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運動量保存則と反発係数の関係は?公式や計算も(衝突・弾性衝突・非弾性衝突など)

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「運動量保存則と反発係数って、どんな関係にあるの?」「衝突の問題でどちらをどう使えばいいの?」——衝突の問題に取り組むとき、こうした疑問を感じる方は多いのではないでしょうか。

運動量保存則と反発係数(はねかえり係数)は、衝突問題を解く際の「最強の2本柱」です。この2つを組み合わせることで、衝突後の速度を完全に決定することができます。

本記事では、運動量保存則と反発係数の基本から関係性、計算方法、弾性衝突・非弾性衝突への応用まで、丁寧にわかりやすく解説します。

目次

運動量保存則と反発係数の関係は「衝突後の速度を決定する2つの式」

それではまず、運動量保存則と反発係数の関係について解説していきます。

衝突問題で未知量が2つ(衝突後の各物体の速度)ある場合、方程式も2本必要です。

その2本がまさに「運動量保存則」と「反発係数の定義式」です。

衝突問題を解く2本の式

①運動量保存則:m₁v₁ + m₂v₂ = m₁v₁’ + m₂v₂’

②反発係数の定義:e = -(v₁’ – v₂’) / (v₁ – v₂)

この2式を連立することで、衝突後の速度 v₁’ と v₂’ を求めることができます。

反発係数(はねかえり係数)の定義と意味

反発係数eは、衝突の「弾力性」を表す無次元の係数です。

定義は「衝突後の相対速度の大きさ」対「衝突前の相対速度の大きさ」の比として与えられます。

反発係数の定義式

e = |衝突後の相対速度| / |衝突前の相対速度|

e = -(v₁’ – v₂’) / (v₁ – v₂)

または e = (v₂’ – v₁’) / (v₁ – v₂)

(v₁ > v₂(物体1が物体2に向かって近づく)という条件のもとで)

反発係数の値の範囲は 0 ≤ e ≤ 1 です。

eの値によって衝突の種類が決まります。

反発係数 e の値 衝突の種類 特徴
e = 1 弾性衝突(完全弾性衝突) 力学的エネルギーが保存される
0 < e < 1 非弾性衝突 力学的エネルギーが失われる
e = 0 完全非弾性衝突 衝突後に2物体がくっつく(速度が等しくなる)

反発係数は衝突する物体の材質・形状・衝突速度などによって決まる実験的な量です。

e = 1(弾性衝突)は理想的な場合であり、現実の衝突では必ず e

反発係数の式の符号に注意

反発係数の定義式では、符号の扱いに注意が必要です。

「e = -(v₁’ – v₂’) / (v₁ – v₂)」という式において、衝突前は物体1が物体2に近づいているので(v₁ – v₂) > 0 であり、衝突後は物体1が物体2から離れていくので(v₁’ – v₂’)

したがって、マイナス符号をつけることでeが正の値になります。

この符号の処理を間違えると計算結果が逆になってしまうため、「eは必ず正の値であること」を確認しながら計算する習慣をつけましょう。

運動量保存則と反発係数の連立の手順

2物体の衝突問題を解く標準的な手順を整理します。

衝突問題の解法手順

①問題文から m₁, m₂, v₁, v₂, e(反発係数)を読み取る

②運動量保存則を立てる:m₁v₁ + m₂v₂ = m₁v₁’ + m₂v₂’ …①

③反発係数の式を立てる:v₂’ – v₁’ = e(v₁ – v₂) …②

④①②を連立して v₁’, v₂’ を求める

⑤求めた答えが物理的に妥当か確認する(運動量・エネルギーの収支)

弾性衝突(e=1)の場合の運動量保存則と計算

続いては、弾性衝突(反発係数e=1)の場合の計算を確認していきます。

弾性衝突は、力学的エネルギーが保存される理想的な衝突です。

弾性衝突の連立方程式と解

弾性衝突では、e = 1 を代入した反発係数の式と運動量保存則を連立します。

弾性衝突の連立方程式

①運動量保存則:m₁v₁ + m₂v₂ = m₁v₁’ + m₂v₂’

②弾性衝突条件:v₂’ – v₁’ = v₁ – v₂(相対速度の大きさが変わらない)

解:

v₁’ = ((m₁ – m₂)v₁ + 2m₂v₂) / (m₁ + m₂)

v₂’ = (2m₁v₁ + (m₂ – m₁)v₂) / (m₁ + m₂)

特殊なケース:等質量の弾性衝突

m₁ = m₂ = m の場合は、計算が非常にシンプルになります。

等質量の弾性衝突

v₁’ = v₂(物体1が衝突後に物体2の元の速度を持つ)

v₂’ = v₁(物体2が衝突後に物体1の元の速度を持つ)

つまり、速度が「交換」される!

これは直感的にも理解しやすい結果です。

例えば、静止している同じ質量のボールに別のボールを衝突させると、打った方のボールは止まり、打たれた方のボールが元の速度で動き出します。これはビリヤードなどでもよく観察される現象です。

一方が静止している場合の弾性衝突

v₂ = 0(物体2が静止)の場合は、公式が次のように簡単になります。

v₂ = 0 のときの弾性衝突

v₁’ = (m₁ – m₂) / (m₁ + m₂) × v₁

v₂’ = 2m₁ / (m₁ + m₂) × v₁

特殊ケース:m₁ >> m₂ のとき v₁’ ≈ v₁, v₂’ ≈ 2v₁(重い物が軽い物を弾き飛ばす)

特殊ケース:m₁

この「一方が静止している弾性衝突」のケースは入試頻出のパターンですので、しっかり押さえておきましょう。

非弾性衝突(0 ≤ e

続いては、非弾性衝突の計算方法と運動量保存則の関係を確認していきます。

非弾性衝突では力学的エネルギーが保存されませんが、運動量保存則は成立します。

非弾性衝突の一般的な計算

反発係数 e(0 ≤ e

非弾性衝突の計算(v₂ = 0の場合)

①運動量保存則:m₁v₁ = m₁v₁’ + m₂v₂’ …①

②反発係数の式:v₂’ – v₁’ = ev₁ …②

②より v₁’ = v₂’ – ev₁ を①に代入

m₁v₁ = m₁(v₂’ – ev₁) + m₂v₂’

m₁v₁ + m₁ev₁ = (m₁ + m₂)v₂’

v₂’ = m₁(1 + e)v₁ / (m₁ + m₂)

v₁’ = v₂’ – ev₁ = [m₁(1 + e) / (m₁ + m₂) – e]v₁ = (m₁ – em₂)v₁ / (m₁ + m₂)

e = 1 を代入すると弾性衝突の公式、e = 0 を代入すると完全非弾性衝突の公式に一致することを確認できます。

完全非弾性衝突(e=0)の特徴

完全非弾性衝突(e = 0)では、衝突後に2物体がくっついて一体となります。

このとき、反発係数の式から v₁’ = v₂’(衝突後の速度が等しい)が導かれ、運動量保存則だけで衝突後の速度を決定できます。

完全非弾性衝突の計算

m₁v₁ + m₂v₂ = (m₁ + m₂)V

V = (m₁v₁ + m₂v₂) / (m₁ + m₂)

失われた力学的エネルギー:ΔE = ½m₁v₁² + ½m₂v₂² – ½(m₁ + m₂)V²

= m₁m₂(v₁ – v₂)² / [2(m₁ + m₂)](常に正、エネルギーは必ず失われる)

床との衝突における反発係数

物体が床(静止した壁)に衝突する場合も、反発係数を使って計算できます。

床(質量が無限大と見なせる)との衝突では、運動量保存則は適用しにくいですが、反発係数の定義をそのまま使えます。

床との衝突における反発係数

衝突前の速さ:v(床に向かう方向を正とする)

衝突後の速さ:v’(床から離れる方向)

e = v’ / v(床は静止のまま:相対速度の比)

衝突後の速さ:v’ = ev

高さhから自由落下した場合の跳ね上がり高さ:h’ = e²h

「高さが e² 倍になる」という関係は、速度が e 倍になることから導かれる重要な結果です。

運動量保存則と反発係数を使った応用問題

続いては、運動量保存則と反発係数を使った応用問題のパターンを確認していきます。

入試や大学の演習でよく出る代表的なパターンを紹介します。

斜め衝突への応用

2次元の斜め衝突では、衝突面に垂直な方向と平行な方向に分けて考えます。

衝突面に平行な方向には、衝突によって力がはたらかないため、各物体の速度成分は変化しません(摩擦なしの場合)。

衝突面に垂直な方向についてのみ、運動量保存則と反発係数の式を適用します。

壁への斜め衝突(摩擦なし)

衝突前:壁に対して角度θで速さvで衝突

速度の分解:垂直成分 v_⊥ = v sinθ、平行成分 v_// = v cosθ

衝突後:平行成分は変化なし、垂直成分は e 倍になって跳ね返る

衝突後の垂直成分 v_⊥’ = e × v sinθ

衝突後の平行成分 v_//’ = v cosθ

連続衝突の問題(3物体以上)

3物体以上が関わる連続衝突の問題では、衝突を1回ずつ順番に解いていくことが基本的なアプローチです。

例えば、物体A → 物体B → 物体Cという順で衝突が起きる場合、最初にAとBの衝突を解いてBの衝突後の速度を求め、次にそのBの速度を使ってBとCの衝突を解きます。

各衝突を独立した問題として順番に解く——これが連続衝突問題の基本戦略です。

衝突と角運動量保存則の組み合わせ

衝突が回転を伴う場合(例:棒への衝突、剛体への点衝突)では、運動量保存則・反発係数に加えて角運動量保存則も使う必要があります。

衝突の種類 使用する式 未知数の数
1次元の2質点衝突 運動量保存則 + 反発係数 2(衝突後の速度2つ)
2次元の2質点衝突 運動量保存則(x, y) + 反発係数 4(衝突後の速度成分4つ)
剛体への点衝突(回転あり) 運動量保存則 + 角運動量保存則 + 反発係数 3(衝突後の速度2つ + 角速度1つ)

問題の複雑さに応じて、使う保存則の数も増えていくことがわかります。

未知数と方程式の数を正確に把握することが、問題を正しく解くための第一歩となるでしょう。

まとめ

本記事では、運動量保存則と反発係数の関係から、弾性衝突・非弾性衝突の計算方法まで幅広く解説しました。

衝突問題を解くための2本柱は「運動量保存則」と「反発係数の定義式」であり、この2式を連立することで衝突後の速度を完全に決定できます。

反発係数eが1のとき弾性衝突(エネルギー保存)、0のとき完全非弾性衝突(くっつく)、0と1の間では非弾性衝突となります。

床との衝突では高さがe²倍になり、斜め衝突では法線方向にのみ反発係数を適用するというポイントも重要です。

これらをしっかりマスターして、衝突問題に自信を持って取り組んでいただければ幸いです。

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