「同軸度はどうやって測定するの?」「三次元測定機以外の方法はある?」という疑問を持つ品質管理担当者や設計者も多いでしょう。
同軸度の測定方法は要求精度・生産量・設備環境に応じていくつかの選択肢があり、適切な方法を選ぶことが正確な評価につながります。
この記事では、同軸度の代表的な測定方法(三次元測定機・ダイヤルゲージ・真円度測定機)の原理と手順、測定精度の確保のポイントについて詳しく解説していきます。
品質管理の実践力を高めるために、測定方法の知識を深めていきましょう。
目次
同軸度の測定方法:精度と用途に応じた3つのアプローチ
それではまず、同軸度測定の代表的な3つのアプローチとその特徴について解説していきます。
同軸度の測定方法は大きく分けると、三次元測定機(CMM)による精密測定・ダイヤルゲージによる現場測定・真円度測定機による高精度評価の3種類が主流です。
三次元測定機(CMM)による同軸度測定
三次元測定機(CMM:Coordinate Measuring Machine)は、同軸度の最も精確な測定方法として量産部品の品質管理から精密機器部品の評価まで幅広く使われています。
測定手順は次のように進みます。
CMMによる同軸度測定の手順
①部品を定盤またはフィクスチャーに固定する
②データム形体(基準円柱)を複数断面(最低3断面)で計測する
③データム軸線を最小二乗法または最小外接法で算出する
④対象形体(評価円柱)を複数断面で計測する
⑤対象軸線を算出し、データム軸線との偏差(距離)を計算する
⑥最大偏差×2(直径換算)と公差値を比較して合否判定する
CMMの測定精度は一般的に数μm〜十数μmのオーダーであり、高精度部品の同軸度評価に十分な精度を持ちます。
測定プログラムの自動化により量産品の全数検査や抜き取り検査への適用も容易です。
ダイヤルゲージによる現場測定
ダイヤルゲージ(指示測微器)を使った同軸度の簡易測定は、工場現場でのインプロセス検査や試作品の確認に広く使われています。
ダイヤルゲージ法の測定手順
①V溝ブロック(またはセンター)にデータム形体を乗せる
②ダイヤルゲージのプローブを対象形体の表面に当てる
③部品をゆっくり1回転させながら最大値と最小値を記録する
④振れ幅(最大値−最小値)を読み取る
⑤振れ幅(全振れに相当)と公差値×2を比較する
ダイヤルゲージ法で測定されるのは厳密には「全振れ」であり、同軸度の公差値はその約1/2として評価します。
ダイヤルゲージ法は簡易的な評価に適しており、厳密な同軸度評価には限界があることを理解して使用することが重要です。
真円度測定機による高精度同軸度評価
真円度測定機(ラウンドネステスター)は、部品を精密な回転テーブル上で回転させながら接触プローブで断面形状を計測する装置です。
同軸度評価では、データム断面と対象断面の中心座標をそれぞれ算出し、その位置差から同軸度を計算します。
真円度測定機による同軸度評価精度は非常に高く(サブμmオーダー)、精密軸受け・光学部品・医療機器など高精度が要求される部品の評価に使われます。
同軸度測定の精度を確保するためのポイント
続いては、同軸度測定の精度を高めるための重要なポイントを確認していきます。
部品の固定と基準設定の重要性
同軸度測定の精度は、部品の固定方法とデータム(基準)の設定精度に大きく依存します。
部品が測定中に動いたり振動したりすると誤差が生じるため、適切なフィクスチャー(治具)を使った安定した固定が基本です。
データム形体の計測断面数が少ないと軸線の傾きが正確に評価できないため、長い形体では3断面以上、できれば5断面以上の計測が推奨されます。
温度管理と熱変形の影響
精密測定では温度変化による部品の熱変形が測定精度に影響するため、測定室の温度管理(通常20℃±2℃)が重要です。
材料の線膨張係数による寸法変化が同軸度の評価値に影響する可能性があり、特に異種材料を組み合わせた部品では注意が必要でしょう。
測定器具の校正と標準試料の活用
使用する測定機器(CMM・ダイヤルゲージ・真円度測定機)は定期的な校正が必要であり、校正証明書の管理が品質管理上の必須要件です。
既知の同軸度を持つ標準試料(マスターシリンダーなど)を使って測定系の精度確認を行うことで、測定値の信頼性を高めることができます。
まとめ
この記事では、同軸度の測定方法として三次元測定機(CMM)による精密測定、ダイヤルゲージによる現場簡易測定、真円度測定機による高精度評価の3つのアプローチ、各方法の手順と精度特性、測定精度確保のポイントについて解説しました。
CMMは量産品の品質管理から精密部品の評価まで最も汎用的な測定方法であり、ダイヤルゲージ法は現場での簡易確認に適しています。
測定精度を確保するためには、適切な固定・十分な計測点数・温度管理・機器の定期校正が不可欠です。
用途と要求精度に応じた測定方法の選択と正確な手順の実施が、同軸度管理の品質を決定するでしょう。