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熱抵抗の測定方法は?測定装置と手順を解説!(定常法・非定常法・熱流計・温度測定・JIS規格など)

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「熱抵抗はどうやって測定するの?」「定常法と非定常法の違いは?」という疑問を持つ方もいるでしょう。

熱抵抗の測定は、電子部品の熱設計・建材の断熱性能評価・材料物性の決定など幅広い分野で実施されており、測定手法の選択が結果の精度に大きく影響します。

この記事では、熱抵抗の代表的な測定方法(定常法・非定常法)、使用する測定装置、測定手順と注意点、JIS規格との関係について詳しく解説していきます。

測定方法の理解を深めることで、熱設計の品質保証と検証能力が向上するでしょう。

目次

熱抵抗の測定方法:定常法と非定常法の基本を理解しよう

それではまず、熱抵抗の測定方法の2大分類である定常法と非定常法について解説していきます。

熱抵抗の測定方法は大きく分けると、熱が安定した状態(定常状態)で測定する「定常法」と、加熱後の温度変化の過程で測定する「非定常法(過渡法)」の2種類があります。

定常法の原理と特徴

定常法とは、試料に一定の熱流量を与えて定常状態(時間的に温度が変化しない状態)になるのを待ち、そのときの温度差から熱抵抗を求める方法です。

定常法による熱抵抗の計算

Rth = ΔT / Q

ΔT:定常状態での両面の温度差(K または℃)

Q:試料を通過する熱流量(W)

測定装置例:熱流計法装置(Heat Flow Meter Apparatus)

対応規格:JIS A 1412(建材の熱伝導率測定)、ASTM C518など

定常法の強みは測定原理が単純で結果の解釈が容易なことであり、特に建材・断熱材の熱伝導率・熱抵抗測定に広く採用されています。

弱点は定常状態になるまでの待機時間(数時間〜数十時間)が長いことであり、厚い試料や熱容量の大きい試料では特に測定時間が長くなります。

非定常法(過渡熱抵抗測定法)の原理と特徴

非定常法(過渡法)は、試料にステップ状の加熱を与えた後の温度変化の時系列データを解析して熱抵抗(および熱容量)を求める方法です。

電子部品(半導体デバイス)の熱抵抗測定では、JEDEC JESD51規格に基づく過渡熱抵抗測定法(T3Ster法など)が業界標準として広く採用されています。

非定常法の強みは測定時間が短い(数秒〜数分)ことと、熱抵抗だけでなく熱容量の空間分布(構造関数)も得られることであり、内部構造の評価にも利用できます。

測定方法の選択基準

定常法と非定常法の使い分けは、測定対象・目的・精度要求によって決まります。

項目 定常法 非定常法(過渡法)
測定時間 長い(時間〜日) 短い(秒〜分)
適用対象 建材・断熱材・板状試料 電子部品・半導体デバイス
得られる情報 定常熱抵抗のみ 熱抵抗+熱容量の分布
精度 高い(数%以内) 高い(適切な解析で)
対応規格 JIS A 1412など JEDEC JESD51など

どちらの方法も適切に使用すれば高精度な熱抵抗測定が可能であり、測定対象の特性と用途に応じた選択が重要でしょう。

熱抵抗測定の装置と測定手順

続いては、実際に使用する測定装置と測定手順の詳細を確認していきます。

熱流計法(HFM法)の装置と手順

熱流計法(Heat Flow Meter Method)は建材の熱抵抗測定で最も広く使われる定常法です。

装置は温度制御された高温プレートと低温プレートの間に試料を挟み、試料を通過する熱流量を熱流計(熱流センサー)で計測する構造です。

測定手順は、試料を装置にセット→目標温度差に設定→定常状態になるまで待機(通常1〜数時間)→温度差ΔTと熱流量Qを計測→Rth=ΔT/Qで算出という流れで行います。

試料の両面を均一に接触させることが測定精度の鍵であり、表面の平坦性と接触圧力の管理が重要です。

T3Ster法(過渡熱抵抗測定)の手順

電子部品の過渡熱抵抗測定では、T3Ster(Thermal Transient Tester)などの専用装置が使われます。

測定手順は、デバイスの接合部電圧(温度感応電気パラメータ)を較正→一定電力を印加→電力カット後の電圧(温度)変化を時系列計測→過渡熱抵抗曲線(Zth曲線)を解析→構造関数から内部熱抵抗分布を算出という流れです。

接触熱抵抗の測定方法

接触熱抵抗(2つの固体界面での熱抵抗)の測定は、接触材料なし・サーマルグリスあり・サーマルパッドありなどの条件を変えながら全体の熱抵抗を比較する方法で行います。

接触面積・表面粗さ・接触圧力・インターフェース材料の物性を変えながら系統的に測定することで、各条件での接触熱抵抗を定量的に評価できます。

JIS規格と熱抵抗測定の品質管理

続いては、JIS規格に基づく熱抵抗測定の品質管理について確認していきます。

建材の熱抵抗測定に関するJIS規格

建材の熱伝導率・熱抵抗の測定はJIS A 1412(熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法)に規定されています。

この規格では熱流計法(第1部)と熱板法(第2部)の2種類の測定方法が規定されており、測定条件・試料サイズ・精度要求などが詳細に定められています。

測定精度の向上と校正の重要性

熱抵抗測定の精度を確保するためには、測定装置の定期的な校正が不可欠です。

標準試料(熱伝導率が正確にわかっている基準材料)を使って装置の校正を行い、測定値の系統誤差を最小化することが精度管理の基本です。

温度センサー(熱電対・RTD)の校正も精度に影響するため、定期的な校正証明書の更新が品質管理上重要となるでしょう。

まとめ

この記事では、熱抵抗の測定方法として定常法(熱流計法)と非定常法(過渡熱抵抗測定法)の原理・特徴・適用対象の違い、代表的な測定装置と手順、JIS規格に基づく品質管理について解説しました。

定常法は建材・断熱材の熱抵抗測定に適しており、非定常法は電子部品の熱抵抗と熱構造の評価に優れています。

測定精度を確保するためには、試料の設置条件・装置の校正・適切な規格への準拠が重要なポイントとなります。

熱抵抗の測定方法を正確に理解することで、設計値と実測値の整合性評価と品質保証の信頼性が大きく向上するでしょう。

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