エネルギー密度のランキングは?物質ごとの比較も!と気になって検索した方は、燃料や金属、電池材料などをまとめて比較したいのではないでしょうか。

エネルギー密度という言葉は聞いたことがあっても、質量あたりなのか体積あたりなのかで順位が大きく変わる点は意外と知られていません。

ガソリンや水素、ウランやリチウムなど、身近な燃料から先端の電池材料まで、この記事ではエネルギー密度の高い物質ランキングを軸に、金属別、燃料別、物質別の比較表を交えながら分かりやすく解説していきます。

用途ごとにどの物質が向いているのかという視点も盛り込みますので、自動車や発電、携帯機器の設計に関心がある方にも役立つ内容になっています。

それでは早速、結論から見ていきましょう。

エネルギー密度ランキングの結論、質量あたりでは核燃料と水素が圧倒的

それではまずエネルギー密度のランキングの結論について解説していきます。

先に結論をお伝えすると、質量エネルギー密度、つまり1キログラムあたりに蓄えられるエネルギー量で比較した場合、圧倒的な首位に立つのはウランなどの核燃料です。

核分裂反応を利用するウラン235は、理論上1キログラムあたり数百万メガジュールという桁違いのエネルギーを持っています。

これは化石燃料の実に数百万倍にあたる数値で、他の物質とは比較にならないスケールです。

代表的な物質の質量エネルギー密度の目安です。

ウラン235(核分裂) 約8万メガジュール毎キログラム以上(濃縮度や利用形態により変動)

液体水素 約120から142メガジュール毎キログラム

ガソリン 約44から46メガジュール毎キログラム

天然ガス 約50から55メガジュール毎キログラム

石炭 約24から35メガジュール毎キログラム

リチウムイオン電池 約0.5から1メガジュール毎キログラム

鉛蓄電池 約0.1から0.2メガジュール毎キログラム

ウランを除いた化学燃料の中だけで見ると、実は水素がトップクラスに位置しています。

水素は質量あたりのエネルギー量がガソリンの約3倍近くにもなるため、ロケット燃料や燃料電池車で注目されているのでしょう。

一方で体積あたりのエネルギー密度で比較すると、話はまったく変わってきます。

水素は気体のままだと体積エネルギー密度が非常に低く、液化や高圧圧縮といった工夫が欠かせません。

結論として、質量基準なら核燃料と水素、体積基準ならガソリンや軽油といった液体燃料が有利という、二つの視点を押さえておくことが重要です。

この違いこそが、次の見出しで解説するエネルギー密度の本質的な理解につながっていきます。

そもそもエネルギー密度とは何か

続いてはエネルギー密度そのものの意味を確認していきます。

エネルギー密度とは、ある物質や物体が単位あたりにどれだけのエネルギーを蓄えられるかを示す指標です。

単位には主に二つの種類があり、それぞれ意味合いが異なります。

混同すると比較を誤ってしまうため、ここでしっかり整理しておきましょう。

質量エネルギー密度と体積エネルギー密度の違い

質量エネルギー密度は、1キログラムあたりにどれだけのエネルギーを持つかを表す指標です。

単位はメガジュール毎キログラムやワット時毎キログラムなどが使われます。

一方の体積エネルギー密度は、1リットルや1立方メートルあたりのエネルギー量を表す指標です。

航空機のように機体重量が重要な用途では質量エネルギー密度が重視され、逆に自動車のタンク容量が制限になる用途では体積エネルギー密度が重視される傾向にあります。

同じ水素でも、質量あたりでは非常に優秀な一方、体積あたりでは液体燃料に劣るというねじれが生じるのはこのためです。

質量エネルギー密度が高い物質は軽くて長持ちする燃料として有利です。

体積エネルギー密度が高い物質はコンパクトに収納できる燃料として有利です。

ランキングを見るときは、どちらの基準なのかを必ず確認することが大切でしょう。

エネルギー密度が高いとどうなるか

エネルギー密度が高い物質は、少ない量や軽い重量で多くのエネルギーを供給できます。

例えば同じ航続距離を目指す場合、エネルギー密度が高い燃料であれば燃料タンクを小さくできるでしょう。

逆にエネルギー密度が低い物質は、同じエネルギー量を得るために多くの体積や重量が必要になります。

電気自動車のバッテリーが重くなりがちなのは、リチウムイオン電池のエネルギー密度がガソリンに比べてまだ低いことが一因です。

ただし電池は化学燃料と違って燃焼させずに繰り返し使えるという別のメリットもあります。

単純にエネルギー密度だけで優劣を決められない点も、この分野の面白さといえるのではないでしょうか。

エネルギー密度と出力密度の違い

エネルギー密度と混同されやすい言葉に出力密度があります。

出力密度とは、単位重量や単位体積あたりにどれだけの仕事率、つまりパワーを取り出せるかを示す指標です。

エネルギー密度が高くても、出力密度が低ければ瞬発的な力は出しにくくなります。

例えばガソリンはエネルギー密度も出力密度も比較的バランスが良く、自動車用燃料として長く使われてきました。

一方でリチウムイオン電池はエネルギー密度こそ燃料に劣りますが、出力密度に優れるため急加速が求められる電動車に向いています。

この二つの指標をセットで理解しておくと、後述する用途別の使い分けもぐっと理解しやすくなるでしょう。

燃料別エネルギー密度ランキング

続いては燃料別のエネルギー密度ランキングを確認していきます。

私たちが日常的に利用する燃料には、化石燃料からバイオ燃料、次世代燃料まで幅広い種類があります。

それぞれのエネルギー密度を知ることで、なぜその燃料が特定の用途に選ばれているのかが見えてきます。

化石燃料のエネルギー密度

化石燃料の中では、天然ガスが質量エネルギー密度でやや優位に立っています。

ガソリンや軽油はその次に位置し、石炭は質量あたりでは化石燃料の中でも低めの数値です。

ただし体積エネルギー密度で見ると順位が逆転する場面もあります。

燃料 質量エネルギー密度(目安) 体積エネルギー密度(目安)
天然ガス(LNG) 約50から55MJ毎kg 約23MJ毎L
軽油 約45MJ毎kg 約36MJ毎L
ガソリン 約44から46MJ毎kg 約32MJ毎L
石炭 約24から35MJ毎kg 約20から30MJ毎L

軽油は質量ではガソリンよりわずかに劣るものの、体積では上回るという特徴があります。

ディーゼルエンジンの燃費が良いとされる背景には、この体積エネルギー密度の高さも関係しているのでしょう。

水素やアンモニアなどの次世代燃料

次世代燃料として注目される水素は、質量エネルギー密度が突出して高い物質です。

液体水素で約120から142メガジュール毎キログラムというのは、ガソリンの約3倍にあたります。

一方でアンモニアは水素に比べると質量エネルギー密度は低めですが、常温での取り扱いやすさから輸送用燃料として期待されています。

アンモニア 約18から22メガジュール毎キログラム

液体水素 約120から142メガジュール毎キログラム

メタノール 約20メガジュール毎キログラム

アンモニアや水素はいずれも燃焼時に二酸化炭素を排出しない、もしくは排出量が少ないという特徴があり、脱炭素の観点からも比較対象として頻繁に取り上げられます。

エネルギー密度だけでなく、貯蔵や輸送のしやすさも含めて総合的に評価する必要があるでしょう。

バイオ燃料のエネルギー密度

バイオエタノールやバイオディーゼルといったバイオ燃料も、比較対象としてよく登場します。

バイオエタノールの質量エネルギー密度は約27メガジュール毎キログラムで、ガソリンよりも低めの数値です。

そのため同じ量で走れる距離が短くなる傾向があり、燃費の面ではガソリンに一歩譲る形になります。

それでもカーボンニュートラルな燃料として、エネルギー密度の低さを補って余りある環境面のメリットが評価されています。

木質バイオマスなどの固体燃料は約16メガジュール毎キログラム程度とされ、石炭よりもさらに低いエネルギー密度です。

用途としては発電所での混焼など、大量に扱える場面での活用が中心になっているのではないでしょうか。

金属・電池材料別エネルギー密度ランキング

続いては金属や電池材料に着目したエネルギー密度ランキングを確認していきます。

スマートフォンから電気自動車まで、私たちの暮らしを支える電池材料のエネルギー密度は、技術開発の最前線でもあります。

リチウムなど電池に使われる金属

電池材料の中で特に注目されるのがリチウムです。

リチウム金属そのものは理論上、質量エネルギー密度が非常に高い物質として知られています。

ただし実際の電池パックとして使う場合、正極材や電解質、外装などを含めた総合的な数値になるため、単体の理論値よりも大きく下がってしまいます。

電池の種類 質量エネルギー密度(目安)
リチウムイオン電池 約200から260Wh毎kg(約0.7から0.94MJ毎kg)
ニッケル水素電池 約60から120Wh毎kg(約0.22から0.43MJ毎kg)
鉛蓄電池 約35から40Wh毎kg(約0.13から0.14MJ毎kg)
全固体電池(次世代) 約300から500Wh毎kg(目標値)

この表からも分かる通り、リチウムイオン電池は既存の電池の中では頭一つ抜けたエネルギー密度を持っています。

スマートフォンやノートパソコン、電気自動車に幅広く採用されているのも納得できるのではないでしょうか。

水素吸蔵合金のエネルギー密度

水素を金属内部に吸収させて貯蔵する水素吸蔵合金も、エネルギー密度の議論では欠かせない存在です。

水素吸蔵合金は高圧タンクを使わずに水素を安全に貯蔵できるという利点があります。

体積エネルギー密度で見ると、液体水素よりも高くできる場合がある一方、合金自体の重さが加わるため質量エネルギー密度は下がってしまいます。

ニッケル水素電池の負極にもこの技術が応用されており、身近なところで活躍している合金といえるでしょう。

今後は軽量な合金の開発が、水素社会実現のカギを握っているのではないでしょうか。

ウランなど核燃料のエネルギー密度

金属の枠組みで語られることの多いウランも、エネルギー密度ランキングでは別格の存在です。

ウラン235は核分裂反応によって、化学反応では到底得られない莫大なエネルギーを放出します。

ウラン燃料1グラムから得られるエネルギーは、石炭約3トン分に匹敵するといわれています。

これほどの差が生まれるのは、化学反応と核反応というエネルギー放出の仕組みそのものが根本的に異なるためです。

ランキング表を見る際は、核燃料を同じ土俵で比較してよいのか、用途に応じて判断する視点も必要でしょう。

ただしウランは核分裂という特殊な反応を利用するため、発電所以外での利用には厳格な管理体制が求められます。

エネルギー密度が高いことと、扱いやすさが両立するわけではないという点も押さえておきたいポイントです。

物質別エネルギー密度比較表で見る全体像

続いては、これまで紹介した物質を横並びで比較できる一覧表を確認していきます。

質量あたりと体積あたりの両方を並べることで、それぞれの物質の得意分野が見えてくるはずです。

質量エネルギー密度ランキング表

順位 物質 質量エネルギー密度(目安)
1位 ウラン235(核燃料) 数万から数十万MJ毎kg
2位 液体水素 約120から142MJ毎kg
3位 天然ガス 約50から55MJ毎kg
4位 軽油 約45MJ毎kg
5位 ガソリン 約44から46MJ毎kg
6位 石炭 約24から35MJ毎kg
7位 バイオエタノール 約27MJ毎kg
8位 木質バイオマス 約16MJ毎kg
9位 リチウムイオン電池 約0.7から0.94MJ毎kg
10位 鉛蓄電池 約0.13から0.14MJ毎kg

こうして並べてみると、核燃料と化学燃料の間には桁違いの差があることが一目で分かります。

また電池は燃料と比べて質量エネルギー密度がまだまだ低い水準にとどまっていることも見えてきます。

体積エネルギー密度ランキング表

順位 物質 体積エネルギー密度(目安)
1位 軽油 約36MJ毎L
2位 ガソリン 約32MJ毎L
3位 石炭 約20から30MJ毎L
4位 天然ガス(LNG) 約23MJ毎L
5位 液体水素 約8.5MJ毎L
6位 高圧水素(700気圧) 約4.5MJ毎L
7位 リチウムイオン電池 約2から2.5MJ毎L

体積基準にすると、質量エネルギー密度で圧倒的だった水素の順位が大きく下がる点に注目してください。

タンクを大きくできない自動車や航空機では、この体積エネルギー密度の低さが水素利用の課題になっているのでしょう。

身近な物質との比較

ランキングをより実感しやすくするために、身近な物質のエネルギー密度も見てみましょう。

人間の体脂肪は約37メガジュール毎キログラムで、実はガソリンに近いエネルギー密度を持っています。

砂糖などの糖質は約17メガジュール毎キログラム、TNT火薬は約4.6メガジュール毎キログラムとされています。

TNT火薬は破壊力のイメージが強い物質ですが、エネルギー密度そのものはガソリンや石炭より低いという事実は意外に感じる方も多いのではないでしょうか。

爆発物の威力は、エネルギー密度よりもエネルギーを放出する速度、つまり出力密度が大きく関係しています。

このように身近な物質と比べることで、エネルギー密度という指標の感覚がつかみやすくなるはずです。

用途別に見るエネルギー密度の使い分け

続いては、実際の用途別にどの物質のエネルギー密度が重視されているのかを確認していきます。

同じエネルギー密度が高い物質でも、使われる場面によって評価されるポイントは異なります。

自動車や輸送機器での活用

自動車ではガソリンや軽油といった液体燃料が長年主流となってきました。

これは質量と体積の両方でバランスよくエネルギー密度が高く、常温で安定して扱えるためです。

電気自動車の普及に伴い、リチウムイオン電池のエネルギー密度向上も急速に進んでいます。

航空機の分野ではジェット燃料が使われ続けていますが、これは質量エネルギー密度の高さが機体重量の軽減に直結するためでしょう。

将来的には水素航空機の開発も進められており、体積エネルギー密度の課題をいかに克服するかが焦点になっています。

発電・産業分野での活用

発電分野では、天然ガスや石炭、そしてウランが中心的な役割を担っています。

火力発電では体積あたりの扱いやすさが重視される一方、原子力発電ではウランの圧倒的なエネルギー密度が少量の燃料で大規模な発電を可能にしています。

産業用途では、燃料コストや供給の安定性もエネルギー密度と並んで重要な判断材料になります。

単にエネルギー密度が高いというだけで、すぐに主力燃料になれるわけではない点は覚えておきたいところです。

家庭用・携帯機器での活用

スマートフォンやノートパソコン、モバイルバッテリーなど、私たちの身の回りにはリチウムイオン電池が数多く使われています。

携帯機器では体積と質量の両方が小型化に直結するため、エネルギー密度の高さがそのまま製品の使い勝手に影響します。

家庭用蓄電池では、エネルギー密度よりも安全性やコストが優先される場面も少なくありません。

用途によって重視すべき指標が変わるという点は、エネルギー密度ランキングを読み解くうえで欠かせない視点ではないでしょうか。

エネルギー密度を高める技術動向

続いては、エネルギー密度を高めるために進められている技術開発の動向を確認していきます。

ランキングの順位は固定されたものではなく、技術革新によって今後も変化していく可能性があります。

全固体電池の開発

次世代電池として期待されているのが全固体電池です。

電解質を液体から固体に置き換えることで、より高いエネルギー密度と安全性の両立が目指されています。

実用化が進めば、質量エネルギー密度で現行のリチウムイオン電池を大きく上回る可能性があるとされています。

自動車メーカーや電池メーカーが開発競争を繰り広げているのも、このエネルギー密度向上への期待の表れといえるでしょう。

水素社会に向けた技術革新

水素は質量エネルギー密度こそ優秀ですが、体積エネルギー密度の低さが長年の課題でした。

この課題を解決するために、液化技術や高圧貯蔵技術、水素吸蔵合金の改良が進められています。

将来的には常温常圧に近い状態で高密度に水素を貯蔵する技術が実用化されるかもしれません。

そうなれば、水素は燃料別ランキングの中でもさらに存在感を増していくのではないでしょうか。

新素材によるエネルギー密度向上

電池材料の分野では、リチウムだけでなくナトリウムやマグネシウムを使った次世代電池の研究も進んでいます。

これらは資源量の豊富さという利点がある一方、現時点ではエネルギー密度でリチウムに及ばないのが実情です。

正極材や電解質の改良によって、今後エネルギー密度が向上していく可能性は十分にあります。

ランキングの顔ぶれは、こうした新素材の登場によって数年単位で変わっていく分野といえるでしょう。

まとめ

ここまでエネルギー密度のランキングについて、燃料別、金属や電池材料別、物質別の比較表を交えながら解説してきました。

質量エネルギー密度ではウランなどの核燃料と水素が圧倒的な数値を示す一方、体積エネルギー密度では軽油やガソリンといった液体燃料が有利になるという二面性がポイントでした。

金属や電池材料に目を向けると、リチウムイオン電池が現行技術の中では高いエネルギー密度を誇り、全固体電池などの次世代技術がさらなる向上を目指しています。

エネルギー密度はあくまで一つの指標であり、出力密度や安全性、コストとあわせて総合的に判断することが大切です。

用途に応じてどの物質やエネルギー密度が最適なのかを見極める視点を持つことで、日々のニュースや技術動向もより深く理解できるようになるのではないでしょうか。

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