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ガラスの熱膨張係数は?種類別特性と応用例も!(石英ガラス・ホウケイ酸ガラス・熱衝撃・光学機器など)

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ガラスは建築・光学・理化学・電子・食品など多くの分野で使われる重要な素材ですが、急激な温度変化(熱衝撃)に弱いという特性を持っています。

この熱衝撃への耐性は、ガラスの熱膨張係数と密接に関連しており、用途に応じて適切な種類のガラスを選ぶことが性能と安全性の確保に直結します。

石英ガラス・ホウケイ酸ガラス・ソーダライムガラスなど、ガラスの種類によって熱膨張係数は大きく異なり、用途への適合性も変わります。

本記事では、主要なガラス種別の熱膨張係数・熱衝撃耐性・応用例・選定ポイントについて詳しく解説していきます。

目次

ガラスの種類別熱膨張係数と特徴

それではまず、代表的なガラスの種類別熱膨張係数と特徴について解説していきます。

ガラスの線膨張係数は種類によって大きく異なり、石英ガラスの約0.5 ppm/℃からソーダライムガラスの約9 ppm/℃まで約18倍もの差があります。

主要ガラスの熱膨張係数一覧

ガラス種類 線膨張係数(ppm/℃) 主な用途 熱衝撃耐性
石英ガラス(溶融シリカ) 0.5〜0.6 半導体・光学・UV透過窓 極めて高い
ホウケイ酸ガラス(パイレックス®) 約3.3 理化学器具・耐熱調理器具 高い
アルミノシリケートガラス 約4.0〜5.0 スマートフォン画面・強化ガラス 高い
ゼロデュア®(ガラスセラミックス) 約0±0.02 天体望遠鏡鏡・精密計測 極めて高い
ソーダライムガラス 約8.5〜9.0 窓ガラス・瓶・日用品 低い
鉛ガラス(クリスタル) 約8.0〜9.5 光学レンズ・放射線遮蔽 低い

石英ガラスの特性と応用

石英ガラス(SiO₂:溶融シリカ)は最も低い熱膨張係数(約0.5〜0.6 ppm/℃)を持つガラス材料の一つです。

この極めて低い熱膨張係数により、急激な温度変化(例:1000℃の加熱後に水中投下)にも割れない優れた熱衝撃耐性を発揮します。

半導体製造プロセス(拡散炉・CVD装置)・紫外線透過光学系・高精度測定器のリファレンス標準などに広く採用されています。

ただし、石英ガラスの製造コストは高く、大型化が困難なため用途は高付加価値製品に限られます。

ホウケイ酸ガラスの特性と応用

ホウケイ酸ガラス(borosilicate glass)は酸化ホウ素(B₂O₃)を添加することで熱膨張係数を約3.3 ppm/℃に低下させたガラスです。

「パイレックス®」(コーニング社)や「DURAN®」(ショット社)がホウケイ酸ガラスの代表的なブランドとして広く知られています。

理化学実験器具(ビーカー・フラスコ・試験管)・耐熱調理器具・医薬品容器・照明機器など、耐熱性と透明性が求められる幅広い用途で活用されています。

熱衝撃耐性と熱膨張係数の関係

続いては、ガラスの熱衝撃耐性と熱膨張係数の関係について確認していきます。

ガラスが熱衝撃で割れるメカニズムを理解することで、適切なガラスの選定と使用上の注意点が明確になります。

ガラスが熱衝撃で割れるメカニズム

ガラスに急激な温度変化を与えると、ガラス内部に温度勾配が生じます。

温度が高い部分は膨張しようとし、温度が低い部分は収縮しようとするため、熱膨張係数が大きいガラスほど内部に発生する熱応力が大きくなります。

この熱応力がガラスの引張強度を超えると、割れ(熱衝撃破壊)が発生します。

逆に熱膨張係数が小さいガラスは、同じ温度変化でも生じる熱応力が小さく、熱衝撃に対して強い耐性を示します。

熱衝撃耐温度差の目安

ガラス種類 耐熱衝撃温度差(目安)
石英ガラス 1000℃以上
ホウケイ酸ガラス 約150〜200℃
アルミノシリケートガラス 約100〜150℃
ソーダライムガラス 約40〜60℃

日常生活でよく使われる一般的なガラス(ソーダライムガラス)は熱衝撃耐温度差が約40〜60℃と小さく、熱いものを急冷するような使い方は割れの原因になります。

強化ガラスと熱膨張係数の関係

強化ガラス(tempered glass)は、加熱後の急冷処理によってガラス表面に圧縮応力を付与したものです。

強化処理によって熱衝撃耐性は向上しますが、ガラス自体の熱膨張係数は素材ガラスと変わりません。

強化ガラスはガラス内部の残留応力が高いため、切断・穴あけ加工ができず、形状は強化処理前に決定する必要があります。

光学・精密機器へのガラス熱膨張の影響

続いては、光学機器・精密計測機器においてガラスの熱膨張係数がどのような影響を及ぼすかについて確認していきます。

光学系での熱膨張による焦点ドリフト

光学レンズ・ミラー・プリズムが温度変化によって寸法変化すると、焦点距離・光路長・収差特性が変化します。

この現象を「焦点ドリフト(thermal focus drift)」と呼び、精密な光学系では設計上の大きな課題となります。

天体望遠鏡・レーザー発振器・半導体露光装置では、ゼロデュア®や石英ガラスの超低熱膨張特性が光学性能の安定維持に不可欠です。

スマートフォンカバーガラスへのアルミノシリケートガラスの応用

スマートフォンのカバーガラス(コーニング社のGorilla Glass®など)にはアルミノシリケートガラスが採用されています。

低い熱膨張係数による熱衝撃耐性・化学強化による高い表面硬度・優れた透明性の三つを兼ね備えた点が採用の理由です。

ガラスと金属封着における熱膨張係数のマッチング

電子部品や真空デバイスでは、ガラスと金属の封着接合が使われます。

封着部の信頼性を確保するためには、ガラスと封着金属の熱膨張係数を合わせることが必須です。

コバール合金(α≈5.2 ppm/℃)はホウケイ酸ガラス(3.3 ppm/℃)との封着に適した金属として電子デバイス・真空管・光ファイバーコネクタに広く使用されています。

まとめ

本記事では、ガラスの種類別熱膨張係数・熱衝撃耐性との関係・光学機器への影響・封着材料の選定について詳しく解説しました。

石英ガラス(0.5〜0.6 ppm/℃)からソーダライムガラス(8.5〜9.0 ppm/℃)まで、種類によって熱膨張係数は大きく異なります。

熱膨張係数が低いほど熱衝撃耐性が高く、石英ガラス・ホウケイ酸ガラスが高温差のある環境に適しています。

精密光学系ではゼロデュア®・石英ガラスの超低膨張特性が焦点ドリフト防止に貢献し、封着設計ではコバール合金との熱膨張マッチングが信頼性の鍵となるでしょう。

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