機械図面を読み書きする際、幾何公差の記号を正確に理解することは非常に重要です。
平面度の記号はJIS規格・ISO規格で定められており、図面上での表記方法にも一定のルールがあります。
本記事では、平面度の幾何公差記号の形・図面での表記方法・公差記入枠の書き方・CADでの使用法までを詳しく解説していきます。
目次
平面度の幾何公差記号:形と意味
それではまず、平面度の幾何公差記号の形と基本的な意味について解説していきます。
平面度の幾何公差記号は、2本の平行な水平線(□のような形を横に押しつぶした形)で表されます。
これはISO 1101・JIS B 0021で規定されており、国際的に統一された記号です。
| 幾何公差の種類 | 記号の特徴 | データムの要否 |
|---|---|---|
| 真直度 | 1本の水平線 | 不要 |
| 平面度 | 2本の平行な水平線 | 不要 |
| 円形度 | 円形 | 不要 |
| 平行度 | 2本の斜め平行線 | 必要 |
| 直角度 | 直角マーク | 必要 |
公差記入枠(フィーチャーコントロールフレーム)の構造
幾何公差を図面に記入する際は、公差記入枠(フィーチャーコントロールフレーム)を使います。
公差記入枠は長方形のボックスを縦線で区切った形式で、左から順に次の情報が入ります。
第1区画:幾何公差記号(平面度の場合は2本の平行線)
第2区画:公差値(例:0.05)単位はmm
第3区画以降:データム記号(平面度は不要のため空欄)
引出線と指示の方法
公差記入枠は引出線によって対象面に接続されます。
引出線の矢印は対象となる面の輪郭線または延長線上に指示します。
矢印が寸法線と一致する場合は中心線・軸などを指し、面を指示する場合は輪郭線の外側から矢印を当てるというのがJIS規格のルールです。
平面度記号の読み方の例
具体的な記入例で確認しましょう。
【例】公差記入枠に「⟂(平面度記号)| 0.05」と記されている場合
意味:指示された面の平面度が0.05 mm以内であること(全面が0.05 mm幅の平行平面間に収まること)
平面度には第3区画(データム)は不要であり、2区画構成が標準です。
JIS規格とISO規格における平面度表記の規定
続いては、JIS規格とISO規格における平面度記号・表記方法の規定を確認していきます。
JIS B 0021の規定内容
JIS B 0021「製品の幾何特性仕様(GPS)—形状・姿勢・位置及び振れの公差表示方式」が幾何公差表記の日本工業規格です。
JIS B 0021はISO 1101に対応しており、記号・表記方法・解釈はほぼ国際規格と一致しています。
製図の国際化が進む現代では、JIS規格とISO規格の整合性が重要であり、海外との図面やり取りがある場合は特に注意が必要でしょう。
CADでの平面度記号の入力方法
CADソフト(AutoCAD・SolidWorks・CATIAなど)では、幾何公差記号の入力機能が標準装備されています。
AutoCADでは「公差」コマンド(TOLERANCE)を使って公差記入枠を作成できます。
CADで作成された幾何公差記号はJIS規格の表記と一致しているため、手書き製図と同じルールで読み解くことができます。
3D図面(MBD)での平面度指示
近年はモデルベース定義(MBD:Model Based Definition)が普及し、3Dモデル上に直接幾何公差を指示する手法が増えています。
3D図面でも平面度記号はJIS・ISOに準拠した同じ記号が使われ、対象面に直接アノテーションとして付与されます。
平面度記号の実際の図面での使用例と注意点
続いては、実際の機械図面での平面度記号の使用例と、表記上の注意点を確認していきます。
部分平面度指示と全面指示
平面度は面全体に対して指示することが基本ですが、面の特定部分にのみ適用することも可能です。
部分指示の場合は、指示範囲を太い一点鎖線で示し、その部分の長さや面積を公差値の後に記入します。
たとえば「100×100 mmの範囲に対して平面度 0.05 mm」のような指示が可能です。
複数面への平面度指示
複数の面に同じ平面度を指示する場合、各面に個別に公差記入枠を設けるのが原則です。
ただし「CZ(共通公差域)」の概念を使って複数面を一つの公差域で管理することも規格上は可能です。
平面度記号表記の注意点
平面度には必ずデータムが不要である点を確認しましょう。
公差記入枠の第3区画にデータムを記入してしまうと、それは平行度や直角度の意味になってしまうため注意が必要です。
また、公差値の単位はmmが前提であり、単位記号は通常記入しません。
まとめ
本記事では、平面度の幾何公差記号の形・公差記入枠の構造・JIS規格での規定・CADでの使用方法について解説しました。
平面度記号は2本の平行水平線で表され、公差記入枠には「記号|公差値」の2区画構成が基本です。
データムが不要な点が平行度などの姿勢公差との大きな違いであり、図面を読む際に混同しないよう注意しましょう。
JIS B 0021とISO 1101の規定を参照しながら、正確な表記を身につけることが製図品質の向上につながります。