パソコンで作業をしていると、画面を録画したい場面は数多く訪れます。
オンライン会議の記録を残したい、ゲームプレイの様子を保存したい、操作手順を動画で説明したいなど、画面録画機能が使えないと業務効率や記録の保存に大きな支障が出てしまいます。
Windows 10や11には標準でXbox Game Barという画面録画機能が搭載されており、本来であればショートカットキー一つで簡単に録画を開始できるはずです。しかし実際には、録画ボタンが反応しない、画面が真っ黒になる、エラーメッセージが表示される、録画が途中で停止するといった様々なトラブルに遭遇することがあります。
これらの問題の多くは、設定の確認や簡単な操作で解決できる場合が多いのですが、原因が複数考えられるため、どこから手を付ければよいか分からず困惑してしまいます。
本記事では、パソコンで画面録画ができない場合の主な原因を体系的に整理し、それぞれの状況に応じた具体的な対処法を詳しく解説します。
設定の確認方法から代替ソフトの活用まで、段階的に問題を解決していく方法を紹介しますので、録画トラブルでお困りの方はぜひ最後までお読みください。
・ストレージ容量とマイク権限の確認が重要
・代替ソフトの活用で制限を回避できる
です。
それでは詳しく見ていきましょう。
目次
Xbox Game Barの設定を確認する基本対処法
それではまず、画面録画ができない場合に最初に確認すべきXbox Game Barの基本設定を見ていきます。
ゲームバーの有効化状態を確認する
画面録画ができない最も一般的な原因は、Xbox Game Barが無効になっていることです。
Windows 10や11を新規インストールした後や、システムアップデート後に自動的に無効化されることがあるため、まずはこの設定を確認する必要があります。
確認手順としては、Windowsキーを押して「設定」を開き、「ゲーム」セクションを選択します。左側のメニューから「Xbox Game Bar」をクリックし、「ゲーム バーを使ってゲーム クリップ、スクリーン ショットを記録して、ブロードキャストする」のスイッチがオンになっているか確認します。
設定を変更した後は、ショートカットキーで動作確認を行います。「Windowsキー + G」でXbox Game Barを開き、「Windowsキー + Alt + R」で録画の開始と停止ができることを確認しましょう。
| ショートカットキー | 機能 | 備考 |
|---|---|---|
| Windows + G | ゲームバーを開く | 録画パネルの表示 |
| Windows + Alt + R | 録画の開始/停止 | ゲームバー非表示でも動作 |
| Windows + Alt + M | マイクのオン/オフ | 音声録音の切り替え |
| Windows + Alt + PrtScn | スクリーンショット撮影 | 静止画のキャプチャ |
ハードウェア要件を満たしているか確認する
Xbox Game Barを使用するには、パソコンのハードウェアが一定の要件を満たしている必要があります。
特にグラフィックボードやエンコーダーの対応状況が重要で、これらが非対応の場合は標準機能での録画ができません。
ハードウェア要件を確認するには、「設定」から「ゲーム」→「キャプチャ」の画面を開きます。ここで赤い警告メッセージが表示される場合は、使用しているパソコンが録画機能の要件を満たしていないことを示しています。
| 要件項目 | 必要な仕様 | 確認方法 |
|---|---|---|
| エンコーダー | Intel Quick Sync、NVIDIA NVENC、AMD VCEのいずれか | 設定→ゲーム→キャプチャで確認 |
| グラフィックス | DirectX 12対応 | dxdiagコマンドで確認可能 |
| メモリ | 4GB以上推奨 | タスクマネージャーで確認 |
| OS | Windows 10バージョン1903以降 | 設定→システム→バージョン情報 |
要件を満たしていない場合は、グラフィックボードの増設やパソコンの買い替えを検討する必要があります。ただし、この場合でも後述する代替ソフトを使用することで、低スペックのパソコンでも画面録画が可能になることがあります。
録画対象の制限を理解する
Xbox Game Barには使用上の制限があり、すべての画面やアプリケーションを録画できるわけではありません。
デスクトップ画面やエクスプローラー、設定画面などのシステム系の画面は録画対象外となっています。録画できるのは、アプリケーションウィンドウとして起動している画面のみです。
また、録画開始前にアクティブ状態にした一つのウィンドウのみが録画対象となるため、複数のアプリを同時に録画したり、録画中にウィンドウを切り替えたりすることはできません。録画中にウィンドウサイズを変更すると、録画が自動的に停止してしまう点にも注意が必要です。
録画時間にも制限があり、Xbox Game Barでは最大4時間までしか連続録画できません。長時間の録画が必要な場合は、4時間ごとに区切って録画するか、時間制限のない代替ソフトを使用することをおすすめします。
ストレージとシステムリソースの問題を解決
続いては、パソコンの容量や権限設定に関する問題とその解決方法を確認していきます。
ストレージ容量を確保する
画面録画にはファイルを保存するための十分なストレージ容量が必要です。容量不足は録画が開始できない、または途中で停止する主要な原因の一つです。
特に高画質での録画や長時間録画の場合、数GBから数十GBの空き容量が必要になることがあります。1時間のフルHD録画では、おおよそ2GB〜4GBのストレージを消費すると考えてください。
ストレージ容量を確認するには、エクスプローラーで「PC」を開き、Cドライブを右クリックして「プロパティ」を選択します。使用領域と空き領域のグラフが表示されるので、十分な空き容量があるか確認しましょう。
| 録画画質 | 1時間あたりの容量目安 | 推奨空き容量 |
|---|---|---|
| 標準画質(720p) | 1〜2GB | 10GB以上 |
| 高画質(1080p) | 2〜4GB | 20GB以上 |
| 最高画質(4K) | 10〜20GB | 50GB以上 |
| 長時間録画(4時間) | 8〜16GB | 30GB以上 |
容量が不足している場合は、不要なファイルやアプリケーションを削除して空き容量を増やす必要があります。「設定」から「システム」→「記憶域」を開くと、何がストレージを圧迫しているか確認でき、一時ファイルやダウンロードフォルダの整理が簡単に行えます。
マイクと録画の権限設定を確認する
Windowsのプライバシー設定で録画機能やマイクへのアクセス権限が制限されていると、画面録画が正常に開始できない場合があります。
マイクの権限を確認するには、タスクバー右下のボリュームアイコンを右クリックして「サウンドの設定」を選択します。「入力」セクションでマイクデバイスが表示されているか確認し、デバイスが無効になっている場合は有効化します。
さらに詳細な設定は、「サウンドの詳細設定」から確認できます。録音タブで使用するマイクが表示され、無効になっている場合は右クリックして「有効にする」を選択します。
カメラを使用した録画を行う場合も、同様に「プライバシー」→「カメラ」で権限設定を確認する必要があります。これらの権限が適切に設定されていないと、音声付き録画やWebカメラ録画ができない原因となります。
システムリソースを最適化する
パソコンで多くのプログラムが同時に動作していると、録画に必要なCPUやメモリのリソースが不足して正常に録画できなくなります。
タスクマネージャーを開いて現在のリソース使用状況を確認しましょう。Ctrl + Shift + Escキーを押すとタスクマネージャーが起動し、CPUやメモリの使用率が表示されます。
録画を開始する前に、不要なアプリケーションやバックグラウンドプロセスを終了させることで、システムリソースを録画処理に集中させることができます。タスクマネージャーの「プロセス」タブで、使用していないアプリケーションを選択して「タスクの終了」をクリックします。
| リソース項目 | 推奨使用率 | 確認方法 | 改善策 |
|---|---|---|---|
| CPU | 70%以下 | タスクマネージャー | 不要なアプリの終了 |
| メモリ | 80%以下 | タスクマネージャー | ブラウザタブの削減 |
| ディスク | 50%以下 | タスクマネージャー | バックグラウンド処理の停止 |
| GPU | 60%以下 | タスクマネージャー(パフォーマンス) | 他のグラフィック処理の終了 |
特にWebブラウザで多数のタブを開いている場合は、メモリを大量に消費している可能性があります。録画中は必要最小限のタブだけを残し、他は閉じることをおすすめします。
上記の設定確認や調整を行っても画面録画できない場合は、パソコンを再起動することで問題が解決することがあります。
システムの一時的な不具合やメモリリークが原因で録画できない場合、再起動によってこれらの問題がリセットされ、正常に動作するようになります。
重要なプロセスは終了しないように注意し、システムに必要なサービスやドライバーは稼働させたまま、アプリケーションレベルでの最適化を行いましょう。
また、定期的なWindows Updateの実行も重要で、最新の状態に保つことで録画機能の安定性が向上します。
代替ソフトで録画制限を回避する方法
続いては、標準機能で解決できない場合に活用できる代替録画ソフトを確認していきます。
専門録画ソフトのメリットと選び方
Xbox Game Barの制限や不具合で録画できない場合、専門の画面録画ソフトを使用することで多くの問題を解決できます。
専門ソフトには、デスクトップ画面全体の録画、複数ウィンドウの同時録画、録画時間制限なし、高度な編集機能、Webカメラとの同時録画など、標準機能にはない多彩な機能が搭載されています。
代表的な録画ソフトとして、Wondershare DemoCreator、OBS Studio、Bandicam、Filmora Screen Recorderなどがあります。これらは用途や予算に応じて選択できます。
| ソフト名 | 価格 | 主な特徴 | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|
| OBS Studio | 完全無料 | 配信・録画両対応、透かしなし | ゲーム実況、ライブ配信 |
| Wondershare DemoCreator | 無料版あり | 直感的操作、編集機能充実 | チュートリアル動画、プレゼン |
| Bandicam | 有料(4,400円) | 高圧縮、低負荷、日本語対応 | 長時間録画、ゲーム録画 |
| Filmora Screen Recorder | 無料版あり | 編集ソフトと統合、初心者向け | 動画編集込みの制作 |
OBS Studioでの録画設定方法
OBS Studioは完全無料でありながら、プロレベルの録画機能を提供する人気ソフトです。
導入手順としては、公式サイトからOBS Studioをダウンロードしてインストールします。初回起動時に自動構成ウィザードが表示されるので、「録画のために最適化」を選択して進めることで、パソコンのスペックに応じた最適な設定が自動で適用されます。
録画を開始するには、まずソース欄の「+」ボタンをクリックして「ウィンドウキャプチャ」または「画面キャプチャ」を選択します。ウィンドウキャプチャでは特定のアプリケーションウィンドウを、画面キャプチャではデスクトップ全体を録画対象にできます。
音声設定も重要で、「設定」→「音声」から、デスクトップ音声(パソコンの音)とマイク音声を個別に設定できます。ゲーム実況などで解説を入れたい場合は、マイク音声を有効にし、適切な音量バランスを調整しましょう。
その他の問題と追加の対処法
ここまでの方法を試しても録画できない場合、いくつかの追加的な原因と対処法が考えられます。
フルスクリーンモードでゲームを実行している場合、Windows + Gキーを押してもゲームバーが表示されないことがあります。この場合は、ウィンドウモードまたはボーダーレスウィンドウモードに変更するか、直接Windows + Alt + Rキーで録画を開始してみてください。
一部のゲームでは、誤操作防止のためにWindowsキーが無効化されている場合があります。ゲームの設定やキーボード設定ソフトウェアで、Windowsキーの無効化設定がないか確認しましょう。
| エラー内容 | 考えられる原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 録画ボタンがグレーアウト | 対応していないアプリ | 代替ソフトを使用 |
| 画面が真っ黒に録画される | グラフィックドライバーの問題 | ドライバーの更新または再インストール |
| 音声が録音されない | マイク権限の不許可 | プライバシー設定で権限を付与 |
| 録画が自動停止する | 容量不足またはリソース不足 | 空き容量確保、不要アプリ終了 |
グラフィックドライバーが古い場合も、録画機能に不具合が生じることがあります。デバイスマネージャーから「ディスプレイアダプター」を展開し、グラフィックカードを右クリックして「ドライバーの更新」を実行しましょう。
どうしても解決しない場合は、Windowsの設定をリセットすることも一つの手段です。
ただし、この方法は最終手段として考え、事前に重要なデータのバックアップを取っておくことが重要です。
また、録画ソフトによっては、初回起動時にセキュリティソフトがブロックすることがあるため、信頼できるソフトであることを確認した上で、セキュリティソフトの例外設定に追加することも検討してください。
複数の対処法を組み合わせることで、ほとんどの録画問題は解決できます。
まとめ パソコン画面録画できない(Windows設定・ゲームバー・原因・対処法)を解決する方法
パソコンで画面録画ができない場合の対処法をまとめると
・Xbox Game Barの設定確認:「設定」→「ゲーム」→「Xbox Game Bar」で有効化を確認、オフ→オンの切り替えで一時的な不具合を解消、Windows + GキーとWindows + Alt + Rキーで動作確認を実施
・ハードウェアとシステム要件:グラフィックボードがDirectX 12対応か確認、エンコーダー(Intel Quick Sync、NVIDIA NVENC、AMD VCE)の対応状況をチェック、非対応の場合は代替ソフトを使用
・ストレージと権限の確保:録画前に十分な空き容量を確保(1時間で2〜4GB目安)、マイクとカメラのアクセス権限をプライバシー設定で許可、タスクマネージャーで不要なプロセスを終了してリソースを確保
・録画制限の理解:デスクトップやエクスプローラーは録画不可、著作権保護コンテンツは技術的にブロック、最大録画時間は4時間まで、録画中のウィンドウサイズ変更で自動停止
・代替ソフトの活用:OBS Studioは完全無料で制限なし、Wondershare DemoCreatorは初心者でも使いやすい、Bandicamは長時間録画に最適、ソフトごとに特徴を理解して選択
これらの対処法を段階的に試すことで、ほとんどの録画問題は解決できます。
まずは設定の確認から始め、それでも解決しない場合はストレージやリソースの最適化、最終的には代替ソフトの導入を検討するという順序が効率的です。
ただし、トラブルシューティングを行う際は注意が必要です。
複数の対処法を同時に試すのではなく、一つずつ確認して効果を検証することで、真の原因を特定しやすくなります。
また、システム設定を変更する前には、必ず現在の設定をメモしておくか、スクリーンショットを撮っておくことで、問題が悪化した場合に元に戻せるようにしておきましょう。
パソコンの画面録画機能を適切に設定して、業務効率化や記録保存を実現していきましょう!