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蒸発熱とエンタルピーの関係は?求め方も解説!

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蒸発熱とエンタルピーの関係は?求め方も解説!

化学で「蒸発エンタルピー」という言葉を見たとき、「蒸発熱と何が違うの?」と疑問に感じた方もいるでしょう。

実はこの2つは密接に関係しており、蒸発熱は蒸発エンタルピーそのものとして理解することができます。

この記事では、蒸発熱とエンタルピーの関係・蒸発エンタルピーΔHの意味・求め方・熱力学的な背景をわかりやすく解説していきます。

高校化学から大学レベルの熱力学まで対応した内容です。

蒸発熱は蒸発エンタルピー(ΔH)に相当する

それではまず、蒸発熱とエンタルピーの関係について解説していきます。

エンタルピー(H)とは熱力学における状態量のひとつであり、定圧条件での熱の出入りを表します。

蒸発エンタルピー(ΔvapH)= 液体1 molが蒸発するときのエンタルピー変化

単位:kJ/mol

水の蒸発エンタルピー:約+40.7 kJ/mol(100℃、1気圧)

ΔHがプラスの値であることは、蒸発が吸熱反応(外部から熱を吸収する)であることを意味します。

液体分子を気体にするために必要なエネルギーがΔvapHとして測定されます。

エンタルピーとは何か

エンタルピーH(単位J)は次のように定義されます。

H = U + PV

U:内部エネルギー(J)、P:圧力(Pa)、V:体積(m³)

定圧条件では「系が吸収した熱量Q=ΔH(エンタルピー変化)」という関係が成り立ちます。

大気圧下での実験・反応は定圧条件に近いため、化学では内部エネルギーよりエンタルピーが主に使われます

蒸発エンタルピーの表記

蒸発エンタルピーは次のように表記されます。

ΔvapH または ΔvapH°(標準蒸発エンタルピー)

H₂O(l) → H₂O(g) ΔH = +40.7 kJ/mol(100℃、1 atm)

「(l)」は液体(liquid)、「(g)」は気体(gas)を示す記号です。

化学反応式の形でエンタルピー変化を表すこの書き方は熱化学の標準的なスタイルです。

蒸発熱との単位の換算

蒸発熱はJ/g(グラムあたり)、蒸発エンタルピーはkJ/mol(モルあたり)で表されることが多いです。

水の場合で換算を確認しましょう。

水のモル質量:18 g/mol

蒸発熱:2257 J/g × 18 g/mol = 40,626 J/mol ≒ 40.7 kJ/mol

J/gとkJ/molはモル質量を使って相互に換算できます。

単位換算を丁寧に行う習慣が化学計算の正確さにつながります。

蒸発エンタルピーの測定と求め方

続いては、蒸発エンタルピーの測定方法と計算による求め方を確認していきます。

クラウジウス・クラペイロン式による求め方

蒸発エンタルピーは温度と蒸気圧の関係から実験的に求めることができます。

クラウジウス・クラペイロン式:ln(P) = -ΔvapH/(RT) + 定数

P:蒸気圧、T:絶対温度(K)、R:気体定数(8.314 J/(mol·K))

異なる温度での蒸気圧を測定し、ln(P)対1/Tのグラフを描くと直線になり、その傾きからΔvapHを求めることができます。

蒸気圧測定を通じて熱力学量を決定できるというこの方法は、大学化学の実験でも活用されます。

標準生成エンタルピーを使った計算

ヘスの法則を使えば、標準生成エンタルピーの値から蒸発エンタルピーを計算することもできます。

ΔvapH = ΔfH°[気体] – ΔfH°[液体]

例(水):ΔvapH = (-241.8) – (-285.8) = 44.0 kJ/mol(25℃)

気体と液体の標準生成エンタルピーの差が蒸発エンタルピーに対応する、というヘスの法則の応用です。

代表的な物質の蒸発エンタルピー

物質 蒸発エンタルピー(kJ/mol) 沸点
水(H₂O) 40.7 100℃
エタノール(C₂H₅OH) 38.6 78℃
ベンゼン(C₆H₆) 30.7 80℃
アンモニア(NH₃) 23.3 -33℃

水の蒸発エンタルピーが他の分子量が近い有機溶媒より大きいのは、水素結合の強さが原因です。

蒸発エンタルピーと分子間力の関係

続いては、蒸発エンタルピーの大きさと分子間力の関係を確認していきます。

熱力学と分子構造が結びつく興味深い観点です。

分子間力が強いほど蒸発エンタルピーが大きい

蒸発とは液体分子が分子間力を振り切って気体になる過程です。

分子間力が強いほど分子を引き離すのに多くのエネルギーが必要であり、その結果として蒸発エンタルピーが大きくなります

水の蒸発エンタルピーが大きい理由は、O-H…O形の水素結合(分子間力の中でも特に強い)が多数形成されているためです。

沸点と蒸発エンタルピーの関係

一般的に沸点が高い物質ほど蒸発エンタルピーも大きい傾向があります。

これはトルートンの規則として知られており、「ΔvapH/Tb≒88 J/(mol·K)」という近似関係が成り立つことが多いです。

沸点と蒸発エンタルピーのおおよその関係を把握しておくと、未知の物質の蒸発エンタルピーを概算するのに役立ちます。

まとめ

この記事では、蒸発熱と蒸発エンタルピー(ΔvapH)の関係・定義・求め方・分子間力との関係を解説しました。

蒸発熱と蒸発エンタルピーは同じ物理量を異なる単位で表したものであり、モル質量を介して相互に換算できます。

エンタルピーという熱力学の概念を理解することで、化学変化に伴う熱の出入りを定量的に扱う力がつくでしょう。

クラウジウス・クラペイロン式やヘスの法則など、蒸発エンタルピーを求める複数の方法を習得しておくと応用力が高まります。

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