日常生活やDIY、建築現場などで「1尺の脚立」「2尺の棚」といった表現を耳にすることがあるでしょう。しかし、実際に1尺が何センチなのか、すぐに答えられる方は少ないかもしれません。
特に脚立や家具を購入する際、尺とセンチメートルの換算ができないと、実際のサイズ感がつかめず困ってしまうことも。「尺」は日本で古くから使われてきた長さの単位ですが、現代ではメートル法が主流となっているため、両者を行き来できるスキルが求められます。
この記事では、1尺は何センチなのかという基本から、脚立などの実用例、簡単な計算方法、さらには覚えやすいコツまで、尺とセンチメートルの換算について徹底的に解説していきます。これを読めば、尺表示の製品を見ても自信を持ってサイズを把握できるようになるでしょう。
目次
1尺は何センチか?基本の答えと定義
それではまず、最も重要な結論から解説していきます。
より正確には、1尺は10/33メートル、つまり約30.303cmと定義されています。実務上は「約30cm」と覚えておけば、おおよその長さを把握するのに十分でしょう。

尺は日本の伝統的な長さの単位で、メートル法が導入される以前から広く使われてきました。現在でも建築業界や伝統工芸、和服の世界などで頻繁に用いられており、完全になくなったわけではありません。
メートル法への換算は、1891年に制定された度量衡法によって「1尺=10/33m」と正式に定められました。この定義により、1尺=0.303030…m=30.303030…cmという循環小数で表されることになります。
日常的には30.3cmと覚えておけば問題ありませんが、建築の世界など精密さが求められる場合には、この循環小数の性質を理解しておくことが重要です。また、この定義によって、33尺がちょうど10メートルになるという関係性も成り立っています。
尺からセンチメートルへの計算・換算方法
続いては、尺をセンチメートルに換算する具体的な計算方法を確認していきます。
基本的な計算式と考え方
尺をセンチメートルに換算する基本式は非常にシンプルです。
センチメートル = 尺 × 30.303…または、より簡便に
センチメートル ≒ 尺 × 30.3
例えば、3尺を計算してみましょう。
このように、尺の数値に30.3を掛けるだけで、おおよそのセンチメートルが求められます。日常的な用途であれば、この計算で十分な精度が得られるでしょう。
より正確に計算したい場合は、10/33という分数を使った計算が有効です。たとえば5尺の場合、5×10/33=50/33≒1.515mとなり、これは約151.5cmということになります。
脚立の高さで見る実用的な換算例
脚立のサイズ表記では「尺」が今でもよく使われています。実際の製品を例に、換算を見ていきましょう。
| 脚立のサイズ | 尺表記 | センチメートル換算 | 用途例 |
|---|---|---|---|
| 小型 | 3尺 | 約91cm | 室内での軽作業 |
| 中型 | 5尺 | 約152cm | 天井の電球交換など |
| 大型 | 7尺 | 約212cm | 高所作業 |
| 特大 | 10尺 | 約303cm | 建築現場など |
脚立を選ぶ際は、天井までの高さから作業する人の身長を考慮して
、適切なサイズを選ぶ必要があります。一般的な住宅の天井高は約240cmですから、5尺(約152cm)の脚立があれば、ほとんどの室内作業に対応できるでしょう。
逆算:センチメートルから尺への換算
逆にセンチメートルを尺に換算したい場合もあります。その計算方法も押さえておきましょう。
尺 = センチメートル ÷ 30.303…または、より簡便に
尺 ≒ センチメートル ÷ 30.3
例えば、100cmは何尺かを計算してみます。
このように、センチメートルを30.3で割ることで、尺に換算することができます。より正確には、33/10を掛ける(つまり3.3倍する)方法もありますが、実用上は割り算の方が計算しやすいでしょう。
建築図面などで「910mm」という寸法をよく見かけますが、これは実は3尺(正確には909.09…mm)を基準としたモジュール寸法なのです。
尺とセンチメートルの換算を覚えるコツと実用テクニック
続いては、尺とセンチメートルの換算を素早く行うための覚え方やテクニックを確認していきます。
「30cm」を基準にした簡単な覚え方
最も簡単な覚え方は、「1尺≒30cm」とざっくり覚えてしまうことです。厳密には30.3cmですが、日常生活レベルでは30cmで十分実用的でしょう。
この覚え方を使えば、暗算も簡単になります。
2尺 → 2 × 30 = 60cm5尺 → 5 × 30 = 150cm
10尺 → 10 × 30 = 300cm
実際の値は若干大きくなりますが(2尺なら約60.6cm、5尺なら約151.5cm)、サイズ感をつかむには「×30」の計算で十分です。
より正確さが必要な場合は、「30cmよりちょっと大きい」と意識しておくとよいでしょう。具体的には、計算結果に1%程度を加えるイメージです。
身の回りのものを基準にした覚え方
数字だけでは覚えにくい方には、身近なものと関連付ける方法がおすすめです。
定規の長さが30cmですから、「1尺=定規1本分」と覚えるのはいかがでしょうか。この覚え方なら、視覚的にイメージしやすくなります。
また、A4用紙の短辺が約21cmですから、「1尺はA4用紙の短辺より少し長い」というイメージも有効でしょう。畳の短辺は約3尺(約91cm)ですから、和室にお住まいの方なら「畳の幅=3尺」という基準も使えます。
覚え方の例
・1尺 = 定規1本分(30cm)
・3尺 = 畳の短辺
・6尺 = 畳の長辺
・1間(6尺) = 約180cm(人の身長くらい)
このように身近なものと関連付けることで、数字の暗記だけに頼らず、感覚的に尺の長さを把握できるようになります。
建築や日常で役立つ尺の豆知識
尺を理解する上で知っておくと便利な豆知識をいくつか紹介しましょう。
日本の伝統的な建築では、「尺貫法」という体系の中で尺が使われてきました。1間(けん)は6尺で約182cm、これが柱と柱の間隔の基準となっています。
また、畳のサイズも尺を基準に作られており、京間や江戸間など地域によって微妙に異なりますが、基本的には3尺×6尺を基準としています。現代の建築でも、この伝統を受け継いで910mm(約3尺)を基本モジュールとする設計が多く見られるのです。
和服の世界では、反物の幅が約1尺(約37cm、これは鯨尺という別の尺の基準)で、身丈は身長とほぼ同じとされています。このように、尺は日本の生活文化に深く根ざした単位なのです。
脚立以外にも、竹竿、物干し竿、建材など、今でも尺表記の製品は数多く存在します。尺の換算ができれば、これらの製品選びもスムーズになるでしょう。
その他の尺に関連する単位と換算表
続いては、尺に関連するその他の単位についても確認していきます。
寸・間など尺に関連する長さの単位
尺は単独で使われるだけでなく、寸(すん)や間(けん)といった関連単位と組み合わせて使われます。
| 単位 | 尺との関係 | センチメートル換算 | 使用例 |
|---|---|---|---|
| 寸(すん) | 1/10尺 | 約3.03cm | 釘のサイズ、板の厚みなど |
| 尺(しゃく) | 基準 | 約30.3cm | 脚立、家具、建材など |
| 間(けん) | 6尺 | 約182cm | 柱の間隔、部屋のサイズなど |
| 丈(じょう) | 10尺 | 約303cm | 高さや長さの大きな単位 |
「三寸」といえば約9cm、「五寸釘」なら約15cmといった具合に、寸は比較的小さなものの長さを表す際に使われます。一方、間は建築の基本モジュールとして重要な単位でしょう。
これらの単位を理解しておくと、古い建築図面を読んだり、伝統工芸の説明を理解したりする際に役立ちます。
面積や体積の単位への応用
尺は長さだけでなく、面積や体積を表す単位の基準にもなっています。
1坪(つぼ)は1間×1間、つまり6尺×6尺の面積で、約3.3平方メートルに相当します。不動産の広告などで「20坪の土地」といった表現を見かけますが、これは約66平方メートルということになるでしょう。
また、1合(ごう)や1升(しょう)といった容積の単位も、実は尺貫法の体系に属しています。1升は約1.8リットルで、お酒や米の量を表す際に今でも使われる単位です。
面積の換算例1坪 = 6尺 × 6尺 = 約3.3㎡
10坪 = 約33㎡(約10畳相当)
このように、尺を理解することで、長さだけでなく面積や体積の感覚も身につけることができます。
地域や用途による尺の違い
実は「尺」には複数の種類があり、用途によって長さが微妙に異なることをご存知でしょうか。
一般的な「曲尺(かねじゃく)」は、これまで説明してきた約30.3cmの尺です。しかし、和裁で使われる「鯨尺(くじらじゃく)」は約37.9cmと、曲尺よりも長くなっています。
これは、もともと鯨のひげを使って物差しを作っていたことに由来する名称で、和服の寸法を測る際に使われてきました。着物のサイズ表記で「身丈4尺」と書かれている場合、これは鯨尺での表記ですから、約152cmということになります。
また、建築の世界では地域によって「京間」「江戸間」「中京間」といった異なる畳のサイズ基準があり、それぞれ微妙に尺の解釈が異なっていました。現代ではメートル法に統一されつつありますが、伝統的な分野では今でもこうした違いが残っているのです。
まとめ
1尺は約30.3cm(正確には10/33メートル)という長さの単位で、日本の伝統的な尺貫法に属しています。現代でも脚立や建材、和服など様々な分野で使われており、メートル法との換算ができると非常に便利でしょう。
基本的な換算は「尺×30.3=センチメートル」という簡単な計算式で行えます。暗算の際は「×30」で計算して、実際より若干大きいと認識しておけば十分です。
1尺を定規1本分(30cm)と覚える方法や、3尺を畳の幅と関連付ける方法など、身近なものを基準にすると記憶に残りやすくなります。
また、寸(約3cm)や間(約182cm)といった関連単位も理解しておくと、建築や伝統工芸の世界での表現をより深く理解できるでしょう。
尺とセンチメートルの換算は、一度コツをつかめば決して難しくありません。この記事で紹介した方法を参考に、ぜひ日常生活で活用してみてください。