パソコンからUSBメモリにファイルを保存しようとしたとき、エラーメッセージが表示される、コピーが途中で止まる、書き込み禁止と表示される、といったトラブルでファイルの保存や転送ができない状況は非常に困ります。
重要なデータをバックアップしたいのに保存できない、プレゼン資料をUSBメモリに入れて持ち出したいのに転送できない、写真や動画を移動させたいのにエラーが出る、こうした状況は作業の進行を妨げる大きなストレスとなります。
USBメモリに保存できない原因は、書き込み保護スイッチがオンになっている、USBメモリの容量不足、ファイルシステムの制限、USBメモリの故障、ウイルス対策ソフトの干渉、ファイルやフォルダの権限設定、パソコン側のUSBポートの問題など、様々な要因が考えられます。
また単一の大きなファイルが保存できない場合と、複数のファイルが保存できない場合、特定のファイル形式だけが保存できない場合など、症状によって原因と対処法が異なります。
本記事では、パソコンからUSBメモリにファイルを保存できない時の原因の特定方法、エラーメッセージ別の具体的な解決手順、書き込み保護の解除方法、ファイルシステムの変更方法、そしてUSBメモリを安全に使用するための設定まで詳しく解説します。
USB保存のトラブルで困っている方は、ぜひ最後までお読みください。
ポイントは・書き込み保護スイッチとディスクプロパティの確認が最優先
・FAT32は4GB以上のファイルを保存できない制限あり
・空き容量不足とUSBメモリの故障も頻出原因
です。
それでは詳しく見ていきましょう。
目次
USBメモリに保存できない基本的な原因
まずは最も一般的な原因から確認していきます。
書き込み保護スイッチとプロパティを確認する
USBメモリに保存できない最も一般的な原因は、書き込み保護(ライトプロテクト)が有効になっていることです。
多くのUSBメモリには、本体側面に物理的な書き込み保護スイッチが付いています。このスイッチが「LOCK」または鍵マークの位置になっていると、データの書き込みや削除ができません。USBメモリの両側面をよく見て、小さなスライドスイッチがないか確認します。スイッチがある場合は、反対側にスライドさせて保護を解除します。
物理的なスイッチがない場合でも、ソフトウェア的に書き込み保護が設定されていることがあります。エクスプローラーでUSBメモリのドライブを右クリックして「プロパティ」を開き、「全般」タブで「読み取り専用」にチェックが入っていないか確認します。チェックが入っている場合は外して「OK」をクリックします。
「ディスクは書き込み禁止になっています」というエラーメッセージが表示される場合は、書き込み保護が原因です。レジストリエディタで書き込み保護設定を解除できることもありますが、この方法は上級者向けです。
書き込み保護の確認手順・USBメモリ本体の両側面に物理スイッチがないか確認
・スイッチがLOCK位置になっていたら反対側へスライド
・エクスプローラーでドライブ右クリック→プロパティ
・「読み取り専用」のチェックを外す
・別のUSBポートに差し替えて試す
・別のパソコンで試す(パソコン側の設定問題か切り分け)
レジストリでの書き込み保護解除方法は、Windowsキー+Rキーを押して「regedit」と入力し、レジストリエディタを起動します。「HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\StorageDevicePolicies」に移動し、「WriteProtect」の値が「1」になっている場合は「0」に変更します。このキーが存在しない場合もあり、その場合は作成する必要があります。
USBメモリの空き容量を確認する
保存しようとしているファイルのサイズが、USBメモリの空き容量を超えている場合、保存できません
。
エクスプローラーでUSBメモリを開き、画面下部のステータスバーに表示される空き容量を確認します。または、USBメモリのドライブを右クリックして「プロパティ」を開くと、使用領域と空き領域が円グラフで表示されます。
保存しようとしているファイルのサイズは、ファイルを右クリックして「プロパティ」を開くことで確認できます。複数のファイルを選択している場合は、すべてのファイルの合計サイズが表示されます。
空き容量が不足している場合は、USBメモリ内の不要なファイルを削除するか、より大容量のUSBメモリを使用する必要があります。ただし削除する前に、必要なファイルであればバックアップを取ることを忘れないようにします。
隠しファイルやシステムファイルが大量に存在して容量を圧迫していることもあります。エクスプローラーの「表示」タブで「隠しファイル」にチェックを入れて、見えないファイルがないか確認します。
| USBメモリ容量 | 実際の使用可能容量(約) | 保存できるファイル例 |
|---|---|---|
| 4GB | 3.6GB | 写真約1000枚、Word文書約4000ファイル |
| 8GB | 7.2GB | HD動画約1時間、音楽約2000曲 |
| 16GB | 14.4GB | HD動画約2時間、高画質写真約4000枚 |
| 32GB | 28.8GB | 4K動画約1時間、写真約8000枚 |
ファイルシステムの制限を理解する
USBメモリのファイルシステムがFAT32の場合、4GB以上の単一ファイルを保存できません
。
ファイルシステムを確認するには、エクスプローラーでUSBメモリのドライブを右クリックして「プロパティ」を開き、「全般」タブに表示される「ファイルシステム」を確認します。「FAT32」と表示されている場合、このUSBメモリには4GB以上のファイルを保存できません。
例えば、5GBの動画ファイルをFAT32フォーマットのUSBメモリに保存しようとすると、「ファイルが大きすぎます」というエラーメッセージが表示されます。空き容量が十分にあっても、ファイルシステムの制限により保存できません。
この問題を解決するには、USBメモリをNTFSまたはexFATにフォーマットし直す必要があります。exFATは、WindowsとMacの両方で使用でき、ファイルサイズの制限がほぼないため、USBメモリに最適なファイルシステムです。
ただしフォーマットを実行すると、USBメモリ内のすべてのデータが削除されるため、必ず事前にバックアップを取ります。フォーマットは、エクスプローラーでUSBメモリを右クリック→「フォーマット」→「ファイルシステム」で「exFAT」または「NTFS」を選択→「開始」で実行できます。
ファイルシステムの選択は、USBメモリの使用目的によって決めるべきです。Windowsパソコンでのみ使用する場合はNTFSが最適で、権限設定や圧縮機能も使えます。
WindowsとMacの両方で使用する場合はexFATが最適で、ファイルサイズ制限もありません。
古いカーナビやテレビなど、家電製品で使用する場合はFAT32が必要なことが多いですが、4GBの制限があります。
汎用性を重視するならexFAT、互換性を重視するならFAT32(ただし小さいファイルのみ)という使い分けが基本です。
最近のUSBメモリは出荷時にexFATでフォーマットされていることが多いですが、古いUSBメモリはFAT32のままのことがあるため、確認が重要です。
エラーメッセージ別の対処法
続いては具体的なエラーごとの解決方法を確認していきます。
「ファイルをコピーできません」「アクセスが拒否されました」
ファイルをUSBメモリにコピーしようとすると、「アクセスが拒否されました」というエラーが表示される場合があります。
このエラーは、ファイルまたはフォルダのアクセス権限の問題が原因です。コピーしようとしているファイルを右クリックして「プロパティ」→「セキュリティ」タブを開き、現在のユーザーアカウントに「読み取り」権限があるか確認します。
管理者権限が必要なファイルの場合、エクスプローラーを管理者として実行することで解決することがあります。タスクバーのエクスプローラーアイコンを右クリック→「その他」→「管理者として実行」を選択してから、ファイルのコピーを試みます。
USBメモリ側のアクセス権限に問題がある場合もあります。USBメモリのドライブを右クリック→「プロパティ」→「セキュリティ」タブで、現在のユーザーに「フルコントロール」権限が付与されているか確認します。権限がない場合は、「編集」ボタンをクリックして権限を追加します。
ファイルが使用中の場合もコピーできません。コピーしようとしているファイルが、他のアプリケーションで開かれていないか確認します。特にExcelファイルや動画ファイルは、バックグラウンドで開いたままになっていることがあります。
アクセス拒否エラーの対処手順・コピー元ファイルのアクセス権限を確認(プロパティ→セキュリティ)
・エクスプローラーを管理者として実行
・ファイルを開いているアプリケーションを閉じる
・タスクマネージャーで該当プロセスを終了
・USBメモリのセキュリティ設定を確認
・別のフォルダにコピーしてから移動を試す
「ファイル名が長すぎます」「パスが長すぎます」
ファイル名またはフォルダパスの合計文字数が、Windowsの制限(260文字)を超えている場合、保存できません
。
特に深い階層のフォルダ構造をそのままコピーしようとすると、このエラーが発生しやすくなります。例えば「ドキュメント\2024年\プロジェクト\クライアント名\詳細資料\最終版\…」のように長いパスは、問題を引き起こします。
対処法として、ファイル名を短くする、フォルダ階層を浅くする、USBメモリのルートディレクトリ(直下)にコピーするといった方法があります。一度パソコンのデスクトップなど、浅い場所にコピーしてからUSBメモリに移動することも有効です。
Windows 10バージョン1607以降では、レジストリ設定を変更することで、260文字の制限を解除できます。ただしこの設定は、一部のアプリケーションで問題を引き起こす可能性があるため、慎重に行う必要があります。
ファイル名に使用できない文字(\ / : * ? ” < > |)が含まれている場合も、保存できません。これらの文字は、Windowsのファイルシステムで特殊な意味を持つため、ファイル名から削除する必要があります。
| エラーメッセージ | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| ファイル名が長すぎます | パス全体が260文字超過 | ファイル名短縮、階層を浅く |
| 使用できない文字が含まれています | \ / : * ? ” < > | を使用 | 禁止文字を削除または置換 |
| ファイルが見つかりません | 移動・削除済み | 元の場所を確認 |
| ディスク容量不足 | 空き容量不足 | 不要ファイル削除、大容量USB使用 |
「デバイスが応答していません」「I/Oエラー」
コピー中に「デバイスが応答していません」や「I/Oエラー」が表示される場合、USBメモリまたはUSBポートに物理的な問題があります
。
まず別のUSBポートに差し替えて試します。USB 3.0ポート(青色)で問題が発生する場合、USB 2.0ポート(黒色)に接続すると安定することがあります。またUSBハブを経由している場合は、パソコン本体のポートに直接接続します。
USBメモリの接触不良も原因になります。USBメモリを一度抜いて、端子部分を柔らかい布で拭いてから再度挿入します。端子が汚れていたり酸化していたりすると、通信が不安定になります。
ディスクエラーチェックを実行することも有効です。エクスプローラーでUSBメモリのドライブを右クリック→「プロパティ」→「ツール」タブ→「チェック」ボタンをクリックします。エラーが検出された場合は、修復を実行します。
コピー速度が極端に遅い場合や、頻繁にエラーが発生する場合は、USBメモリ自体が故障している可能性があります。重要なデータがある場合は、できるだけ早くバックアップを取り、新しいUSBメモリに交換することを検討します。
USBメモリは消耗品であり、書き込み回数に限界があります。特に安価なUSBメモリは、品質が低く短期間で故障することがあります。
重要なデータを保存する場合は、信頼できるメーカー(SanDisk、Samsung、Kingstonなど)の製品を選ぶことをおすすめします。
またUSBメモリだけに頼らず、クラウドストレージや外付けハードディスクなど、複数の場所にバックアップを取ることが重要です。
「データは2箇所以上に保存する」という原則を守ることで、USBメモリの故障によるデータ損失を防げます。
特に仕事の重要なファイルや、撮り直しができない写真・動画は、必ず複数の方法でバックアップを取りましょう。
その他のトラブルと予防策
最後に特殊なケースと長期的な対策を確認していきます。
ウイルス感染と書き込み禁止の関係
USBメモリがウイルスに感染している場合、Windowsが自動的に書き込みを禁止することがあります
。
ウイルス対策ソフトでUSBメモリをスキャンします。Windows Defenderを使用している場合は、エクスプローラーでUSBメモリを右クリック→「Windows Defenderでスキャンする」を選択します。ウイルスが検出された場合は、駆除または削除を実行します。
Autorun.infというファイルがUSBメモリのルートディレクトリにある場合、これがウイルスの自動実行に使われていることがあります。隠しファイルを表示する設定にして(エクスプローラーの「表示」→「隠しファイル」にチェック)、Autorun.infを削除します。
ウイルス対策ソフト自体が、USBメモリへの書き込みをブロックしている可能性もあります。ウイルス対策ソフトの設定で、USBデバイスの保護機能を一時的に無効化して、書き込みができるようになるか確認します。
公共のパソコンで使用したUSBメモリは、ウイルス感染のリスクが高いため、自分のパソコンに接続する前に必ずスキャンすることを習慣化します。
USBメモリのセキュリティ対策・使用前に必ずウイルススキャン実行
・不明なUSBメモリは接続しない
・公共パソコン使用後は必ずスキャン
・重要データは暗号化して保存
・Autorun機能を無効化(Windowsの設定)
・定期的にフォーマットして初期化
安全な取り外しと「使用中」エラー
「デバイスは現在使用中です」というメッセージが表示され、USBメモリを安全に取り外せないことがあります
。
この状態でUSBメモリを強制的に抜くと、データが破損したり、ファイルシステムにエラーが発生したりする可能性があります。必ず「ハードウェアの安全な取り外し」を実行してから抜くことが重要です。
使用中のファイルを特定するには、タスクマネージャーを開いて(Ctrl+Shift+Escキー)、「パフォーマンス」タブ→「リソースモニターを開く」→「ディスク」タブで、USBメモリにアクセスしているプロセスを確認します。該当するプロセスを終了させます。
エクスプローラーの複数のウィンドウでUSBメモリを開いている場合も、取り外せません。すべてのエクスプローラーウィンドウを閉じるか、USBメモリ以外のフォルダに移動してから取り外しを試みます。
どうしても取り外せない場合は、パソコンをシャットダウンしてからUSBメモリを抜くことで、安全に取り外せます。スリープやスタンバイではなく、完全にシャットダウンすることが重要です。
| トラブル | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 取り外せない | ファイル使用中 | 全アプリ終了、リソースモニターで確認 |
| 保存したファイルが消える | 安全な取り外し未実行 | 必ず安全な取り外しを実行 |
| 読み取り専用になる | 不適切な取り外し後 | ディスクエラーチェック実行 |
| RAW形式になった | ファイルシステム破損 | データ復旧ソフト使用、フォーマット |
USBメモリの寿命と買い替えの判断
USBメモリには書き込み回数の上限があり、使用頻度によっては数年で寿命を迎えます
。
以下のような症状が出たら、USBメモリの寿命が近い可能性があります。書き込み速度が著しく低下する、頻繁にエラーが発生する、ファイルが勝手に消える、認識されたりされなかったりする、フォーマットしてもエラーが解消しない、といった症状です。
寿命が疑われる場合は、できるだけ早くデータをバックアップして、新しいUSBメモリに交換します。特に重要なデータを保存している場合は、定期的に新しいUSBメモリに移し替えることをおすすめします。
USBメモリの寿命を延ばすには、不要な書き込みを減らす、安全な取り外しを必ず行う、高温多湿を避けて保管する、定期的にエラーチェックを実行する、といった対策が有効です。
クラウドストレージ(OneDrive、Googleドライブ、Dropboxなど)も併用することで、USBメモリの負担を減らし、データの安全性も向上します。小さいファイルの受け渡しや一時的な保存にはクラウドを使い、大容量ファイルや長期保存にはUSBメモリと外付けHDDを併用するという使い分けが理想的です。
データ保存の基本原則は「3-2-1ルール」です。これは、重要なデータは3つのコピーを作り、2種類の異なるメディアに保存し、1つは別の場所(オフサイト)に保管するという原則です。
例えば、パソコン本体、外付けハードディスク、クラウドストレージという3箇所に保存することで、どれか1つが故障してもデータは守られます。
USBメモリだけに頼ることは、データ損失のリスクが高いため避けるべきです。
特に仕事の重要なファイルや、家族の思い出の写真・動画は、複数の方法でバックアップを取り、定期的にバックアップの状態を確認する習慣をつけましょう。
データは一度失うと取り戻せないことを常に意識することが重要です。
まとめ パソコンからUSBに保存できない原因と解決法
パソコンからUSBメモリに保存できない時の対処法をまとめると
・書き込み保護確認:USBメモリ本体の物理スイッチ確認(LOCK位置なら解除)、ドライブのプロパティで読み取り専用チェック外す、レジストリのWriteProtect値を0に変更、別のUSBポートで試す
・容量とファイルシステム:空き容量確認(プロパティで円グラフ表示)、FAT32は4GB以上のファイル保存不可、exFATまたはNTFSにフォーマット(データは事前バックアップ)、隠しファイルを表示して不要ファイル削除
・エラー別対処:アクセス拒否はセキュリティ設定・管理者権限確認、ファイル名長すぎるは短縮または階層を浅く、I/Oエラーはディスクチェック実行・USBポート変更、デバイス応答なしはUSBメモリ故障の可能性
・セキュリティ対策:ウイルススキャン実行、Autorun.inf削除、ウイルス対策ソフトの設定確認、安全な取り外し必須実行、使用中エラーは全アプリ終了・リソースモニター確認
USBメモリへの保存トラブルは、書き込み保護・容量不足・ファイルシステム制限の3つで大半が説明できます。
まず物理スイッチと読み取り専用設定を確認し、空き容量とファイルサイズをチェックし、FAT32で4GB以上のファイルを保存しようとしていないか確認します。
頻繁にエラーが発生する場合はUSBメモリの寿命や故障を疑い、重要データは必ず複数の場所にバックアップを取ることが重要です。
段階的に原因を切り分けて対処することで、確実にUSBメモリへの保存問題を解決できるでしょう!