化学の授業で必ずといっていいほど登場するのが結合エネルギーの計算です。

公式を覚えていても、どの値を足してどの値を引けばいいのか迷ってしまう方は多いのではないでしょうか。

今回は結合エネルギーの求め方は?公式や計算方法・式もわかりやすく解説(化学反応式:計算例:単位など)というテーマで、公式の意味から実際の計算例までまとめて整理していきます。

結合エネルギーは、反応熱の計算や化学反応式の理解に直結する重要な単元です。

単位の付け方や符号の向きなど、つまずきやすいポイントも丁寧に解説していきます。

この記事を読み終えるころには、どんな化学反応式が出てきても結合エネルギーから反応熱を求められるようになるはずです。

結合エネルギーの求め方の結論はこの公式で決まります

それではまず、結合エネルギーの求め方について解説していきます。

結論から言うと、結合エネルギーを使った反応熱の計算式はとてもシンプルです。

反応熱 = 反応物の結合エネルギーの総和 – 生成物の結合エネルギーの総和

この一行さえ押さえておけば、どんな化学反応式でも同じ手順で反応熱を求められます。

ポイントは、結合を切るときにエネルギーが必要で、結合ができるときにエネルギーが放出されるという考え方です。

基本公式は反応物から生成物を引く形

結合エネルギーの公式は、反応物側の結合エネルギーの合計から生成物側の結合エネルギーの合計を引くという形になっています。

この順番を逆にしてしまうと、発熱反応なのか吸熱反応なのかの判定を誤ってしまいます。

反応物は結合を切る側、生成物は結合を作る側とイメージすると覚えやすいでしょう。

矢印の左側から右側の値を引く、と語呂で覚えている受験生も多いようです。

結合エネルギーの符号の考え方

結合エネルギーは常に正の値として扱うのが基本のルールです。

結合を切断するには必ずエネルギーを外部から与える必要があるため、マイナスの結合エネルギーというものは存在しません。

一方で、計算結果として得られる反応熱にはプラスとマイナスの両方があり得ます。

反応熱がプラスなら吸熱反応、マイナスなら発熱反応と判断できます。

求め方の流れを3ステップで整理

結合エネルギーの計算は、大きく分けると3つのステップで完了します。

ステップ1は化学反応式の中にある結合をすべて書き出すことです。

ステップ2はそれぞれの結合エネルギーの値を代入することです。

ステップ3は反応物側の合計から生成物側の合計を引いて反応熱を求めることです。

この3ステップを型として覚えてしまえば、どんな反応式が出題されても迷わず対応できるでしょう。

結合エネルギーとは何かを確認していきます

続いては、結合エネルギーとはそもそも何なのかを確認していきます。

結合エネルギーとは、気体状態にある2つの原子間の共有結合を切断して、それぞれを気体の原子に分けるために必要なエネルギーのことです。

逆に言えば、原子同士が結合するときには、この結合エネルギーと同じ大きさのエネルギーが放出されることになります。

結合エネルギーは結合の強さを数値で表した指標と考えるとイメージしやすいでしょう。

定義 結合を切るために必要なエネルギー

結合エネルギーの単位はkJ/molで表されるのが一般的です。

1molあたりの結合を切断するのに必要なエネルギー量、という意味を持っています。

例えば水素分子H2の結合エネルギーは436kJ/molとされています。

これは、水素原子2molをH2という状態から気体の原子2molに分解するのに436kJのエネルギーが必要という意味になります。

結合エネルギーが大きい結合の特徴

結合エネルギーが大きいということは、それだけ結合が強く切れにくいということを意味します。

逆に結合エネルギーが小さい結合は、比較的少ないエネルギーで切断できる、つまり反応しやすい結合と言えるでしょう。

結合の強さは分子の安定性にも直結しており、結合エネルギーが大きい分子ほど安定して存在しやすい傾向があります。

このため、結合エネルギーは反応のしやすさを予測する目安としても使われています。

結合エネルギーと結合の種類の関係

結合エネルギーは、単結合・二重結合・三重結合という結合の種類によって大きく変わります。

一般的には、単結合よりも二重結合、二重結合よりも三重結合のほうが結合エネルギーは大きくなります。

これは、結合する電子対の数が増えるほど原子同士が強く引き合うためです。

結合の種類 結合エネルギーのおおよその大きさ
炭素と炭素の単結合 約347kJ/mol
炭素と炭素の二重結合 約614kJ/mol
炭素と炭素の三重結合 約839kJ/mol
水素と水素の単結合 約436kJ/mol
酸素と水素の単結合 約463kJ/mol

表を見ると分かるとおり、結合の本数が増えるにつれて結合エネルギーも大きくなっていることが確認できます。

結合エネルギーの公式を詳しく確認していきます

続いては、結合エネルギーの公式をもう少し詳しく確認していきます。

先ほど紹介した公式は、実は化学における基本法則であるヘスの法則から導かれるものです。

公式の意味を理解しておくと、暗記だけに頼らず応用問題にも対応できるようになります。

反応熱と結合エネルギーの関係式

反応熱をQ、反応物の結合エネルギーの総和をEr、生成物の結合エネルギーの総和をEpとすると、次のように表せます。

Q = Er – Ep

反応物の結合をすべて切って原子の状態に戻すのに必要なエネルギーがErです。

そこから新しく生成物の結合を作るときに放出されるエネルギーがEpにあたります。

この差し引きの結果が、そのまま反応熱として観測されるという仕組みです。

発熱反応と吸熱反応での符号の違い

ErのほうがEpより大きい場合、つまり反応物の結合を切るエネルギーより生成物の結合で放出されるエネルギーが大きい場合は発熱反応になります。

反対に、EpのほうがErより大きい場合は吸熱反応になります。

発熱反応では反応熱がプラス、吸熱反応では反応熱がマイナスになると覚えておくと計算ミスを防げるでしょう。

符号を間違えると答えがまったく逆の意味になってしまうため、この部分は特に慎重に扱いたいところです。

ヘスの法則との関係

ヘスの法則とは、反応熱は反応の経路によらず、始めの状態と終わりの状態だけで決まるという法則のことです。

結合エネルギーを使った計算は、このヘスの法則を利用して、いったんすべての原子をばらばらの気体原子に分解してから組み立て直す、という経路を考えたものです。

実際にはそんな反応が起きているわけではありませんが、始状態と終状態が同じであれば反応熱の値は変わらないため、このような計算方法が成立します。

この背景を知っておくと、公式を丸暗記するよりも納得感を持って使えるようになるでしょう。

結合エネルギーの計算方法を手順で解説していきます

続いては、実際の計算方法を手順に沿って確認していきます。

先ほど紹介した3ステップを、もう少し具体的な作業レベルまで落とし込んで見ていきましょう。

ステップ1 構造式を書いて結合を数える

まずは化学反応式に登場する分子の構造式をすべて書き出します。

このとき、どの原子とどの原子がどんな種類の結合でつながっているかを正確に確認することが重要です。

見落としがちなのが、係数がついている分子です。

例えば2H2Oとあれば、H-O結合は2つの水分子分、つまり4本分として数える必要があります。

ステップ2 結合エネルギーの値を代入する

結合の本数を数え終えたら、それぞれの結合エネルギーの値を問題文や資料集から確認して代入していきます。

結合エネルギーの値は問題ごとに与えられることが多いため、暗記よりも与えられた数値を正確に読み取る力が求められます。

同じ結合であっても分子の種類によって多少値が変動する場合があるため、必ず問題で指定された数値を使うようにしましょう。

ステップ3 反応熱を求めて単位を確認する

すべての値を代入したら、反応物側の合計から生成物側の合計を引いて反応熱を計算します。

最後に、答えの単位がkJなのかkJ/molなのかを必ず確認しましょう。

単位を書き忘れる、あるいは単位を間違えるだけで減点対象になってしまうこともあるため注意が必要です。

計算自体はシンプルな引き算なので、焦らず丁寧に進めることが正解への近道でしょう。

化学反応式を使った結合エネルギーの計算例を確認していきます

続いては、実際の化学反応式を使って計算例を確認していきます。

公式や手順を理解していても、実際に手を動かしてみないと感覚はつかめません。

水素と酸素から水ができる反応の例

水素と酸素が反応して水ができる反応式は次のとおりです。

2H2 + O2 → 2H2O

ここで、H-H結合の結合エネルギーを436kJ/mol、O=O結合の結合エネルギーを498kJ/mol、O-H結合の結合エネルギーを463kJ/molとします。

反応物側の結合エネルギーの合計は、H-H結合が2本分と、O=O結合が1本分です。

反応物側 436×2 + 498×1 = 1370kJ

生成物側は、水分子1つあたりO-H結合が2本あり、水は2分子できるためO-H結合は合計4本です。

生成物側 463×4 = 1852kJ

反応熱は反応物側から生成物側を引いた値になります。

反応熱 = 1370 – 1852 = -482kJ

結果がマイナスになったことから、この反応は発熱反応であることが分かります。

メタンの燃焼反応の例

続いて、メタンが燃焼する反応式でも計算してみましょう。

CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O

反応物側にはC-H結合が4本、O=O結合が2本あります。

生成物側にはC=O結合が2本、O-H結合が4本あります。

それぞれの結合エネルギーの値をC-H結合414kJ/mol、O=O結合498kJ/mol、C=O結合799kJ/mol、O-H結合463kJ/molとして計算を進めます。

反応物側 414×4 + 498×2 = 2652kJ

生成物側 799×2 + 463×4 = 3450kJ

反応熱 = 2652 – 3450 = -798kJ

この結果からも、メタンの燃焼が大きな発熱反応であることが数値として確認できます。

燃焼反応は基本的に発熱反応になるため、計算結果がマイナスになっていれば大きなミスはしていないと判断する目安にもなるでしょう。

計算結果を検算するポイント

計算が終わったら、そのまま答えを書く前に必ず検算する習慣をつけましょう。

反応の種類から発熱反応か吸熱反応かをあらかじめ予想しておくと、符号のミスにすぐ気づけます。

燃焼反応や中和反応の多くは発熱反応であるため、答えがプラスになった場合は計算の過程を見直したほうがよいでしょう。

また、結合の本数を数え間違えていないか、係数を反映し忘れていないかも見直しのポイントです。

結合エネルギーの単位と注意点を確認していきます

続いては、結合エネルギーを扱ううえで注意しておきたい単位のポイントを確認していきます。

公式や計算手順を理解していても、単位の扱いを誤ると正しい答えにたどり着けません。

kJ/molという単位の意味

結合エネルギーの単位であるkJ/molは、1molあたりのキロジュールという意味を持っています。

反応熱を求めるときは、この結合エネルギーに結合の本数、つまりmol数をかけて合計を出す必要があります。

単位をそろえずに計算してしまうと、桁が合わなくなったり、まったく違う値になってしまったりすることがあります。

特に係数の付いた分子が複数ある反応式では、単位換算のミスが起こりやすいため注意が必要でしょう。

平均結合エネルギーという考え方

同じ種類の結合であっても、分子の構造によって実際のエネルギーの値はわずかに異なります。

そこで用いられるのが平均結合エネルギーという考え方です。

これは、複数の分子におけるある結合のエネルギーを平均した値のことで、資料集に載っている数値の多くはこの平均値にあたります。

そのため、計算問題を解く際には、あくまで近似的な値を使っていることを頭の片隅に置いておくとよいでしょう。

よくある間違いと対策

結合エネルギーの計算でよくある間違いをいくつか挙げてみます。

1つ目は、反応物と生成物を引く順番を逆にしてしまうミスです。

2つ目は、係数を反映せずに結合の本数を数え間違えるミスです。

3つ目は、単位をkJとkJ/molで混同してしまうミスです。

これらのミスは、いずれも公式の意味を丁寧に確認していれば防げるものばかりです。

計算問題を解いた後は、単位と符号の2点を必ずチェックする習慣をつけておきましょう。

まとめ

今回は結合エネルギーの求め方は?公式や計算方法・式もわかりやすく解説(化学反応式:計算例:単位など)というテーマで解説してきました。

結合エネルギーの計算は、反応物の結合エネルギーの総和から生成物の結合エネルギーの総和を引くというシンプルな公式が基本です。

この公式の背景には、結合を切るときにエネルギーが必要で、結合を作るときにエネルギーが放出されるという原理があります。

実際の計算では、構造式から結合の本数を正確に数え、単位と符号を丁寧に確認することが何より大切です。

今回紹介した水素と酸素の反応やメタンの燃焼反応の計算例を参考に、ぜひ自分の手で何度も練習してみてください。

手順を型として身につけてしまえば、どんな化学反応式が出題されても落ち着いて対応できるようになるでしょう。

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