等差数列の一般項の公式は?求め方や計算方法も解説(初項・公差・第n項・数学B・等比数列との違いなど)
高校数学の「数列」単元において、最初に学ぶ基本的な数列が「等差数列」です。
等差数列の一般項の公式は数列の出発点となる重要な公式であり、受験数学で頻出の内容です。
しかし「公式は覚えているが、どうやって使えばいいかわからない」「公差と公比を混同してしまう」という声も多く聞かれます。
本記事では、等差数列の一般項の公式の意味・導出方法・具体的な求め方・計算方法・等比数列との違いまで、わかりやすく丁寧に解説していきます。
等差数列の一般項の公式とは?本質をひとことで言えば
それではまず、等差数列の定義と一般項の公式の意味について解説していきます。
等差数列とは、隣り合う2つの項の差が常に一定の数列のことです。
この「一定の差」を「公差(common difference)」と呼び、一般にdで表します。
等差数列の定義と公差
等差数列の定義
数列 {aₙ} が等差数列 ⟺ 隣り合う項の差が一定
a_{n+1} − aₙ = d(一定の値 = 公差)
または a_{n+1} = aₙ + d という漸化式
例:3, 7, 11, 15, 19, … (各項は前の項より4大きい → 公差d = 4)
例:10, 7, 4, 1, −2, … (各項は前の項より3小さい → 公差d = −3)
公差dが正のとき数列は増加し、負のとき減少し、ゼロのとき全項が同じ値(定数数列)になります。
等差数列の一般項の公式と導出
等差数列の一般項の公式(最重要)
aₙ = a₁ + (n − 1)d
a₁:初項(第1項の値)
d:公差
n:項番号(nは自然数)
公式の導出:
a₁ → a₂ = a₁ + d → a₃ = a₁ + 2d → a₄ = a₁ + 3d → … → aₙ = a₁ + (n−1)d
第n項は初項にdを(n−1)回足した値。
n = 1 のとき:a₁ = a₁ + (1−1)d = a₁ ✓(公式が第1項でも成立する)
この公式「aₙ = a₁ + (n − 1)d」が等差数列の一般項を表す基本公式です。
nの一次式(n についての一次関数)になっていることが等差数列の特徴であり、グラフにすると一次関数(直線)の形になります。
一般項を求める際に注意すべき「n − 1」の意味
初学者がよく間違えるのが「dを何回足すか」という点です。
第n項に到達するには、初項から(n − 1)回だけdを足す必要があります。
「n − 1回足す」理由の確認
a₁(初項)→d を0回足す → n = 1
a₂ = a₁ + d → dを1回足す → n = 2
a₃ = a₁ + 2d → dを2回足す → n = 3
aₙ = a₁ + (n−1)d → dを(n−1)回足す → n = n
「n番目」に到達するには「n − 1回」の操作が必要。
(「初項から第n項まで」の間には n − 1 個の”ギャップ”がある)
等差数列の一般項の求め方(問題パターン別)
続いては、等差数列の一般項を実際に求める際の具体的な手順とパターンについて確認していきます。
試験によく出る主要なパターンをマスターしましょう。
パターン1:初項と公差が直接与えられる場合
最も基本的なパターンです。
パターン1の解法例
初項5、公差3の等差数列の一般項と第10項を求めよ。
解:aₙ = 5 + (n − 1) × 3 = 5 + 3n − 3 = 3n + 2
第10項:a₁₀ = 3 × 10 + 2 = 32
確認:5, 8, 11, 14, 17, 20, 23, 26, 29, 32 → 第10項 = 32 ✓
整理のポイント:aₙ = a₁ + (n−1)d を展開して「an + b」の形に整理する。
パターン2:数列の具体的な値から初項・公差を求める場合
第m項と第n項が与えられて、初項と公差を連立方程式で求めるパターンです。
パターン2の解法例
第3項が11、第7項が23である等差数列の一般項を求めよ。
解:aₙ = a₁ + (n−1)d を使って
a₃ = a₁ + 2d = 11 ···①
a₇ = a₁ + 6d = 23 ···②
② − ① より:4d = 12 → d = 3
①に代入:a₁ = 11 − 2×3 = 5
よって aₙ = 5 + (n−1)×3 = 3n + 2
パターン3:「第○項が△△」という条件からnを求める逆問題
一般項の値(どの項か)を求める逆問題も頻出です。
パターン3の解法例
等差数列 2, 5, 8, 11, … において、95は第何項か。
解:a₁ = 2、d = 3 なので aₙ = 2 + (n−1)×3 = 3n − 1
3n − 1 = 95 → 3n = 96 → n = 32
よって95は第32項。
確認:a₃₂ = 3×32 − 1 = 96 − 1 = 95 ✓
等差数列の和の公式と計算
続いては、等差数列の一般項とセットで学ぶべき「和の公式」について確認していきます。
和の公式は数列の総和を求める際に不可欠な道具です。
等差数列の和の公式
等差数列の和の公式(2種類)
公式1(初項・公差・項数を使う):
Sₙ = (n/2){2a₁ + (n−1)d}
公式2(初項・末項・項数を使う):
Sₙ = (n/2)(a₁ + aₙ)
(末項 aₙ = a₁ + (n−1)d が分かっているとき便利)
導出(ガウスの方法):
Sₙ = a₁ + a₂ + a₃ + … + aₙ
Sₙ = aₙ + a_{n−1} + … + a₁(逆順)
加えると:2Sₙ = n(a₁ + aₙ) → Sₙ = n(a₁ + aₙ)/2
等差数列の和の計算例
等差数列の和の計算例
【例1】初項2、公差3、第20項までの和
Sₙ = (20/2){2×2 + (20−1)×3} = 10 × {4 + 57} = 10 × 61 = 610
【例2】1から100までの自然数の和(初項1・公差1・末項100)
S₁₀₀ = 100 × (1 + 100)/2 = 100 × 101/2 = 5050
(ガウスが少年時代に暗算したとされる有名な問題)
等差数列の和と一般項の関係
数列の「和Sₙ」と「一般項aₙ」の間には、以下の重要な関係があります。
Sₙからaₙを求める関係式
n ≥ 2 のとき:aₙ = Sₙ − S_{n−1}
n = 1 のとき:a₁ = S₁
この関係は等差数列に限らず、どんな数列でも成立する。
活用例:Sₙ = n² + 2n が与えられたとき
n ≥ 2:aₙ = Sₙ − S_{n−1} = (n² + 2n) − ((n−1)² + 2(n−1))
= n² + 2n − n² + 2n − 1 − 2n + 2 = 2n + 1
n = 1:a₁ = S₁ = 1 + 2 = 3 = 2×1 + 1 ✓(n ≥ 2の式でn=1も成立)
等差数列と等比数列の違い・使い分け
続いては、等差数列と等比数列の本質的な違いと問題での使い分けについて確認していきます。
公式の対比
| 項目 | 等差数列 | 等比数列 |
|---|---|---|
| 隣項の関係 | 差が一定:a_{n+1} − aₙ = d | 比が一定:a_{n+1} / aₙ = r |
| 一般項 | aₙ = a₁ + (n−1)d | aₙ = a₁r^(n−1) |
| 和の公式 | Sₙ = n(a₁ + aₙ)/2 | Sₙ = a₁(1 − rⁿ)/(1 − r)(r≠1) |
| nの関数としての形 | 一次関数(an + b) | 指数関数(a₁ × rⁿ) |
| 等差中項・等比中項 | b = (a+c)/2(算術平均) | b² = ac(幾何平均) |
混同しやすいポイントとその対策
等差数列と等比数列でよく混同される点を整理しておきましょう。
一般項の公式で「(n−1)d か r^(n−1) か」を間違えやすいですが、等差は「足す→(n−1)倍のd」、等比は「掛ける→(n−1)乗のr」と覚えると区別しやすいです。
和の公式でも、等差は「平均×項数((初項+末項)/2 × n)」、等比は「初項×(1−公比のn乗)/(1−公比)」という形の違いを意識しましょう。
「足し算で増える→等差、掛け算で増える→等比」という直感的な区別が最もシンプルな判断基準です。
等差数列が現れる実際の場面
等差数列は日常・社会の様々な場面に現れます。
月100円ずつ増える積立貯金・階段を1段ずつ上るときの高さの変化・メトロノームの一定間隔のビート・測量の等間隔測定点などが等差数列の実例です。
これらは「一定量ずつ変化する」という加法的なパターンを持っており、等差数列の本質を体現しています。
まとめ
本記事では、等差数列の定義・一般項の公式(aₙ = a₁ + (n−1)d)とその導出・具体的な求め方の3パターン・和の公式(2種類)・Sₙとaₙの関係・等比数列との比較まで幅広く解説してきました。
等差数列の一般項の核心は「aₙ = a₁ + (n − 1)d(初項に公差を(n − 1)回足す)」という公式にあり、nの一次式に整理することで様々な問題に対応できます。
連立方程式を使った初項・公差の求め方、逆問題(何項目かを求める問題)、和との関係式という3つのパターンを習得することで、等差数列に関する試験問題の大部分に対処できるでしょう。