CMM)による直角度測定
続いては、三次元測定機(CMM)による高精度直角度測定について確認していきます。
CMMによる直角度測定の手順
CMMによる直角度測定では、プローブでデータム面と測定面の多数の測定点座標を取得し、ソフトウェアが最小二乗法などのアルゴリズムで各面の基準を定め、直角度を自動計算します。
測定点数が多いほど評価精度が向上するため、高精度要求部品では測定点を9点以上(3×3グリッド以上)取得することが推奨されます。
測定誤差の要因と対策
直角度測定における主な誤差要因として、温度による熱膨張・定盤の平面度誤差・測定力による変形・ワークの設置姿勢のずれがあります。
精密測定では温度管理(20±1℃)・定盤の定期校正・最小測定力の設定・ワークの3点支持による安定設置を徹底することが誤差低減の基本です。
まとめ
本記事では、直角度の測定方法(スコヤ・ダイヤルゲージ・CMM)・各方法の手順・精度・誤差要因と対策について詳しく解説しました。
現場の簡易確認にはスコヤ・工程検査にはダイヤルゲージ法・高精度要求部品にはCMMという使い分けが実務の基本です。
ダイヤルゲージ法では定盤・ワーク接触面の清掃と密着確認が測定精度確保の前提であり、CMMでは測定点数と温度管理が重要です。
適切な測定器具の選定と正しい測定手順の実施が、直角度管理を通じた製品品質の確保に直結するでしょう。