電気回路の問題を解くうえで、コンダクタンスの求め方を正確に理解しておくことは非常に重要です。
「コンダクタンスはどうやって計算するの?」「抵抗値からどう求めればいいの?」「電流・電圧が与えられた場合の計算方法は?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、コンダクタンスを求めるすべての計算方法について、抵抗値からの求め方・オームの法則を使った方法・並列・直列回路での合成コンダクタンスの計算・具体的な計算例まで、丁寧に解説いたします。
電気回路を学ぶ学生の方から、実務で回路設計に携わるエンジニアの方まで役立つ内容です。
豊富な計算例を通じて、コンダクタンスの計算を確実に身につけることができるでしょう。
目次
コンダクタンスの求め方の結論:G=1/RとG=I/Vが基本
それではまず、コンダクタンスの求め方の結論について解説していきます。
コンダクタンスGを求めるための基本公式は二つあります。
コンダクタンスを求める基本公式
①抵抗値から求める:G = 1 / R
②電流と電圧から求める:G = I / V
G:コンダクタンス(S)
R:電気抵抗(Ω)
I:電流(A)
V:電圧(V)
この二つの公式はオームの法則(V=IR)から自然に導かれます。
G=1/Rはコンダクタンスの定義そのものであり、抵抗値がわかっていれば直接計算できます。
G=I/VはオームのG=I/V(コンダクタンス形オームの法則)であり、電流と電圧の測定値から直接コンダクタンスを求める式です。
問題に与えられた情報(RかI・Vか)に応じて、使う式を選ぶとよいでしょう。
抵抗値からコンダクタンスを求める方法
続いては、抵抗値からコンダクタンスを求める方法を確認していきます。
最も基本的な求め方は、抵抗値Rの逆数をとることです。
単純な抵抗素子のコンダクタンス計算
抵抗値からのコンダクタンス計算例
例1:R=100Ω → G=1/100=0.01S=10mS
例2:R=2.2kΩ=2,200Ω → G=1/2200≈4.545×10⁻⁴S≈0.455mS
例3:R=47kΩ=47,000Ω → G=1/47000≈2.128×10⁻⁵S≈21.28μS
例4:R=1MΩ=10⁶Ω → G=1/10⁶=10⁻⁶S=1μS
kΩやMΩなど大きな単位が使われている場合は、Ωに変換してから計算することで単位ミスを防げます。
計算結果はS・mS・μSのうち最も読みやすい単位で表記すると見やすくなります。
材料の電気伝導度からコンダクタンスを求める
材料の電気伝導度σ(S/m)と素子の形状(断面積A・長さL)からコンダクタンスを求める場合は以下の式を使います。
G = σ × A / L
電気伝導度からのコンダクタンス計算例
問題:電気伝導度σ=5.96×10⁷S/m(銅)の断面積1mm²・長さ1mの銅線のコンダクタンスを求めよ。
A=1mm²=1×10⁻⁶m²
G=σ×A/L=5.96×10⁷×10⁻⁶/1=59.6S
R=1/G≈0.01678Ω≈16.78mΩ
温度によるコンダクタンスの変化計算
金属導体の抵抗は温度とともに増加するため、コンダクタンスは温度とともに減少します。
温度T₀での抵抗をR₀とすると、温度T₁での抵抗はR₁=R₀
で近似されます(αは抵抗温度係数)。
コンダクタンスへの換算はG₁=1/R₁となります。
半導体では温度上昇とともに抵抗が減少(コンダクタンスが増加)する逆の特性を示し、温度センサー(サーミスタ)などに応用されています。
電流と電圧からコンダクタンスを求める方法
続いては、電流と電圧からコンダクタンスを求める方法を確認していきます。
回路の実測値(電流・電圧)からコンダクタンスを逆算する場面でよく使われます。
直接測定からの計算
電流・電圧からのコンダクタンス計算例
例1:V=12V印加時にI=60mA流れた。コンダクタンスを求めよ。
G=I/V=0.06/12=0.005S=5mS
確認:R=V/I=12/0.06=200Ω → G=1/200=5mS ✓
例2:V=5Vで I=2μAだった。コンダクタンスを求めよ。
G=I/V=2×10⁻⁶/5=4×10⁻⁷S=0.4μS
複数の測定点からコンダクタンスを求める
非線形素子(ダイオード・トランジスタなど)では、動作点ごとにコンダクタンスが異なります。
ある動作点での微分コンダクタンス(小信号コンダクタンス)gは以下の式で求まります。
g = dI/dV(電圧に対する電流の微分)
これはI-V特性曲線の傾きに相当し、ある動作点での線形近似のコンダクタンスを表します。
ダイオードの場合、順方向バイアス点では微分コンダクタンスg=I/VT(VT=kT/e:熱電圧)となります。
並列・直列回路のコンダクタンス計算
続いては、並列・直列回路のコンダクタンス計算を確認していきます。
回路の接続形態によって合成コンダクタンスの求め方が異なります。
並列回路の合成コンダクタンス
並列接続では合成コンダクタンスは各コンダクタンスの和になります。
G合成 = G₁ + G₂ + G₃ + …
並列回路の合成コンダクタンス計算
問題:R₁=100Ω、R₂=200Ω、R₃=500Ωの並列接続回路の合成コンダクタンスと合成抵抗を求めよ。
G₁=1/100=10mS
G₂=1/200=5mS
G₃=1/500=2mS
G合成=10+5+2=17mS
R合成=1/0.017≈58.8Ω
直列回路のコンダクタンス計算
直列接続では合成抵抗がR合成=R₁+R₂+…となるため、合成コンダクタンスは以下の式になります。
1/G合成 = 1/G₁ + 1/G₂ + 1/G₃ + …
直列回路の合成コンダクタンス計算
問題:G₁=10mS、G₂=5mSの直列接続の合成コンダクタンスを求めよ。
R₁=1/G₁=100Ω、R₂=1/G₂=200Ω
R合成=100+200=300Ω
G合成=1/300≈3.33mS
または:1/G合成=1/10+1/5=0.1+0.2=0.3 → G合成=1/0.3≈3.33mS
複合回路(直並列混合)のコンダクタンス計算
複合回路の計算
問題:R₁=100Ωと(R₂=200Ω、R₃=300Ωの並列)が直列接続された回路の合成コンダクタンスを求めよ。
ステップ1:R₂とR₃の並列部分
G₂₃=1/200+1/300=5mS+3.33mS=8.33mS
R₂₃=1/8.33×10⁻³≈120Ω
ステップ2:R₁と並列部分の直列合成
R合成=R₁+R₂₃=100+120=220Ω
G合成=1/220≈4.55mS
コンダクタンスに関連する応用計算
続いては、コンダクタンスに関連する応用計算を確認していきます。
電力・電荷・ノード解析など、実際の回路解析で役立つ計算をまとめます。
コンダクタンスと電力の計算
コンダクタンスを使った電力計算
P = V² × G(電圧とコンダクタンスから電力)
P = I² / G(電流とコンダクタンスから電力)
計算例:G=20mS、V=10Vの素子の消費電力
P=V²×G=100×0.02=2W
ノード解析でのコンダクタンス行列の計算
ノード解析では、各ノードにキルヒホッフの電流則を適用し、コンダクタンスを係数とする連立方程式を立てます。
2ノード回路の例:G₁₂はノード1〜2間のコンダクタンス、G₁gはノード1〜GND間のコンダクタンス
ノード1の電流則:(G₁g+G₁₂)V₁ − G₁₂V₂ = I₁(外部電流源)
ノード2の電流則:−G₁₂V₁ + (G₂g+G₁₂)V₂ = I₂
この形で表すと、コンダクタンス行列(Gマトリックス)として行列演算で解くことができます。
まとめ
この記事では、コンダクタンスの求め方について、基本公式G=1/RとG=I/V・抵抗値からの計算・材料の電気伝導度からの計算・電流・電圧からの計算・並列回路(G合成=ΣGk)・直列回路(1/G合成=Σ1/Gk)・複合回路・電力計算・ノード解析まで詳しく解説いたしました。
コンダクタンスの計算はG=1/RとG=I/Vという二つの基本式に集約され、並列回路では和をとるだけという計算の便利さが際立ちます。
単位換算(kΩ→Ω・mS→S等)に注意しながら基本公式を丁寧に適用することで、複雑な回路のコンダクタンス計算も確実に解けるようになるでしょう。
コンダクタンスの計算力を高めて、電気回路解析のスキルをさらに磨いていきましょう。