波数の求め方は、与えられた情報(波長・周波数・エネルギーなど)によって異なる計算経路をたどります。
分光学・物理学・音響学など、使用する分野によっても使う公式と単位が変わるため、各ケースの計算手順を系統的に理解しておくことが重要です。
本記事では、波数の計算に必要な基本公式・波長から求める方法・周波数から求める方法・エネルギーから求める方法・具体的な計算例について詳しく解説していきます。
目次
波数の基本計算公式と求め方の種類
それではまず、波数の計算に使う基本公式の種類と求め方の概要について解説していきます。
波数を求める方法は「与えられている情報(波長・周波数・エネルギー・速度)」によって異なります。
波長から波数を求める(基本公式)
波長→波数の計算公式
通常の波数:ν̃(cm⁻¹)= 1 / λ(cm)= 10⁴ / λ(μm)= 10⁷ / λ(nm)
角波数:k(m⁻¹)= 2π / λ(m)
計算例:波長 10 μm の赤外線の波数
ν̃ = 10⁴ / 10 = 1000 cm⁻¹
k = 2π / (10×10⁻⁶)≈ 6.28 × 10⁵ m⁻¹
周波数から波数を求める
周波数→波数の計算公式
電磁波(真空中):ν̃ = f / c(c = 3×10¹⁰ cm/s)
角波数:k = ω / v(v:媒質中の波速)
計算例:周波数 3×10¹³ Hz の電磁波の波数(真空中)
ν̃ = 3×10¹³ / 3×10¹⁰ = 1000 cm⁻¹
エネルギーから波数を求める(光子の場合)
エネルギー→波数の計算公式(光子)
E = hcν̃ → ν̃ = E / (hc)
h:プランク定数 = 6.626×10⁻³⁴ J·s
c:光速 = 3×10¹⁰ cm/s
計算例:E = 2.48×10⁻²⁰ J の光子の波数
ν̃ = 2.48×10⁻²⁰ / (6.626×10⁻³⁴ × 3×10¹⁰) ≈ 1248 cm⁻¹
音波・弾性波の波数の求め方
続いては、音波・弾性波における波数の計算方法について確認していきます。
音波の波数は電磁波と同じ定義が使えますが、波速が媒質によって大きく変わる点が特徴です。
音波の角波数の計算
音波の角波数の計算公式
k = ω / c_s = 2πf / c_s
k:角波数(m⁻¹)
ω:角周波数 = 2πf(rad/s)
c_s:音速(m/s)
計算例:周波数 1000 Hz の音波(空気中音速 343 m/s)
k = 2π × 1000 / 343 ≈ 18.3 m⁻¹
波長 λ = 2π/k ≈ 0.343 m(確認:f × λ = 1000 × 0.343 = 343 m/s ✓)
媒質別の音速と波数の変化
同じ周波数でも音速が異なれば波数も変わります。
| 媒質 | 音速(m/s) | 1000 Hz での波数(m⁻¹) |
|---|---|---|
| 空気(20℃) | 343 | 約18.3 |
| 水(20℃) | 1480 | 約4.24 |
| 鉄 | 5960 | 約1.05 |
音速が速い媒質(水・金属)では同一周波数での波長が長くなり、波数が小さくなるという関係が明確に示されています。
量子力学における波数の求め方
続いては、量子力学において粒子の波数を求める方法について確認していきます。
粒子の運動量から波数を求める
de Broglieの関係式による波数の計算
k = p / ℏ = mv / ℏ
p:運動量(kg·m/s)
ℏ:ディラック定数 = 1.055×10⁻³⁴ J·s
計算例:質量9.11×10⁻³¹ kg(電子)が速度1×10⁶ m/sで運動
p = 9.11×10⁻³¹ × 1×10⁶ = 9.11×10⁻²⁵ kg·m/s
k = 9.11×10⁻²⁵ / 1.055×10⁻³⁴ ≈ 8.63×10⁹ m⁻¹
この電子の波数から波長を求めると、λ = 2π/k ≈ 0.73 nm(ド・ブロイ波長)となり、電子顕微鏡の分解能(nm〜Åオーダー)の基礎となっています。
まとめ
本記事では、波数を求める計算方法・波長・周波数・エネルギー・運動量からの各計算手順について詳しく解説しました。
基本は「ν̃ = 1/λ(cm)= 10⁴/λ(μm)」という波長からの逆数計算であり、分光学ではこの公式が最も頻繁に使われます。
角波数k = 2π/λ = ω/vは物理学・音響学・量子力学で標準的に使われる公式です。
量子力学ではde Broglieの関係式k = p/ℏで粒子の運動量から波数を求めることができ、電子顕微鏡や量子デバイスの理解に直結するでしょう。