貴金属投資の世界に足を踏み入れると、「1/20オンス」という表記を目にする機会が増えてきます。特に金貨や銀貨の分野では、このような分数表記のオンスが頻繁に使用されており、初心者にとっては戸惑いの種となることも少なくありません。
日本ではグラムやキログラムといったメートル法が標準ですが、国際的な貴金属市場ではオンスという単位が主流です。1/20オンスの金貨を購入しようと考えたとき、実際の重さはどれくらいなのか、価格はいくらなのか、サイズ感はどうなのか。これらの疑問を解消することは、賢明な投資判断を下すために欠かせません。
さらに、オンスにはアメリカ式とイギリス式の違いがあり、貴金属専用の「トロイオンス」という特殊な単位も存在します。これらの違いを正しく理解していないと、取引の際に思わぬ誤解や損失を招く可能性があるのです。
本記事では、1/20オンスが正確に何グラムに相当するかという基本から、金貨や銀貨の具体的なサイズ、現在の値段相場、そしてアメリカとイギリスにおけるオンスの違いまで、包括的に解説していきます。変換・換算の実用的なコツもご紹介しますので、貴金属取引の際にぜひご活用ください。
目次
1/20オンスは約1.56グラム(トロイオンス基準)
それではまず、1/20オンスが何グラムに相当するかについて解説していきます。
結論から申し上げますと、貴金属取引で使用される1/20トロイオンスは約1.56グラムです。これは金貨や銀貨などの貴金属製品の重量を示す際に使われる標準的な数値となります。

トロイオンス(troy ounce)は、金・銀・プラチナなどの貴金属専用の重量単位として世界中で統一されており、1トロイオンスは正確に31.1034768グラムと国際的に定義されているのです。この値を20で割ると、1/20トロイオンスは1.5551738…グラムとなります。
【計算例】
1トロイオンス = 31.1034768g
1/20トロイオンス = 31.1034768g ÷ 20 = 1.55517384g
≒ 1.56g(小数第二位で四捨五入)
実際の取引や商品表示では、約1.56グラムとして扱われることが一般的でしょう。ただし、精密な純金量や純銀量を算出する際には、1.5552グラムという数値が使用されることもあります。
この重量を身近なもので例えると、1円玉(1グラム)の1.5枚分ほどの重さです。非常に軽量で小さなサイズとなるため、金貨としては最小クラスに分類されます。それでも、貴金属特有の密度の高さから、手に取ると確かな重みを感じられるでしょう。
貴金属市場では必ず「トロイオンス」が使用されます。日常生活で使われる通常のオンス(常用オンス)とは異なる単位ですので、混同しないよう十分注意してください。
金貨や銀貨の商品説明やオンラインショップで「1/20oz」「1/20オンス」と記載されている場合、これは間違いなくトロイオンスを指しています。したがって、約1.56グラムの貴金属が含まれていると理解すれば正確です。
1/20オンスという規格は、少額から貴金属投資を始めたい方や、プレゼント用の小型金貨を探している方に人気があります。保管スペースを取らず、複数枚を分散して購入できる点も魅力と言えるでしょう。
アメリカとイギリスのオンスの違いとトロイオンスの重要性
続いては、アメリカとイギリスにおけるオンスの違い、そして貴金属取引で使用されるトロイオンスの重要性について確認していきます。
常用オンス(Avoirdupois Ounce)の概要
アメリカとイギリスで一般的に使用されている重量単位が「常用オンス」(Avoirdupois Ounce)です。この単位は、1オンス=約28.349523グラムと定義されています。
日常生活における食品の計量、郵便物の重量測定、スポーツ用品の重量表示など、幅広い分野で使われているのがこの常用オンスです。アメリカでは現在でも主要な重量単位として広く普及しており、スーパーマーケットの商品パッケージなどで頻繁に目にするでしょう。
イギリスでは歴史的に常用オンスが使われてきましたが、1960年代以降メートル法への移行が進められ、現在では公式な取引や表示ではグラムやキログラムが優先されています。それでも、伝統的な分野や一部の業界では今でも常用オンスが使用されているのです。
トロイオンス(Troy Ounce)が貴金属の標準である理由
貴金属の取引において世界標準となっているのが「トロイオンス」(Troy Ounce)です。この単位は、1トロイオンス=31.1034768グラムと、常用オンスより約10%重く定義されています。
トロイオンスの名前の由来は、中世フランスのトロワ市(Troyes)で開かれていた国際的な定期市にあると言われています。この市場では貴金属や宝石の取引が盛んに行われており、その際に使用された重量単位が「トロイオンス」として標準化されていったのです。
現代においても、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)、ニューヨーク商品取引所(COMEX)、東京商品取引所など、世界中のすべての主要貴金属市場でトロイオンスが採用されています。これにより、国際取引における混乱を防ぎ、透明性の高い市場環境が維持されているのです。
| オンスの種類 | グラム換算 | 主な用途 | 使用地域 |
|---|---|---|---|
| 常用オンス | 約28.35g | 日常品の重量測定、食品、郵便など | 主にアメリカ、一部イギリス |
| トロイオンス | 31.1034768g | 金、銀、プラチナ、パラジウムなどの貴金属 | 世界共通(国際標準) |
なぜ2つのオンスが存在するのか
常用オンスとトロイオンスという2つの異なる単位が存在する理由は、歴史的な発展過程にあります。常用オンスは商業取引全般で使われるよう発展した単位であり、トロイオンスは貴金属という特殊な商品のために専門化された単位なのです。
貴金属は高価で少量取引が基本となるため、より精密で信頼性の高い計量システムが求められました。トロイオンスはそのニーズに応えるために発展し、国際的な信頼を獲得していったと考えられています。
投資家や収集家が金貨や銀貨を購入する際には、必ずトロイオンス基準で表示されていることを確認しましょう。「oz」という略記だけでは常用オンスかトロイオンスか判別できないこともあるため、「troy oz」「t oz」などの明記があると安心です。
1/20オンス金貨・銀貨のサイズと値段の相場
続いては、1/20オンスの金貨や銀貨の実際のサイズ感と、現在の値段相場について確認していきます。
1/20オンス金貨のサイズと物理的特徴
1/20オンス金貨は、直径約12~13mm、厚さ約0.7~0.9mm程度の非常にコンパクトなサイズです。重量は約1.56グラムですから、見た目も実際の重さも非常に小さく感じられるでしょう。
このサイズ感を身近なもので例えると、500円硬貨(直径26.5mm)の半分弱程度の直径となります。非常に小さいため、取り扱いには注意が必要ですが、その分保管スペースを取らず、携帯性に優れているのです。
代表的な1/20オンス金貨としては、以下のようなものがあります。
カナダのメイプルリーフ金貨1/20オンスは、純度99.99%の高品質な金貨として世界的に人気があります。メイプルリーフ(カエデの葉)のデザインが美しく、投資用としてもコレクション用としても高い評価を受けているのです。
オーストラリアのカンガルー金貨1/20オンスも、毎年デザインが変わる魅力的なシリーズとして知られています。パース造幣局が製造するこの金貨は、純度99.99%で品質管理も徹底されているでしょう。
ウィーン金貨ハーモニー1/20オンスは、オーストリア造幣局が発行する金貨で、楽器をモチーフにした優雅なデザインが特徴です。ヨーロッパで人気が高く、世界中のコレクターから愛されています。
1/20オンス金貨の値段相場と価格変動要因
1/20オンス金貨の価格は、国際的な金地金価格(スポット価格)に連動して日々変動します。2026年2月現在の金価格水準を基準に考えると、以下のような相場感となるでしょう。
【概算例】
金地金価格が1グラムあたり13,000円の場合
1.56g × 13,000円 = 20,280円(純金価値)
プレミアム(製造コスト、流通マージン、人気度等)を加えると
実際の販売価格:約23,000~28,000円程度
実際の販売価格には、純金価値に加えて以下の要素が上乗せされます。
まず製造コストです。金貨の鋳造には高度な技術と設備が必要であり、デザインの精密さや品質管理にもコストがかかります。小型の金貨でも製造工程は大型のものと大きく変わらないため、グラムあたりの単価は小型ほど高くなる傾向があるのです。
次に流通マージンです。販売業者の利益、輸送費用、保険料なども価格に反映されます。また、人気のある金貨や限定発行のものは、需要と供給のバランスによってプレミアムが高くなることもあるでしょう。
| 金貨のサイズ | 重量(グラム) | 概算価格(金13,000円/g基準) | プレミアム率の目安 |
|---|---|---|---|
| 1オンス | 31.10g | 約410,000~430,000円 | 低め(3~5%) |
| 1/10オンス | 3.11g | 約42,000~47,000円 | 中程度(5~8%) |
| 1/20オンス | 1.56g | 約23,000~28,000円 | 高め(8~15%) |
1/20オンス銀貨について
銀貨の場合、1/20オンスという規格は金貨に比べてあまり一般的ではありません。銀は金に比べて単価が大幅に安いため、1オンス、5オンス、10オンスなど、より大きな重量単位で取引されることが多いのです。
ただし、記念コインや特別なシリーズ、プレゼント用の小型銀貨として、1/20オンスの銀貨が発行されることもあります。その場合、銀の地金価格に基づいて計算すると、以下のような価格帯になるでしょう。
【銀貨の概算例】
銀地金価格が1グラムあたり150円の場合
1.56g × 150円 = 234円(純銀価値)
プレミアムを加えると
実際の販売価格:約800~2,000円程度
銀貨の場合、地金価値に対するプレミアムの比率が金貨よりも高くなる傾向があります。これは、製造コストが重量に比例しないためです。デザインの美しさ、発行枚数の少なさ、シリーズの人気度などによって、プレミアムが大きく変動することもあるでしょう。
1/20オンス金貨は少額から貴金属投資を始めたい方に最適ですが、グラムあたりの単価は大型金貨より高くなります。長期的な資産形成を考える場合は、1/10オンスや1/4オンスとのバランスを検討するとよいでしょう。
オンスからグラムへの変換・換算方法と実用的なコツ
続いては、オンスからグラムへの変換・換算方法と、日常的に使える実用的なコツについて確認していきます。
基本的な換算式とステップ
貴金属のオンスをグラムに換算する基本的な方法は非常にシンプルです。トロイオンスの定義値を用いて、以下のように計算できます。
【基本換算式】
グラム数 = トロイオンス数 × 31.1034768
例:1/20オンスの場合
グラム数 = (1÷20) × 31.1034768
= 0.05 × 31.1034768
= 1.55517384g
≒ 1.56g
この計算式を理解しておけば、どのような分数オンスでも正確にグラム換算ができます。1/10オンス、1/4オンス、1/2オンスなど、様々な規格の金貨や銀貨の重量を即座に把握できるでしょう。
実際の計算では、スマートフォンの計算機アプリや電卓を使用すれば簡単です。31.1034768という数値を記憶しておき、これにオンス数を掛けるだけで瞬時にグラム換算が可能となります。
よく使われる分数オンスの換算早見表
貴金属市場でよく見かける分数オンスを、あらかじめグラムに換算しておくと非常に便利です。以下の早見表を参考にしてください。
| オンス表記 | 正確なグラム数 | 概算(実用) | 主な用途・特徴 |
|---|---|---|---|
| 1オンス | 31.1035g | 31.1g | 最も標準的な投資用金貨のサイズ |
| 1/2オンス | 15.5517g | 15.6g | 中型の投資用金貨、バランス型 |
| 1/4オンス | 7.7759g | 7.8g | 人気の高い小型投資用金貨 |
| 1/10オンス | 3.1103g | 3.1g | 少額投資や贈答用に人気 |
| 1/20オンス | 1.5552g | 1.6g | 最小クラスの投資用金貨 |
| 1/25オンス | 1.2441g | 1.2g | 記念コインなどで稀に使用 |
この早見表を活用すれば、金貨や銀貨のカタログやウェブサイトを見たときに、すぐに実際の重量をイメージできるでしょう。投資判断やコレクション選択の際に大いに役立ちます。
換算時の実用的なコツと注意すべきポイント
オンスとグラムの換算を行う際には、いくつかの実用的なコツと注意点があります。これらを押さえておくことで、より正確で効率的な計算が可能になるでしょう。
まず、暗算で素早く概算したい場合は、「1トロイオンス≒31グラム」と覚えておくと便利です。厳密には31.1034768グラムですが、日常的な概算にはこの簡略値で十分対応できます。1/20オンスなら「31÷20=1.55、約1.6グラム」とすぐに計算できるのです。
次に重要なのが、常用オンスとトロイオンスを絶対に混同しないことです。前述のとおり、常用オンスは約28.35グラムであり、トロイオンスとは約3グラムの差があります。貴金属以外の商品説明で「オンス」と書かれている場合は常用オンスの可能性があるため、文脈を慎重に確認しましょう。
さらに、金貨や銀貨を購入する際には、総重量と純金量(または純銀量)の違いにも注意が必要です。24金(純度99.99%)の金貨であれば総重量≒純金量となりますが、22金や21.6金などの合金の場合、総重量の一部は銅などの他の金属が占めています。
【純度の計算例】
22金の1/20オンス金貨の場合
総重量:1.56g
純度:22/24 = 91.67%
純金量:1.56g × 0.9167 = 1.43g
投資目的で金貨を購入する場合、純金量がどれだけ含まれているかが重要です。商品説明には「総重量1/20オンス(純金量1/20オンス)」のように明記されていることが多いので、必ず確認するようにしましょう。
また、オンライン取引や海外のオークションサイトで購入する際には、重量単位の表記を細かくチェックしてください。「oz」だけでなく「troy oz」「t oz」「ozt」などと明記されていれば、トロイオンスであることが確実です。
最後に、為替レートにも注意が必要です。海外のサイトで金貨を購入する場合、ドルやユーロなどの外貨建てで価格が表示されています。購入時の為替レートによって日本円での実質価格が変動するため、円換算後の総額を必ず確認しましょう。
まとめ
1/20オンスの重さは、貴金属取引の国際標準であるトロイオンス基準で約1.56グラムに相当します。これは1円玉約1.5枚分の重さであり、金貨としては最小クラスのサイズとなるでしょう。
オンスには常用オンス(約28.35g)とトロイオンス(31.1034768g)の2種類があり、金や銀などの貴金属取引では世界共通でトロイオンスが使用されます。アメリカでもイギリスでも、また世界中のどの貴金属市場でも、この統一された基準に従っているため、国際取引がスムーズに行われているのです。
1/20オンス金貨のサイズは直径約12~13mm程度と非常にコンパクトで、値段の相場は金地金価格に製造コストやプレミアムを加えた23,000~28,000円程度となります。小型の金貨ほどグラムあたりの単価は高くなる傾向がありますが、少額から投資を始められる点や保管の容易さが大きな魅力です。
オンスからグラムへの換算は、「オンス数×31.1034768」という基本式で簡単に計算できます。よく使われる分数オンスの換算値を早見表として記憶しておけば、金貨や銀貨を選ぶ際の判断が格段にスムーズになるはずです。
貴金属投資や記念コイン収集を始める際には、重量単位の正確な理解が成功の鍵となります。本記事で解説した知識を活用して、自信を持って金貨や銀貨の取引を進めていってください。少額から始められる1/20オンス金貨は、貴金属投資の入門として最適な選択肢の一つと言えるでしょう。