パソコンやサーバーのネットワーク設定を確認していると、必ずと言っていいほど目にする言葉がnetmaskです。
IPアドレスと並んで表示されることが多いため、なんとなく存在は知っていても、実際にどんな意味を持つのか説明できる方は意外と少ないのではないでしょうか。
netmaskはネットワークの範囲を決める非常に重要な役割を担っています。
設定を誤ると通信ができなくなったり、意図しない機器同士がつながってしまったりすることもあります。
この記事では、netmaskとはそもそも何なのか、サブネットマスクやCIDRとの関係、具体的な計算方法や設定手順まで、初めての方にもわかりやすく解説していきます。
ネットワークの基礎を固めたい方は、ぜひ最後までご覧くださいませ。
目次
netmaskとは?結論から確認していきます
それではまずnetmaskについて、結論からお伝えしていきます。
netmaskとは、IPアドレスをネットワーク部とホスト部に分割するための数値のことです。
もう少し噛み砕くと、ひとつのIPアドレスのうち「どこまでがネットワークを識別する部分で、どこからが個々の機器を識別する部分か」を示すための目印だと考えるとイメージしやすいでしょう。
日本語では一般的に「サブネットマスク」と呼ばれることが多く、netmaskとサブネットマスクはほぼ同じ意味で使われています。
例えば255.255.255.0というnetmaskは、非常によく見かける設定値です。
この数値がIPアドレスと組み合わさることで、コンピューターは「同じネットワーク内の機器なのか」「別のネットワークにある機器なのか」を判断できるようになります。
netmaskの本質は、ひとつの数字ではなく境界線だという点にあります。
IPアドレスという一本の数値列に対して、どこからどこまでがネットワークで、どこからが個別の端末なのかを区切る役割を果たしているのです。
この境界線がずれてしまうと、正しい相手にデータが届かなくなってしまいます。
結論として、netmaskはネットワーク管理において欠かせない仕組みであり、IPアドレスとセットで理解する必要があるものだと言えるでしょう。
続く見出しでは、この仕組みをさらに詳しく掘り下げていきます。
netmask(ネットマスク)の意味と仕組みを確認していきます
続いてはnetmaskの意味と仕組みについて、より具体的に確認していきます。
IPアドレスとの関係性
IPv4のIPアドレスは、32ビットの数値で構成されています。
普段私たちが目にする「192.168.1.10」のような表記は、この32ビットを8ビットずつ4つに区切り、10進数で表したものです。
netmaskも同じく32ビットの数値であり、IPアドレスと同じ形式で表現されます。
この2つを組み合わせることで、初めて「どこまでがネットワークか」が確定するのです。
IPアドレス単体では、実はネットワークの範囲を特定できません。
だからこそnetmaskとの組み合わせが必須になる、というわけです。
ネットワーク部とホスト部の違い
ネットワーク部とは、同じネットワークに所属する機器すべてに共通する部分を指します。
一方でホスト部は、そのネットワーク内における個々の機器を区別するための部分です。
マンションに例えると、ネットワーク部は「建物の住所」、ホスト部は「部屋番号」に近いイメージでしょう。
同じ建物内の住人同士は住所を確認しなくても行き来できますが、別の建物へ行くには住所を頼りに移動する必要があります。
ネットワークの世界でも、この考え方がそのまま当てはまります。
2進数で見るnetmaskの構造
netmaskを2進数で表すと、その構造がより明確になります。
255.255.255.0を2進数に変換すると、11111111.11111111.11111111.00000000となります。
255.255.255.0を2進数に変換した例です。
11111111.11111111.11111111.00000000
「1」が並んでいる部分がネットワーク部を表します。
「0」が並んでいる部分がホスト部を表します。
このように、netmaskは「1」の連続でネットワーク部を、「0」の連続でホスト部を示しているのです。
1の数が多いほどネットワーク部が広くなり、逆にホスト部として使える範囲は狭くなります。
この仕組みを理解しておくと、後述するCIDR表記もぐっと理解しやすくなるでしょう。
サブネットマスクとCIDR表記の違いを確認していきます
続いてはサブネットマスクとCIDR表記の違いについて確認していきます。
サブネットマスクの表記方法
サブネットマスクは、先ほど紹介したように255.255.255.0のような、IPアドレスと同じドット区切りの10進数で表記されます。
この表記方法は視覚的にわかりやすい反面、2進数への変換が必要になる場面もあり、慣れないうちは少し扱いにくく感じるかもしれません。
CIDR表記とは
CIDR表記とはClassless Inter-Domain Routingの略称で、IPアドレスの後ろにスラッシュとネットワーク部のビット数を付けて表す方法です。
例えば192.168.1.0/24という表記を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
この「/24」は、先頭から24ビット分がネットワーク部であることを意味しています。
サブネットマスクの表記に比べて簡潔に書けるため、現在の実務やドキュメントでは非常によく使われる形式です。
サブネットマスクとCIDRの変換方法
サブネットマスクとCIDR表記は、実は同じ内容を別の書き方で表しているだけです。
両者の対応関係を一覧にすると、以下のようになります。
| CIDR表記 | サブネットマスク | 使用可能ホスト数の目安 |
|---|---|---|
| /24 | 255.255.255.0 | 254台 |
| /25 | 255.255.255.128 | 126台 |
| /26 | 255.255.255.192 | 62台 |
| /27 | 255.255.255.224 | 30台 |
| /28 | 255.255.255.240 | 14台 |
| /29 | 255.255.255.248 | 6台 |
| /30 | 255.255.255.252 | 2台 |
この表を見れば一目瞭然ですが、CIDRの数字が大きくなるほど、サブネットマスクの「1」が増え、使用できるホスト数は少なくなっていきます。
逆に数字が小さくなるほど、より多くの機器を収容できる広いネットワークになるでしょう。
この対応関係さえ覚えておけば、どちらの表記が出てきても迷うことはなくなります。
netmaskの計算方法を確認していきます
続いてはnetmaskを使った具体的な計算方法について確認していきます。
ネットワークアドレスの計算方法
ネットワークアドレスとは、そのネットワーク自体を表す特別なアドレスのことです。
IPアドレスとサブネットマスクを2進数に変換し、それぞれの桁ごとにAND演算を行うことで求められます。
IPアドレス192.168.1.10、サブネットマスク255.255.255.0の場合の計算例です。
IPアドレス 11000000.10101000.00000001.00001010
サブネットマスク 11111111.11111111.11111111.00000000
AND演算の結果 11000000.10101000.00000001.00000000
10進数に戻すと、ネットワークアドレスは192.168.1.0となります。
この計算により、192.168.1.10という機器が「192.168.1.0のネットワーク」に所属していることがわかるのです。
ブロードキャストアドレスの計算方法
ブロードキャストアドレスとは、同一ネットワーク内のすべての機器へ一斉にデータを送信するための特殊なアドレスです。
ホスト部のビットをすべて「1」にすることで求めることができます。
先ほどの例で言えば、ホスト部が8ビットですので、すべて1にすると255になります。
つまり192.168.1.255がブロードキャストアドレスということになるでしょう。
このアドレスは通常、機器に割り当てることができない予約されたアドレスとして扱われます。
ホスト数の計算方法
実際に割り当て可能なホスト数は、ホスト部のビット数から計算できます。
使用可能ホスト数を求める計算式です。
2のホスト部ビット数乗 マイナス 2
例えば/24の場合、ホスト部は8ビットなので、2の8乗である256から2を引いて254台となります。
なぜ2を引くのかというと、先ほど紹介したネットワークアドレスとブロードキャストアドレスの2つは、機器に割り当てることができないためです。
この計算方法さえ覚えておけば、どんなサブネット構成でも自分で必要台数を割り出せるようになるでしょう。
netmask(サブネットマスク)の設定方法を確認していきます
続いては実際の設定方法について、OSやデバイスごとに確認していきます。
Windowsでの設定方法
Windowsでnetmaskを設定する場合は、まずコントロールパネルからネットワークとインターネットの設定画面を開きます。
アダプターのオプションを選び、対象のネットワークアダプターのプロパティを開きましょう。
インターネットプロトコルバージョン4を選択し、プロパティ画面でIPアドレスとあわせてサブネットマスクを入力すれば設定完了です。
自動取得に設定している場合は、DHCPサーバーが自動的にnetmaskを割り当ててくれるため、手動での入力は不要になります。
Linuxでの設定方法
Linux環境では、ipコマンドを使って設定を行うのが一般的です。
Linuxでのnetmask設定コマンド例です。
sudo ip addr add 192.168.1.10/24 dev eth0
この例では、CIDR表記を使うことでIPアドレスとnetmaskを同時に指定しています。
ディストリビューションによっては、設定ファイルを直接編集する方法や、nmcliコマンドを使う方法もあります。
永続的に設定を反映させたい場合は、設定ファイルへの記載も忘れずに行いましょう。
ルーターでの設定方法
家庭用や中小規模オフィス向けのルーターでも、管理画面からnetmaskを確認・設定することが可能です。
多くの機種では、初期設定のままサブネットマスク255.255.255.0が使われており、特別な事情がなければ変更する必要はないでしょう。
ただし、拠点が増えたり、部門ごとにネットワークを分けたい場合には、あえてサブネットマスクを変更してネットワークを分割することもあります。
設定変更後は、必ず接続テストを行い、通信に問題がないか確認することをおすすめします。
netmask設定時によくあるトラブルと注意点を確認していきます
続いてはnetmaskの設定でつまずきやすいポイントについて確認していきます。
設定ミスによる通信障害
もっとも多いトラブルは、サブネットマスクの入力ミスによる通信障害です。
例えば255.255.255.0とすべきところを255.255.0.0と誤って設定してしまうと、本来別のネットワークとして扱われるべき機器が同一ネットワークだと誤認識されてしまいます。
逆に、同じネットワークにいるはずの機器同士が通信できなくなるケースも少なくありません。
通信トラブルが起きた際は、IPアドレスだけでなくnetmaskの設定値も必ず確認するようにしましょう。
サブネット分割時の注意点
ひとつのネットワークを複数のサブネットに分割する際は、あらかじめ必要なホスト数を見積もっておくことが重要です。
サブネット分割で最も注意すべきなのは将来の拡張性です。
ぎりぎりのホスト数でサブネットを設計してしまうと、後から機器を追加したいときに再設計が必要になってしまいます。
余裕を持ったビット数で設計しておくことが、長期的な運用の安定につながるでしょう。
また、分割したサブネット同士で通信させたい場合には、ルーターやレイヤー3スイッチなど、ネットワーク間をつなぐ機器が別途必要になる点にも注意が必要です。
プライベートIPアドレスとの関係
家庭内や社内ネットワークでは、多くの場合プライベートIPアドレスが使われています。
代表的な範囲としては、192.168.0.0から192.168.255.255、10.0.0.0から10.255.255.255、172.16.0.0から172.31.255.255などが挙げられるでしょう。
これらのプライベートIPアドレスに対してnetmaskを組み合わせることで、初めて自宅内やオフィス内の実際のネットワーク範囲が確定します。
インターネット上で使われるグローバルIPアドレスとは異なり、プライベートIPアドレスはあくまで内部ネットワーク専用のアドレスです。
そのためnetmaskの設計も、内部のネットワーク構成に合わせて柔軟に決めることができます。
まとめ
今回はnetmaskの意味や仕組み、サブネットマスクやCIDRとの関係、具体的な計算方法や設定方法について解説してきました。
netmaskとは、IPアドレスをネットワーク部とホスト部に分割し、通信の範囲を決定するための重要な数値です。
サブネットマスクの10進数表記と、CIDRのスラッシュ表記は、どちらも同じ内容を表す別の書き方に過ぎません。
ネットワークアドレスやブロードキャストアドレス、使用可能ホスト数の計算方法を身につけておけば、実務で新しいネットワークを設計する際にも役立つでしょう。
設定を行う際は、入力ミスによる通信障害や、将来的な拡張性まで見据えたサブネット設計を意識することが大切です。
netmaskの仕組みをしっかり理解し、安定したネットワーク環境の構築に役立てていただければ幸いです。