物理学や電気工学の国際的な場面では、日本語の専門用語を英語で正確に表現する能力が求められます。
「磁束を英語で何というの?」「magnetic fluxの読み方・発音がわからない」「flux densityとmagnetic fluxの違いは?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、磁束をはじめとする電磁気学の主要テクニカル用語の英語表記・読み方・発音・関連語彙を詳しく解説いたします。
英語の論文読解・国際学会発表・技術文書作成など、さまざまな場面でお役立ていただける内容です。
英語が苦手な方にも理解しやすいよう、カタカナ発音も合わせて紹介いたします。
目次
磁束の英語表記の結論:magnetic flux(マグネティック フラックス)
それではまず、磁束の英語表記について解説していきます。
磁束の英語表記はmagnetic flux(マグネティック フラックス)です。
磁束を表す記号φ(ファイ)は英語でも同じ記号が使われ、phi(ファイ)と読みます。
磁束の英語表記と読み方
磁束:magnetic flux(マグネティック フラックス)
記号:φ(phi:ファイ)
単位:Weber(ウェーバー)、記号Wb
磁束密度:magnetic flux density(マグネティック フラックス デンシティ)
または:B-field(ビーフィールド)
fluxという単語はラテン語のfluxus(流れ)に由来し、「流れ・流量」を意味します。
英語のfluxは磁束以外にも、電気フラックス(electric flux)・熱フラックス(heat flux)・物質フラックス(mass flux)など、様々な「場を通過する量の流れ」を表す広義の物理用語です。
日本語の「磁束」はmagneticをつけてmagnetic fluxと訳されており、フラックスという外来語としてもそのまま使われることがあります。
magnetic fluxの発音と読み方の詳細
続いては、magnetic fluxの発音と読み方について確認していきます。
英語の発音を正確に理解しておくことで、国際学会やオンライン講座でのリスニングが格段に楽になります。
magneticの発音
magneticはmæɡˈnɛtɪk(マグネティック)と発音します。
アクセントは第二音節(「ネ」)にあり、mag-NET-icというリズムで発音します。
日本語の「マグネット」はmagnetが語源ですが、magneticはtがticで終わる形容詞形です。
ネイティブ発音では「マグネリック」に近く聞こえることもあります。
fluxの発音
fluxはflʌks(フラックス)と発音します。
flのfl音(唇と舌を使う連続子音)に続いてʌ(アに近い音)、最後にksと続きます。
日本語では「フラックス」とカタカナ表記されます。
なお、flux(フラックス)ははんだ付けで使う「フラックス(松脂)」と同じ単語であり、「流れ」という共通の意味を持ちます。
magnetic flux densityの発音
磁束密度を表すmagnetic flux densityはmæɡˈnɛtɪk flʌks ˈdɛnsɪtiと発音します。
カタカナで表すと「マグネティック フラックス デンシティ」となります。
densityはden-SI-tyとアクセントが第二音節に置かれます。
磁束密度は略してB-field(ビーフィールド)と呼ばれることも多く、論文や会話では「B field」という表現がよく使われます。
電磁気学の主要英語テクニカル用語一覧
続いては、電磁気学の主要英語テクニカル用語を確認していきます。
磁束関連用語から始まり、電磁誘導・磁気特性まで、実用的な語彙を体系的に整理します。
磁束・磁場関連の英語用語
| 日本語 | 英語 | 読み方(カタカナ) |
|---|---|---|
| 磁束 | magnetic flux | マグネティック フラックス |
| 磁束密度 | magnetic flux density / B-field | マグネティック フラックス デンシティ |
| 磁場(磁界) | magnetic field | マグネティック フィールド |
| 磁束鎖交数 | flux linkage | フラックス リンケージ |
| 磁束線 | magnetic flux line / field line | マグネティック フラックス ライン |
| 磁力線 | line of magnetic force | ライン オブ マグネティック フォース |
| 残留磁束密度 | residual magnetic flux density / remanence | レジデュアル マグネティック フラックス デンシティ / レマネンス |
電磁誘導関連の英語用語
| 日本語 | 英語 | 読み方(カタカナ) |
|---|---|---|
| 電磁誘導 | electromagnetic induction | エレクトロマグネティック インダクション |
| 起電力 | electromotive force (EMF) | エレクトロモーティブ フォース |
| 誘導起電力 | induced EMF | インデュースド イーエムエフ |
| ファラデーの法則 | Faraday’s law | ファラデーズ ロー |
| レンツの法則 | Lenz’s law | レンツェズ ロー |
| インダクタンス | inductance | インダクタンス |
| 自己インダクタンス | self-inductance | セルフ インダクタンス |
| 相互インダクタンス | mutual inductance | ミューチュアル インダクタンス |
磁気特性・磁石関連の英語用語
| 日本語 | 英語 | 読み方(カタカナ) |
|---|---|---|
| 永久磁石 | permanent magnet | パーマネント マグネット |
| 電磁石 | electromagnet | エレクトロマグネット |
| 保磁力 | coercivity / coercive force | コアーシビティ / コアーシブ フォース |
| ヒステリシス | hysteresis | ヒステリシス |
| 透磁率 | magnetic permeability | マグネティック パーミアビリティ |
| 磁化 | magnetization | マグネタイゼーション |
| 飽和磁化 | saturation magnetization | サチュレーション マグネタイゼーション |
fluxという英語の多様な用法
続いては、fluxという英語の多様な用法について確認していきます。
fluxは物理学・工学・日常英語において様々な意味で使われる多義語です。
物理学・工学でのfluxの用法
物理学や工学では、fluxは「単位面積・単位時間あたりに通過する量(の流れ)」という意味で広く使われます。
magnetic flux(磁束)はその代表例ですが、他にも多くの「flux」が登場します。
物理・工学でのfluxの用例
magnetic flux:磁束
electric flux:電気フラックス(電束)
heat flux:熱フラックス(単位面積あたりの熱流量)
neutron flux:中性子フラックス(核反応炉内の中性子の流量密度)
radiant flux:放射束(光・電磁波の電力)
luminous flux:光束(光の明るさの尺度、単位:lm=ルーメン)
これらのfluxは共通して「ある面を通過する何らかの量の流れ」を表しており、磁束の概念との類似性を感じることができます。
日常英語でのfluxの用法
日常英語では、fluxは「絶え間ない変化・流動状態」を意味することもあります。
「be in a state of flux(流動的な状態にある)」という表現は、状況が不安定・変化中であることを意味します。
ビジネス英語でも「The market is in flux(市場は流動的だ)」のように使われます。
また、はんだ付けで使用するフラックス(松脂・活性剤)もfluxと呼ばれ、「流れを助ける物質」という語源的な意味を持ちます。
flux quantumの英語表現
磁束量子はflux quantum(フラックス クォンタム)と表記します。
quantumはラテン語で「量」を意味し、量子力学(quantum mechanics)の「量子」と同じ単語です。
磁束量子Φ₀はthe magnetic flux quantum(ザ マグネティック フラックス クォンタム)とも表現されます。
超伝導の文脈ではfluxon(フラックソン)という用語も使われ、超伝導体中の磁束量子単位の渦糸を指します。
英語論文・技術文書での磁束関連表現
続いては、英語論文や技術文書での磁束関連表現について確認していきます。
実際の英語論文や技術文書でよく使われる表現を知ることで、読解・執筆能力が向上するでしょう。
磁束に関する典型的な英語表現
論文・技術文書でよく使われる磁束関連表現
The magnetic flux through the coil is given by φ=BA.(コイルを貫く磁束はφ=BAで表される)
The flux linkage of the winding is Ψ=Nφ.(巻線の磁束鎖交数はΨ=Nφである)
According to Faraday’s law, the induced EMF equals the rate of change of flux.(ファラデーの法則によれば、誘導起電力は磁束の変化率に等しい)
The residual flux density(remanence)of the magnet was measured to be 1.2T.(磁石の残留磁束密度(残留磁化)は1.2Tと測定された)
単位の英語表記
磁束の単位Weber(ウェーバー)は、電磁誘導を発見したドイツの物理学者ウィルヘルム・ウェーバーの名前に由来します。
英語ではWebber(ウェッバー)または単にWb(ダブリュービー)と呼ばれます。
磁束密度の単位Tesla(テスラ)は、セルビア系アメリカ人発明家ニコラ・テスラに由来し、英語ではTessel(テスラ)と発音します。
ガウス(Gauss、記号G)はCGS単位系の磁束密度単位であり、1T=10,000Gの関係があります。
SI単位と非SI単位の英語表記
| 物理量 | SI単位(英語) | 旧単位(英語) | 換算 |
|---|---|---|---|
| magnetic flux | Weber (Wb) | Maxwell (Mx) | 1Wb=10⁸Mx |
| magnetic flux density | Tesla (T) | Gauss (G) | 1T=10⁴G |
| magnetic field strength | Ampere/meter (A/m) | Oersted (Oe) | 1A/m≈0.01257Oe |
| magnetomotive force | Ampere (A) | Gilbert (Gb) | 1A≈0.796Gb |
現代の国際的な科学技術文書ではSI単位系を使用するのが標準ですが、旧単位(CGS単位)も一部の文書で見かけることがあります。
特に磁気工学の古い文献ではGauss(ガウス)やOersted(エルステッド)が使われているため、換算関係を押さえておくことが大切です。
まとめ
この記事では、磁束の英語表記magnetic flux(マグネティック フラックス)を中心に、発音・読み方・関連テクニカル用語・fluxの多義的用法・論文での表現・単位の英語表記まで詳しく解説いたしました。
magnetic flux(磁束)・flux density(磁束密度)・flux linkage(磁束鎖交数)という三つの用語は電磁気学の英語テクニカルボキャブラリーの核心です。
fluxという単語は「流れ・流量」を意味するラテン語由来の多義語であり、磁束以外にも電束・熱流量・中性子流量など幅広い物理量に使われます。
英語論文の読解や国際的な技術文書の作成では、これらのテクニカル用語を正確に理解することが不可欠です。
今回ご紹介した英語表現と発音をしっかりマスターして、グローバルな技術コミュニケーションに活用してください。