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合成インダクタンスとは?直列・並列での計算方法を解説!(電気回路:コイル:磁気:公式など)

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電気回路を学ぶうえで、インダクタンスの合成は避けて通れない重要なテーマです。

コイルを複数組み合わせる場面では、直列接続と並列接続のどちらにおいても、合成インダクタンスの正確な計算が求められます。

さらに、コイル同士が磁気的に結合している場合には、相互インダクタンスの影響も考慮しなければなりません。

本記事では、合成インダクタンスとは何かという基本的な概念から、直列・並列それぞれの計算方法、相互インダクタンスが絡む応用的な公式まで、わかりやすく丁寧に解説していきます。

電気回路の設計やフィルタ回路の理解、さらには電磁気学の学習においても、この記事が役立つ内容となっています。

ぜひ最後まで読んで、合成インダクタンスの計算をマスターしてください。

目次

合成インダクタンスとは?基本的な概念と定義

それではまず、合成インダクタンスとは何かについて解説していきます。

合成インダクタンスとは、複数のコイル(インダクタ)を組み合わせたときに得られる、回路全体としての等価インダクタンスのことです。

インダクタンスとは、コイルに電流が流れるとき、その変化を妨げようとする性質を数値で表したものであり、単位はヘンリー(H)が使われます。

電気回路においてコイルは、交流信号のフィルタリング、エネルギー貯蔵、変圧器の設計など、さまざまな用途で活躍する素子です。

インダクタンスの基礎知識

インダクタンスは、コイルに流れる電流の変化率と、それによって生じる誘導起電力の関係を示す量です。

電磁誘導の法則(ファラデーの法則)によれば、コイルを貫く磁束が変化すると、その変化を打ち消す方向に起電力が発生します。

この起電力の大きさは、電流変化の速さとインダクタンスの値に比例するため、インダクタンスが大きいほど電流変化に対する抵抗も大きくなります。

コイルの自己インダクタンスLは、巻き数N、磁束φ、電流Iを用いて L = Nφ / I と表されます。

自己インダクタンスの基本式

L = Nφ / I

L:自己インダクタンス(H)

N:コイルの巻き数

φ:磁束(Wb)

I:電流(A)

また、誘導起電力eとインダクタンスLの関係は e = -L × (dI/dt) と表され、電流変化率(dI/dt)が大きいほど大きな起電力が生じることがわかります。

コイルの磁気結合とは何か

複数のコイルが近接して配置されると、一方のコイルが作る磁界がもう一方のコイルに影響を与える「磁気結合」が生じます。

この磁気結合の度合いを表す量が相互インダクタンスMであり、2つのコイルがどれだけ磁気的に結びついているかを示す指標となります。

相互インダクタンスの単位もヘンリー(H)であり、結合係数kを使うと M = k√(L1×L2) と表されます。

結合係数kは0から1の間の値をとり、k=1のとき完全結合、k=0のとき無結合と呼ばれます。

合成インダクタンスが重要な理由

実際の電気回路では、単一のコイルだけでなく、複数のコイルを組み合わせて必要なインダクタンス値を得ることが多くあります。

たとえば、単体では必要なインダクタンスが手に入らない場合、複数のコイルを直列や並列に接続することで目標値に近づけます。

また、変圧器や結合インダクタを設計する際には、相互インダクタンスが合成値にどう影響するかを正確に把握することが不可欠です。

合成インダクタンスを正しく計算できるかどうかが、回路設計の精度を左右するといっても過言ではないでしょう。

直列接続における合成インダクタンスの計算方法

続いては、直列接続における合成インダクタンスの計算方法を確認していきます。

コイルを直列に接続する場合、磁気結合の有無によって計算式が異なります。

まずは最もシンプルな、相互インダクタンスを考慮しない場合の計算から押さえておきましょう。

相互インダクタンスなしの直列合成

2つのコイルL1とL2を直列に接続し、磁気的な結合がない(M=0)場合、合成インダクタンスLtotalは単純な足し算で求められます。

直列接続(相互インダクタンスなし)の合成インダクタンス

Ltotal = L1 + L2

3つ以上のコイルの場合:Ltotal = L1 + L2 + L3 + …

これは抵抗の直列合成と同じ形式であり、直観的に理解しやすい式です。

各コイルに同じ電流が流れ、それぞれが独立して磁束を蓄えるため、合計のインダクタンスは各値の和になります。

たとえばL1=3H、L2=5Hのコイルを直列接続すると、合成インダクタンスは3+5=8Hとなります。

この計算は、コイル同士が十分に離れていて磁場が干渉しない条件のもとで成立します。

相互インダクタンスありの直列合成(加算・減算接続)

2つのコイルが磁気的に結合している場合、電流の向きと磁束の向きの関係によって合成インダクタンスが増減します。

磁束が同じ向きに強め合う「和動接続(加算接続)」では、合成インダクタンスは次のように求まります。

和動接続(磁束が強め合う場合)

Ltotal = L1 + L2 + 2M

差動接続(磁束が打ち消し合う場合)

Ltotal = L1 + L2 – 2M

M:相互インダクタンス(H)

和動接続では合成インダクタンスが増加し、差動接続では減少するという点が重要なポイントです。

巻き線の向きやコイルの配置によって接続方式が決まるため、回路図上のドット記号(相互インダクタンスの極性を示す)を確認することが大切です。

この2Mの項の符号を間違えると計算結果が大きくずれてしまうため、特に注意が必要です。

直列合成の具体的な計算例

実際の数値を使って、直列合成インダクタンスの計算を練習してみましょう。

条件 L1 L2 M 合成インダクタンス
相互インダクタンスなし 4H 6H 0H 10H
和動接続 4H 6H 2H 14H
差動接続 4H 6H 2H 6H

上の表からわかるように、同じL1・L2・Mの値であっても、接続方式によって合成インダクタンスの値が大きく変わります。

差動接続の場合、相互インダクタンスが大きくなると合成インダクタンスが非常に小さくなる、あるいはゼロに近づく可能性もあります。

この特性を意図的に活用することで、特定の周波数特性を持つフィルタ回路を設計することも可能です。

並列接続における合成インダクタンスの計算方法

続いては、並列接続における合成インダクタンスの計算方法を確認していきます。

コイルの並列接続は直列と異なり、各コイルに加わる電圧が等しくなるという条件のもとで計算を行います。

並列接続においても、磁気結合の有無によって式が変わるため、場合分けをしっかり理解しておくことが重要です。

相互インダクタンスなしの並列合成

磁気結合のない2つのコイルL1とL2を並列に接続した場合、合成インダクタンスLtotalは次のように求められます。

並列接続(相互インダクタンスなし)の合成インダクタンス

1/Ltotal = 1/L1 + 1/L2

整理すると:Ltotal = (L1 × L2) / (L1 + L2)

3つ以上の場合:1/Ltotal = 1/L1 + 1/L2 + 1/L3 + …

この形式は抵抗の並列合成とまったく同じ構造であり、合成インダクタンスは常にどのコイルの値よりも小さくなります。

たとえばL1=4H、L2=12Hの場合、Ltotal = (4×12)/(4+12) = 48/16 = 3Hとなります。

並列接続では合成インダクタンスが各コイルの値より小さくなるという性質を覚えておきましょう。

相互インダクタンスありの並列合成

磁気結合がある場合の並列合成は、和動接続か差動接続かによって式が変わります。

和動接続(並列・磁束が強め合う場合)

Ltotal = (L1×L2 – M²) / (L1 + L2 – 2M)

差動接続(並列・磁束が打ち消し合う場合)

Ltotal = (L1×L2 – M²) / (L1 + L2 + 2M)

これらの式は、キルヒホッフの法則を使って各コイルの電圧・電流の関係式を立て、連立方程式を解くことで導出されます。

分母と分子にMが絡むため、単純な並列公式より複雑に見えますが、導出の流れを理解することで確実に使いこなせるようになります。

特に分子のL1×L2 – M²という項は、結合係数kと深く関係しており、k=1の完全結合時にはこの項がゼロとなる特別なケースも生じます。

並列合成の具体的な計算例と表での比較

並列接続における合成インダクタンスの具体例を、表でまとめて確認しましょう。

接続方式 L1 L2 M 合成インダクタンス
相互インダクタンスなし 6H 3H 0H 2H
和動接続(並列) 6H 3H 1H (18-1)/(9-2) = 17/7 ≈ 2.43H
差動接続(並列) 6H 3H 1H (18-1)/(9+2) = 17/11 ≈ 1.55H

和動接続では相互インダクタンスの効果により合成値が増加し、差動接続では減少しているのが確認できます。

このような磁気結合の影響を設計に組み込むことで、より柔軟なインダクタンス調整が可能になります。

並列接続においても和動・差動の区別は非常に重要であり、回路の実装時にはドット記号や巻き方向の確認が欠かせません。

相互インダクタンスと結合係数の詳細解説

続いては、相互インダクタンスと結合係数について詳しく確認していきます。

合成インダクタンスの計算において、相互インダクタンスMは非常に重要なパラメータです。

Mの値と結合係数kの関係を正しく理解することで、より精度の高い回路設計が可能になります。

相互インダクタンスMの求め方

相互インダクタンスMは、一方のコイルに流れる電流が変化したとき、もう一方のコイルに誘起される電圧の大きさを表す量です。

コイル1に流れる電流I1が変化するとき、コイル2に誘起される起電力e2は次のように表されます。

相互誘導の式

e2 = -M × (dI1/dt)

e1 = -M × (dI2/dt)

M:相互インダクタンス(H)

Mの値は両コイルの形状、巻き数、コア材料、そして2つのコイルの位置関係(距離や角度)によって決まります。

コイルが近いほど、また磁束が多く共有されるほど、Mの値は大きくなります。

実測では、和動接続と差動接続それぞれで合成インダクタンスを測定し、その差から M = (L和動 – L差動) / 4 という式でMを算出する方法がよく用いられます。

結合係数kと相互インダクタンスの関係

結合係数kは、2つのコイル間の磁気結合の強さを0から1の範囲で表す無次元の量です。

kとMの間には以下の関係が成り立ちます。

結合係数の定義式

M = k × √(L1 × L2)

k = M / √(L1 × L2)

kの範囲:0 ≦ k ≦ 1

k=1(完全結合)は理想的な変圧器に相当し、現実の回路では漏れ磁束の影響によりk<1となります。

k=0は無結合状態であり、コイル間に磁気シールドを設けたり、十分な距離を置いたりすることで実現できます。

変圧器の設計では高い結合係数が求められる一方、フィルタ回路などでは意図的に結合を弱めるケースもあります。

実際の回路における相互インダクタンスの影響と対策

実際の電子回路基板では、意図しない磁気結合(寄生インダクタンス)が問題になることがあります。

隣接するコイルやトレースが磁気的に結合すると、ノイズの混入や信号の歪みといった問題が生じます。

こうした影響を防ぐためには、以下のような対策が取られます。

対策方法 内容 効果
コイル間距離の確保 隣接するインダクタを十分に離して配置する 結合係数kを低減
直交配置 2つのコイルの軸を90度に向けて配置する 磁束の交差を防ぎ結合をほぼゼロに
磁気シールド 金属ケースや磁性体でコイルを囲む 外部への磁束の漏れを遮断
シールドコア使用 閉磁路コア(トロイダルコア等)を採用する 磁束を内部に閉じ込め結合を防止

トロイダルコアを使ったコイルは磁束が外部に漏れにくいため、隣接素子との相互インダクタンスを大幅に低減できます。

設計の段階からコイルの配置と向きを考慮することが、安定した回路動作につながります。

寄生インダクタンスの問題はノイズ対策としても重要なテーマであり、EMC設計においても必ず検討される項目です。

合成インダクタンスの応用と設計への活かし方

続いては、合成インダクタンスの応用と設計への活かし方を確認していきます。

合成インダクタンスの知識は、単なる計算にとどまらず、フィルタ設計、電源回路、変圧器など多くの実践的な場面で活用されます。

ここでは、代表的な応用例をいくつか紹介します。

LCフィルタ回路への応用

インダクタとキャパシタを組み合わせたLCフィルタは、特定の周波数帯域の信号だけを通過・遮断するために広く使われます。

複数のコイルを直列・並列に組み合わせることで、所望のインダクタンス値を得てフィルタの特性を調整することが可能です。

たとえばローパスフィルタでは、合成インダクタンスを大きくするほどカットオフ周波数が低くなり、より低い周波数成分のみを通過させることができます。

LCフィルタのカットオフ周波数(共振周波数)

f = 1 / (2π√(LC))

LとCの値を調整することで、任意のカットオフ周波数を設計できます。

合成インダクタンスを利用することで、単一コイルでは実現できない細かなL値の調整が可能になります。

フィルタ回路の設計では、コイルの磁気結合が特性に影響を与える可能性があるため、コイルの配置や向きにも十分な注意が必要です。

特にアナログオーディオ機器や高周波通信回路では、フィルタの特性が製品の品質に直結するため、合成インダクタンスの精密な計算が求められます。

スイッチング電源(DC-DCコンバータ)への応用

スイッチング電源の設計においては、エネルギーを蓄えるためのインダクタが重要な役割を果たします。

必要なインダクタンス値が大きい場合や、小型化のために並列接続が有効な場合など、合成インダクタンスの考え方が実際の設計に活かされます。

特にカップルドインダクタ(結合インダクタ)と呼ばれる磁気結合を意図的に利用したコイルは、スイッチング電源の効率向上やリップル低減に効果的です。

カップルドインダクタでは相互インダクタンスMを積極的に活用するため、合成インダクタンスの正確な把握が設計の肝となります。

変圧器の設計と合成インダクタンス

変圧器は、相互インダクタンスを最大限に活用した電気素子の代表例です。

理想変圧器では結合係数k=1(完全結合)として扱いますが、現実の変圧器では漏れインダクタンスが存在するため、k<1となります。

変圧器の等価回路において、一次側の自己インダクタンスL1、二次側の自己インダクタンスL2、相互インダクタンスMはすべて重要なパラメータです。

変圧器のパラメータ 意味 理想変圧器での扱い
自己インダクタンスL1 一次コイルのインダクタンス 無限大と仮定
自己インダクタンスL2 二次コイルのインダクタンス 無限大と仮定
相互インダクタンスM 一次・二次間の磁気結合 M = √(L1×L2)(k=1)
結合係数k 磁気結合の強さ k = 1(完全結合)
漏れインダクタンス 結合しない磁束によるインダクタンス 0と仮定(無視)

実際の変圧器設計では、漏れインダクタンスをいかに小さくするかが変換効率や電圧調整率の改善につながります。

漏れインダクタンスの低減には、コアの材質選定、巻き方(層巻きやバイファイラ巻き)、コアギャップの最適化などが有効です。

電力エレクトロニクスの分野では、こうした変圧器の詳細な磁気設計が製品の性能を大きく左右するため、合成インダクタンスの深い理解が求められます。

まとめ

本記事では、合成インダクタンスとは何かという基礎から、直列・並列接続における計算方法、相互インダクタンスと結合係数の関係、そして実際の設計への応用まで幅広く解説しました。

合成インダクタンスは、コイルの接続方式(直列・並列)と磁気結合(和動・差動)の組み合わせによって求め方が変わるため、各パターンの公式をしっかり理解することが大切です。

相互インダクタンスMと結合係数kは、変圧器やフィルタ回路、スイッチング電源など多くの応用回路において重要な設計パラメータとなります。

直列では和動接続でインダクタンスが増加、差動接続で減少。並列では常に各コイルより小さい値になるという基本的な性質をしっかり押さえておきましょう。

電気回路の設計や電磁気学の学習において、本記事で解説した合成インダクタンスの知識がきっと役に立つはずです。

ぜひ公式を繰り返し使いながら、理解を深めていただければ幸いです。

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