科学

標準電極電位の求め方は?計算方法と公式も解説!(ネルンスト式:濃度依存性:温度補正:電位測定:実験手順など)

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標準電極電位は一覧表で参照できるものですが、「どのように求めるのか」「ネルンスト式とはどんな公式か」と疑問を持つ方も多いでしょう。

標準電極電位の求め方を理解することは、電気化学の計算問題を解くうえで非常に重要です。

この記事では、標準電極電位の計算方法と公式、ネルンスト式の意味と使い方、濃度や温度による電位の変化について詳しく解説していきます。

理論をしっかり理解することで、実際の測定や計算に自信を持って取り組めるようになるでしょう。

目次

標準電極電位はネルンスト式を使って求められる

それではまず、標準電極電位の計算方法の基本となるネルンスト式について解説していきます。

標準状態(25℃、活量1)での電位が標準電極電位ですが、実際の条件が異なる場合はネルンスト式(Nernst equation)を用いて電位を補正する必要があります。

ネルンスト式の公式と意味

ネルンスト式は、電極電位が溶液の濃度(より正確には活量)と温度によってどのように変化するかを表す公式です。

ネルンスト式

E = E° − (RT/nF) × ln Q

または25℃の場合:

E = E° − (0.0592/n) × log Q

E:電極電位(V)

E°:標準電極電位(V)

R:気体定数(8.314 J/mol·K)

T:絶対温度(K)

n:移動電子数(mol)

F:ファラデー定数(96485 C/mol)

Q:反応商

25℃における係数RT/F=0.02569Vを底10の対数で表現すると、0.0592/nという数値になります。

この0.0592という数値は25℃専用の係数であり、温度が変化すると値も変わることに注意が必要です。

反応商Qは酸化体の活量を還元体の活量で割った値であり、標準状態ではQ=1となりlogQ=0になるため、E=E°が成立します。

濃度依存性の計算例

ネルンスト式を使った具体的な計算例を見ていきましょう。

銅電極(Cu²⁺/Cu)の標準電極電位はE°=+0.34Vですが、Cu²⁺の濃度が変化すると実際の電位も変化します。

Cu²⁺/Cu電極での計算例

電極反応:Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu(n=2)

[Cu²⁺] = 0.01 mol/L のとき

E = 0.34 − (0.0592/2) × log(1/0.01)

E = 0.34 − 0.0296 × 2 = 0.34 − 0.0592 ≈ 0.281V

このように、Cu²⁺の濃度が標準状態(1mol/L)より低いと、電位は標準電極電位よりも低くなります。

イオン濃度が10分の1になるたびに、電位は0.0592/n Vずつ低下するという規則性があります。

この濃度依存性を理解することで、実際の電気化学実験の結果をより正確に解釈できるでしょう。

温度補正の方法

25℃以外の温度でネルンスト式を適用する場合は、RT/nFの部分の温度Tを実際の絶対温度に置き換えて計算します。

温度補正の計算

60℃(333K)の場合

RT/F = 8.314 × 333 / 96485 ≈ 0.02869V

底10の対数に換算:0.02869 × 2.303 ≈ 0.0661V

よって E = E° − (0.0661/n) × log Q

高温になるほどネルンスト係数が大きくなり、濃度変化による電位の変動幅も大きくなります。

工業的な電解プロセスでは温度管理が電位制御に直結するため、温度補正は実用上も非常に重要な計算です。

電位測定の実験手順と注意点

続いては、実際に電極電位を測定する際の実験手順と注意点について確認していきます。

正確な電位測定を行うためには、適切な実験セットアップと注意事項の理解が欠かせません。

測定に必要な装置と準備

電極電位の測定には、作用電極・基準電極・対極の3電極系を用いるのが一般的です。

ポテンショスタットを使って作用電極の電位を精密に制御しながら、電流を測定する方法が広く採用されています。

基準電極には、甘汞電極(SCE)や銀塩化銀電極(Ag/AgCl)が用いられることが多く、これらの電位は既知の値として扱います。

電解液には目的のイオンを含む水溶液を用意し、温度を一定に保つために恒温槽を使用することが望ましいでしょう。

実験における測定手順

電位測定の基本的な手順は次のとおりです。

電位測定の基本手順

①電解セルに電解液を入れ、各電極を設置する

②窒素ガス等でバブリングし、溶存酸素を除去する

③基準電極との間の電位差をポテンショメーターで測定する

④温度・濃度を記録し、必要に応じてネルンスト補正を行う

⑤複数回測定を行い、再現性を確認する

溶存酸素は電位測定に影響を与えるため、窒素ガスや不活性ガスによる脱気処理が重要なステップとなります。

液絡部(基準電極と電解液の接続部)での電位降下(液間電位差)が誤差の原因になるため、塩橋の適切な使用も欠かせません。

測定値から標準電極電位を算出する方法

測定された電極電位から標準電極電位を算出するには、まず使用した基準電極の電位(対SHE)を考慮して換算する必要があります。

次に、ネルンスト式を使ってイオン濃度や温度による補正を行い、標準状態(活量1、25℃)での電位に換算します。

このようにして得られた値が標準電極電位(E°)であり、文献値との比較によって測定の正確さを確認できます。

実験精度を上げるためには、複数の濃度での測定値をプロットし、外挿によってE°を求めるサイクリックボルタンメトリーなどの手法も有効です。

ネルンスト式の応用と電気化学計算

続いては、ネルンスト式のより発展的な応用と電気化学計算への活用方法を確認していきます。

電池の起電力への応用

実際の電池では電解液のイオン濃度が標準状態とは異なることが多く、ネルンスト式を用いた補正が必要になります。

電池全体の起電力Eセルは、正極と負極それぞれにネルンスト式を適用して求めた電位の差として計算できます。

特に、燃料電池や二次電池の設計では、動作条件(温度・濃度・圧力)での正確な電位予測が性能評価に直結するでしょう。

pH測定への応用

ネルンスト式は、ガラス電極を用いたpH測定の原理にも組み込まれています。

水素イオン(H⁺)に感応するガラス電極の電位は、ネルンスト式によってpHと線形関係にあり、この関係を利用してpHを測定します。

25℃における水素電極のネルンスト式では、E = 0 − (0.0592/1) × log(1/[H⁺]) = −0.0592 × pH となります。pHが1上がるごとに電位が59.2mV変化するという「ネルンスト感度」は、pHメーターの校正において重要な指標です。

この原理はpHメーター以外にも、イオン選択性電極による各種イオン濃度の測定にも応用されています。

電気化学計算の注意点

ネルンスト式を使った計算では、いくつかの注意点があります。

まず、公式中のQは厳密には「活量」(activity)を使うべきであり、希薄溶液の場合はモル濃度で近似できますが、高濃度では活量係数の補正が必要です。

また、純固体(金属)や純液体(水)の活量は1として扱うため、反応商Qの式には含めないことも重要なルールです。

計算ミスを防ぐためには、電子数nを正しく設定することと、対数の符号(酸化体は分子、還元体は分母)に注意することが大切でしょう。

まとめ

この記事では、標準電極電位の求め方として、ネルンスト式の公式と使い方、濃度・温度依存性の計算方法、実験による測定手順について解説しました。

ネルンスト式E=E°−(0.0592/n)×logQは25℃における電位計算の基本公式であり、イオン濃度や温度が変化した実際の条件での電位を求めるために不可欠です。

正確な電位測定には、適切な基準電極の選択、脱気処理、温度管理が重要なポイントとなります。

ネルンスト式の意味をしっかり理解し、電気化学の計算問題に自信を持って取り組んでいきましょう。

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