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残留応力の測定方法は?各種手法を解説!(X線回折法・ひずみゲージ法・超音波法・切断法・穴あけ法など)

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残留応力の測定方法は?各種手法を解説!(X線回折法・ひずみゲージ法・超音波法・切断法・穴あけ法など)

金属部品や構造物の品質管理において、残留応力の測定は非常に重要な技術です。

残留応力とは、外部からの荷重がない状態でも材料内部に残っている応力のことを指し、疲労破壊や応力腐食割れなどの原因になることがあります。

適切に管理・測定することで、製品の寿命延長や安全性向上につながるため、製造業や建設業をはじめとするさまざまな分野で注目されています。

本記事では、残留応力の測定に用いられる代表的な手法をわかりやすく解説します。

X線回折法・ひずみゲージ法・超音波法・切断法・穴あけ法など、それぞれの原理や特徴、メリット・デメリットを比較しながら確認していきましょう。

目次

残留応力の測定には「非破壊法」と「破壊法」の2種類がある

それではまず、残留応力の測定方法の全体像について解説していきます。

残留応力の測定手法は、大きく分けて「非破壊法」と「破壊法(機械的方法)」の2種類に分類されます。

非破壊法とは、材料を傷つけずに残留応力を評価できる方法です。

代表的なものとして、X線回折法・超音波法・磁気ひずみ法などが挙げられます。

一方、破壊法(機械的方法)は、材料の一部を切断・除去することで内部応力を解放し、その変形量からひずみや応力を算出する方法です。

切断法・穴あけ法・ひずみゲージ法などが代表例として知られています。

どちらの方法が適しているかは、測定対象の材料・形状・目的によって異なるため、状況に応じた手法の選択が求められます。

残留応力の測定は「非破壊法」と「破壊法」の2種類が基本。測定対象や目的に応じた手法の選択が、正確な評価につながります。

以下に、主な測定手法の概要を表でまとめました。

分類 手法名 特徴
非破壊法 X線回折法 表面近傍の残留応力を高精度で測定
非破壊法 超音波法 内部応力の測定が可能・現場適用しやすい
非破壊法 磁気ひずみ法 強磁性体に限定・簡便な測定が可能
破壊法 ひずみゲージ法 汎用性が高く・広く普及している
破壊法 切断法 大きな残留応力分布の把握に有効
破壊法 穴あけ法 局所的な残留応力を比較的簡便に測定

非破壊法による残留応力の測定手法

続いては、非破壊法による残留応力の測定手法を確認していきます。

非破壊法の最大のメリットは、製品を損傷させずに測定できる点です。

検査後もそのまま製品として使用できるため、特に量産品や高価な部品の検査で重宝されています。

X線回折法

X線回折法は、非破壊法の中で最も広く用いられている残留応力測定手法のひとつです。

材料にX線を照射し、結晶格子面間距離の変化(格子ひずみ)をブラッグの回折条件を利用して測定します。

その変化量から、応力の大きさと方向を算出する仕組みです。

ブラッグの法則 2d sinθ = nλ

d:格子面間距離、θ:回折角、n:整数、λ:X線の波長

格子面間距離dの変化を測定することで、残留ひずみおよび残留応力を算出します。

測定深さは表面から数μm〜数十μm程度と非常に浅いため、表面残留応力の評価に特化した手法と言えます。

鉄鋼・アルミニウム・チタンなど多くの金属材料に適用でき、精度が高いことから航空・自動車・エネルギー産業などで広く採用されています。

一方で、装置が大型になりやすく、現場での使用にはポータブル型のX線装置が必要になる点がデメリットとして挙げられます。

超音波法

超音波法は、材料中を伝わる超音波の速度が応力状態によって変化する「音弾性効果」を利用した測定手法です。

X線回折法と異なり、材料内部の残留応力を評価できる点が大きな強みとなっています。

携帯型の装置を使用すれば現場での測定が可能であり、大型構造物や溶接部の検査にも対応しやすい手法です。

ただし、材料の組織・温度・結晶異方性などの影響を受けやすく、測定精度がやや低下しやすい点には注意が必要でしょう。

また、材料ごとに音弾性定数を事前に把握しておく必要があります。

磁気ひずみ法(磁気弾性法)

磁気ひずみ法は、強磁性体(鉄鋼材料など)において、応力が加わると透磁率が変化する「磁気弾性効果(逆磁歪効果)」を利用した手法です。

測定が比較的簡便で迅速に行えるため、現場での簡易評価に向いている方法と言えます。

ただし、適用できる材料が強磁性体に限定されるほか、材料の微細組織や表面状態の影響を受けやすい点が課題です。

精度面ではX線回折法に劣ることが多いため、スクリーニング検査としての活用が主になっています。

破壊法(機械的方法)による残留応力の測定手法

続いては、破壊法(機械的方法)による残留応力の測定手法を確認していきます。

破壊法は、材料を部分的に切断・除去することで残留応力を解放し、変形量やひずみから残留応力を逆算するアプローチです。

測定精度が高く、内部応力の分布把握にも有効なため、研究・開発分野でも広く活用されています。

ひずみゲージ法

ひずみゲージ法は、材料の表面にひずみゲージを貼り付け、機械的な操作(切断や穴あけ)によって生じるひずみ変化を計測する手法です。

汎用性が高く、さまざまな材料や形状に適用できるため、産業界で最も広く普及している測定手法のひとつと言えます。

ゲージの貼り付け位置や方向を工夫することで、2軸・3軸方向の残留応力を同時に評価することも可能です。

後述する穴あけ法や切断法と組み合わせて用いることが多く、単体の測定手法というよりも「ひずみ計測のツール」として位置づけられています。

穴あけ法(ホールドリリング法)

穴あけ法は、測定対象の表面にひずみゲージを貼り付けた後、その中央部に小さな穴(直径1〜2mm程度)をドリルで開け、応力解放によるひずみ変化を計測する方法です。

穴あけ法(ホールドリリング法)は、比較的簡便な設備で局所的な残留応力を測定できる手法として、JIS規格(JIS Z 2270相当)にも準拠した評価法が整備されています。

測定深さは穴の深さに応じて変化させることができ、深さ方向の残留応力分布を段階的に把握することも可能です。

測定精度はX線回折法に次ぐレベルとされており、現場への適用もしやすい点が評価されています。

一方で、穴を開けるため材料に不可逆的なダメージを与える点、および応力集中が大きい部位では精度が低下しやすい点には留意が必要でしょう。

切断法(スリット法・逐次切断法)

切断法は、材料を切断・スライスすることで残留応力を段階的に解放し、その変形量を計測して応力分布を算出する手法です。

スリット法や逐次切断法とも呼ばれ、厚い部材や溶接構造物の内部残留応力分布の評価に特に有効です。

測定対象が大きい場合でも適用でき、断面全体にわたる応力分布の可視化が可能なため、研究・品質評価の場面で重宝されています。

ただし、材料を切断するため不可逆的であり、切断による発熱や加工ひずみが測定精度に影響を与えることがあります。

切断方法にはワイヤー放電加工(ワイヤーEDM)が用いられることが多く、加工精度の高さが測定精度に直結します。

各測定手法の比較と選び方のポイント

続いては、各測定手法の比較と選び方のポイントを確認していきます。

残留応力の測定手法はそれぞれ特性が異なるため、測定目的・対象材料・測定環境を考慮して最適な手法を選ぶことが重要です。

測定深さと適用範囲で選ぶ

X線回折法は表面近傍(数μm〜数十μm)の応力評価に優れており、研磨・エッチングを組み合わせることで深さ方向のプロファイルも取得できます。

超音波法や切断法は内部応力の評価に強みを持っており、厚肉材や溶接部の内部応力分布を把握したい場合に有効です。

穴あけ法は表面から比較的浅い領域(1〜2mm程度)の評価に適しており、局所的な応力集中部の評価に向いています。

測定精度とコストのバランスを考慮する

高い測定精度が求められる場合は、X線回折法や穴あけ法(ひずみゲージ法との組み合わせ)が選択肢として挙がります。

一方、コストや迅速性を優先する場合は、磁気ひずみ法や超音波法が現場でのスクリーニングに活躍するでしょう。

精度とコストのバランスは、目的に応じて柔軟に判断することが大切です。

手法選択の目安まとめ

表面残留応力を高精度で評価したい → X線回折法

内部応力分布を把握したい → 超音波法・切断法

局所的な応力を現場で手軽に測定したい → 穴あけ法

強磁性体を簡易にスクリーニングしたい → 磁気ひずみ法

材料の種類・形状による制約を確認する

磁気ひずみ法は強磁性体(鉄鋼材料)にしか適用できないため、アルミニウムやチタンには使用できません。

X線回折法は金属材料全般に広く対応していますが、非晶質材料や一部のセラミックスには適用が難しい場合があります。

また、複雑な形状の部品に対しては、センサーやX線ビームのアクセス性も選択の際に重要な考慮点となるでしょう。

部品の大きさ・形状・材質を事前に整理した上で、最適な測定手法を選定することが求められます。

まとめ

本記事では、残留応力の測定方法として代表的な各種手法を解説しました。

残留応力の測定は、製品の安全性・信頼性・寿命を左右する重要な工程です。

X線回折法・ひずみゲージ法・超音波法・切断法・穴あけ法など、それぞれの手法には得意分野と制約があります。

測定目的・材料・環境・コストを総合的に判断し、最適な手法を選択することが高精度な残留応力評価への近道となるでしょう。

残留応力の適切な管理は、疲労破壊や応力腐食割れの防止にも直結するため、製造・品質管理の現場でぜひ積極的に活用してみてください。

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