ある物体を水などの溶液中に入れたときの温度変化を考える場面がよくあります。
このような計算問題では、熱量保存の法則(Q=mct、Q=mc⊿t)を適用することによって解くことができます。
ただ、この熱量保存則は使い方を間違えやすく、きちんと理解しておくことが大事です。
ここでは「Q=mctという熱量保存の法則の使用方法」「関連用語の熱容量、比熱」について解説していきます。
目次
熱量保存の公式 q=mctとは?【Q=mcδt:Q=mc(t2-t1)】
それでは早速熱量保存の法則の計算式ついて確認していきます。
この熱量に関する公式は、正確にはQ=mcΔTと表せ、Q:熱量(エネルギー)[J]、mは物質の質量[kg]、cは物体の比熱[J/(kg/・K)]、ΔTは温度変化分[K]に相当します。
比熱cとは
ここで比熱とは何か考えていきます。比熱とは、一言でいうと「物質の温まりにくさ」を表す指標であり、物質ごとに固有の数値です。なお、大きいほど温まりにくいことを意味します。
よく使用する水、鉄などの数値を以下にまとめましたので、参考にしてみてください。
物質名 | 比熱「J/(g・K)」 |
水 | 4.19 |
鉄 | 0.448 |
アルミ | 0.901 |
銅 | 0.386 |
熱容量とは?比熱との違い【C=mcの式】
さらに、熱量保存の法則を解く前の呼ぶ知識として、熱容量についても考えていきます。
熱量量とは比熱と似ており、混同する人も多いでしょう。
ただ、熱容量とは上の熱量保存の公式において「質量m×比熱c(小文字)」に相当するものであり、記号C(大文字のC)で表します。
つまり、物質固有の数値だけでなくその質量分も考慮したものであるため、量によっても変化する指標が熱容量といえます。
きちんと比熱と熱容量との違いを理解しておきましょう。なお、熱容量も大きいほど、温まりにくいことは比熱と共通しています。
熱量変化の計算問題を解いてみよう【水、銅の比熱とQ=mc⊿t】
それでは、上の熱量保存の公式の使い方を理解するために、実際に計算問題を解いていきましょう。
例題1
ある水温が15度の水100gの中に、質量200gで80度の銅を入れ、温度が一定になったとします。
このときの温度は何度になるでしょうか。水の比熱を4.2、銅の比熱を0.38として計算してましょう。
解答1
上の熱量保存の法則(Q=mc(t2-t1))を適用していきます。
状態が変化した後の温度をTとおくと、100×4.2×(T-15)=200×0.38×(80-T)⇔420T - 6300=6080 - 76T ⇔496T =12380 より。T=約25.0と求めることができました。
これが、比熱と温度変化の問題の解き方です。
どのような物質であっても、同じ考え方で対応できるため、きちんと理解しておきましょう。
まとめ
ここでは「熱量保存の公式Q=mc⊿Tに使用方法」「関連用語の比熱・熱容量の意味と違い」について解説しました。
熱量保存則において、Q:熱量(エネルギー)[J]、mは物質の質量[kg]、cは物体の比熱[J/(kg/・K)]、ΔTは温度変化分[K]を表しています。計算時にはこれらの数値を代入するといいです。
なお、上の式に出てくる比熱は物質固有の数値であり、温まりにくさの指標となります。一方で熱容量とは、比熱に質量をかけたものであり、物質の種類だけでなく量も考慮した指標です。こちらも大きいほど温まりにくいことを示します。
きちんと比熱と熱容量、熱量保存則の計算式を理解し、より科学を楽しんでいきましょう。