Excelで資料を作成していると、文字の向きを変更したい場面に遭遇することがあります。
見出しを縦書きにして表を見やすくしたい、日本語の文書を縦書きで表現したい、スペースの限られた列に長い項目名を縦に配置したいなど、通常の横書きでは表現しにくいレイアウトを実現したい場合に縦書き機能が必要になります。
横書きのままでは列幅が広くなりすぎて表全体が見づらくなったり、デザイン的に縦書きの方が適している場合もあります。特に日本語の文書や伝統的な書式を再現する際には、縦書き表示が不可欠です。
Excelには文字を縦書きにする方法が複数用意されています。
セルの書式設定による方向変更、テキストボックスを使った縦書き、文字を縦に積み上げる方法など、それぞれに特徴があり、用途に応じて最適な方法が異なります。
本記事では、Excelで文字を縦書きにする様々な方法を詳しく解説し、表のレイアウトを整える実践的なテクニックや横書きに戻す手順も紹介します。
見やすく美しい表を作成したい方は、ぜひ最後までお読みください。
ポイントは
・セルの書式設定で文字列の方向を90度回転させて縦書き可能
・テキストボックスなら縦書き文章を自由にレイアウトできる
・文字を縦に積み上げる設定で各文字を縦方向に配置できる
です。
それでは詳しく見ていきましょう。
目次
セルの書式設定で縦書きにする基本方法
それではまず、最も基本的で確実なセルの書式設定を使った縦書きの方法を確認していきます。
配置タブから文字列の方向を変更
セル内の文字を縦書きにする最も標準的な方法は、セルの書式設定から文字列の方向を変更することです。
縦書きにしたいセルを選択し、右クリックして「セルの書式設定」を選択するか、ホームタブの「配置」グループにある小さな矢印アイコンをクリックして書式設定ダイアログを開きます。
「配置」タブを選択すると、右側に「方向」という項目があり、半円形のダイアルと「文字列」と書かれた縦書きサンプルが表示されています。
この縦書きサンプルをクリックするか、ダイアルを90度の位置にドラッグすることで、セル内の文字が縦書きになります。
設定後にOKをクリックすると、選択したセル内の文字が縦方向に表示されます。
「売上金額」という文字列であれば、上から下に「売上金額」と縦に並んで表示されます。
複数のセルを同時に選択して一括で縦書きに変更することも可能です。
縦書き設定の基本手順
ステップ1
選択して右クリック
→ メニュー表示
ステップ2
配置タブを選択
→ 設定画面
ステップ3
選択してOK
→ 縦書き完了
| 操作手順 | 詳細内容 |
|---|---|
| 1. セルを選択 | 縦書きにしたいセル範囲を選択 |
| 2. 右クリック | 選択範囲を右クリックしてメニュー表示 |
| 3. セルの書式設定 | 「セルの書式設定」を選択 |
| 4. 配置タブ | 「配置」タブをクリック |
| 5. 方向設定 | 縦書きサンプルをクリックまたはダイアルを90度に |
| 6. 適用 | OKボタンをクリックして完了 |
ホームタブの方向ボタンで素早く変更
より素早く縦書きに変更したい場合は、ホームタブの「方向」ボタンを使用する方法があります。
対象のセルを選択した状態で、ホームタブの「配置」グループにある「方向」ボタン(斜めの「ab」というアイコン)をクリックすると、メニューが表示されます。
このメニューから「縦書き」を選択すれば、ワンクリックで縦書きに変更できます。
セルの書式設定ダイアログを開く必要がないため、作業効率が大幅に向上します。
方向ボタンのメニューには、縦書きだけでなく「左回りに回転」「右回りに回転」「上へ回転」「下へ回転」など、様々な角度のオプションが用意されています。
見出し行を斜めにしたい場合や、45度回転させたい場合など、柔軟な角度調整が可能です。
方向ボタンの使い方
セルを選択
(単一または複数)
ホームタブ→
配置→方向ボタン
縦書きを選択
即座に反映
任意の角度で回転させる方法
文字を縦書きではなく特定の角度で傾けたい場合、セルの書式設定で角度を数値指定できます。
「配置」タブの「方向」セクションには、角度を直接入力できる「度」の欄があります。
ここに0から90の数値を入力すれば、反時計回りにその角度だけ文字が回転します。
マイナスの値(-90から0)を入力すれば、時計回りに回転します。
例えば、見出し行の文字を45度傾けて斜めに表示したい場合は、「45」と入力します。
この方法を使えば、表のヘッダー部分をコンパクトにしながら、視覚的に目立たせることができます。
角度の微調整が必要な場合は、ダイアルをドラッグするよりも数値入力の方が正確です。
| 角度設定 | 表示結果 | 用途例 |
|---|---|---|
| 90度 | 完全な縦書き(上から下) | 列見出し、項目名 |
| -90度 | 完全な縦書き(下から上) | 特殊なレイアウト |
| 45度 | 斜め右上がり | 見出しの強調 |
| -45度 | 斜め右下がり | コンパクトな表示 |
| 0度 | 通常の横書き | 標準状態 |
セルの書式設定で縦書きにした場合、セル内での文字の配置も調整する必要があることがあります。
縦書きにすると自動的に左揃えになるため、中央揃えや右揃えに変更したい場合は、配置タブの「横位置」や「縦位置」の設定を調整します。
縦書きの場合、「横位置」は実際には上下方向の位置を制御し、「縦位置」は左右方向の位置を制御するため、通常の横書きとは感覚が逆になります。
また、縦書きにすると行の高さが自動調整されないことがあるため、必要に応じて手動で行の高さを調整してください。
英数字や記号は縦書き時に横向きのまま表示されることがあるため、見た目を整えたい場合は文字の回転設定を併用するか、全角文字で入力することをおすすめします。
テキストボックスで縦書き文章を作成
続いてはセルとは独立した縦書きテキストを配置する方法を確認していきます。
テキストボックスを挿入して縦書き設定
より自由なレイアウトで縦書きの文章を配置したい場合、テキストボックスを使用する方法が効果的です。
「挿入」タブの「図形」グループから「テキストボックス」を選択し、ワークシート上の任意の場所にドラッグしてテキストボックスを作成します。
テキストボックス内に文字を入力した後、テキストボックスを右クリックして「図形の書式設定」を選択します。
「テキストボックス」または「テキストのオプション」から「文字列の方向」を「縦書き」に変更すれば、テキストボックス内の文字が縦書きになります。
テキストボックスを使う利点は、セルの位置に縛られずに自由に配置できることです。
複数行の縦書き文章を作成したい場合や、図形やグラフの上に縦書きのキャプションを配置したい場合に特に便利です。
テキストボックスのサイズや位置は自由に調整でき、枠線や背景色も設定できます。
テキストボックス縦書き設定の流れ
挿入タブ→図形→
テキストボックス
ドラッグして作成
文字を入力
図形の書式設定→
縦書きに変更
| 機能 | セルの縦書き | テキストボックスの縦書き |
|---|---|---|
| 配置の自由度 | セル位置に固定 | 自由に配置可能 |
| 複数行対応 | セル幅に制限される | 柔軟に対応可能 |
| 計算への影響 | セル値として扱われる | 独立した図形要素 |
| 印刷時の位置 | セルと連動 | 絶対位置で固定 |
| 書式設定 | セル書式に準拠 | 独自の書式設定 |
縦書きテキストボックスのショートカット作成
Excelの一部のバージョンでは、最初から縦書き設定されたテキストボックスを直接挿入できます。
「挿入」タブの「テキスト」グループまたは「図形」グループに「縦書きテキストボックス」という選択肢がある場合、これを選択すれば最初から縦書き状態のテキストボックスを作成できます。
この機能が利用できるバージョンでは、わざわざ後から書式設定を変更する手間が省けます。
縦書きテキストボックスを作成したら、通常のテキストボックスと同様に文字を入力し、フォントサイズや色、配置などを自由に設定できます。
複数の縦書きテキストボックスを並べて配置すれば、新聞や雑誌のような段組みレイアウトも実現できます。
テキストボックスの活用例
タイトル配置
縦書きタイトル
→ 視覚的な強調
注釈追加
補足説明
→ 情報の補完
文書作成
縦書き文書
→ 和風レイアウト
ワードアートで装飾的な縦書き文字を作成
見出しやタイトルに装飾的な縦書き文字を使いたい場合、ワードアート機能を活用する方法もあります。
「挿入」タブの「ワードアート」から好みのスタイルを選択し、文字を入力します。
ワードアートを選択した状態で、「図形の書式」タブの「文字の効果」から「変形」を選択し、縦書きに適したスタイルを選ぶか、図形の書式設定から文字列の方向を縦書きに変更します。
ワードアートを使うと、影や反射、3D効果などの装飾を加えた縦書き文字を作成できます。
プレゼンテーション資料や表紙、見出しなど、視覚的なインパクトが必要な場面で効果的です。
通常のテキストボックスよりもデザイン性が高く、注目を集めやすい表現が可能になります。
| 挿入方法 | 特徴 | 適した用途 |
|---|---|---|
| 通常のテキストボックス | シンプル、編集しやすい | 注釈、説明文、一般的な文章 |
| 縦書きテキストボックス | 最初から縦書き | 縦書き文書、段組みレイアウト |
| ワードアート | 装飾的、視覚効果が豊富 | タイトル、見出し、強調表示 |
| 図形内テキスト | 図形と一体化 | フローチャート、ダイアグラム |
テキストボックスを使った縦書きは、印刷時の位置固定に注意が必要です。
セル内の縦書きはセルの位置に連動するため、行列の挿入や削除で自動的に移動しますが、テキストボックスは絶対位置で配置されるため、表の構造が変わっても移動しません。
レイアウトが固定された最終版の資料には適していますが、頻繁に編集する作業用ファイルでは、セル内の縦書きの方が管理しやすい場合があります。
また、テキストボックスはファイルサイズを増加させる要因になるため、大量に使用する場合はファイルサイズに注意してください。
テキストボックスを選択しにくい場合は、「ホーム」タブの「検索と選択」から「オブジェクトの選択」を有効にすると、クリックで簡単に選択できるようになります。
文字を縦に積み上げる設定と横書きに戻す方法
続いては特殊な縦書き表示と、縦書きを解除する方法を確認していきます。
文字を縦に積み上げる機能
文字を単純に90度回転させるのではなく、各文字を横向きのまま縦方向に積み上げる表示方法もあります。
セルの書式設定の「配置」タブで、方向セクションの右側にある「文字列」と縦に書かれた部分の上に、小さく「ABC」と縦に積まれたアイコンがあります。
このアイコンをクリックすると、文字が回転せずに縦方向に積み上げられて表示されます。
例えば「ABC」という文字列なら、Aの下にB、Bの下にCが横向きのまま縦に並びます。
この表示方法は、英数字や記号を縦書き表示する際に、文字の向きを保ちたい場合に便利です。
通常の縦書きでは英数字が横向きに倒れてしまい読みにくくなることがありますが、縦に積み上げる設定を使えば、各文字が正立した状態で縦方向に配置されます。
商品コードや型番など、英数字が多い情報を縦方向に表示する際に適しています。
縦書きの種類と違い
通常の縦書き
90度回転
(日本語向き)
→ 売上金額
縦積み上げ
縦に配置
(英数字向き)
→ A
→ B
→ C
| 縦書き方法 | 日本語の表示 | 英数字の表示 | 適した用途 |
|---|---|---|---|
| 90度回転(縦書き) | 読みやすい | 横倒しで読みにくい | 日本語の項目名、見出し |
| 縦積み上げ | やや読みにくい | 正立で読みやすい | 英数字コード、型番 |
| -90度回転 | 下から上の縦書き | 横倒し(逆向き) | 特殊なレイアウト |
| 45度回転 | 斜め表示 | 斜め表示 | コンパクトな見出し |
縦書きを解除して横書きに戻す方法
縦書きに設定したセルを通常の横書きに戻したい場合、設定時と同じ手順で角度を0度に戻します。
対象のセルを選択し、右クリックして「セルの書式設定」を開き、「配置」タブの「方向」で角度を0度に設定するか、ホームタブの「方向」ボタンから「標準の方向」を選択します。
これで文字が通常の横書き状態に戻ります。
テキストボックスの縦書きを解除する場合も同様に、テキストボックスを右クリックして「図形の書式設定」を開き、「文字列の方向」を「横書き」に変更すればOKです。
複数のセルやテキストボックスをまとめて横書きに戻したい場合は、それらをすべて選択した状態で設定を変更すれば、一括で適用されます。
横書きに戻す手順
縦書きセルを
選択
ホームタブ→
方向ボタン
標準の方向を選択
横書きに戻る
縦書き設定の一括クリア方法
複数のセルに設定された縦書きを一気に解除したい場合、書式のクリア機能を使う方法もあります。
対象範囲を選択し、ホームタブの「クリア」ボタン(消しゴムのアイコン)から「書式のクリア」を選択すると、縦書きを含むすべての書式設定がクリアされ、標準の横書き状態に戻ります。
ただし、この方法では文字の色やフォント、罫線などの他の書式もすべて削除されるため、注意が必要です。
文字の方向だけを変更して他の書式は保持したい場合は、セルの書式設定から方向のみを変更する方法を選んでください。
部分的に書式を残しながら特定の設定だけをクリアしたい場合は、「形式を選択して貼り付け」の機能を使って、標準設定のセルから書式の一部だけをコピーする方法もあります。
| 解除方法 | 操作手順 | 他の書式への影響 |
|---|---|---|
| 方向ボタンで戻す | ホームタブ→方向→標準の方向 | 影響なし(方向のみ変更) |
| セルの書式設定 | 書式設定→配置→角度0度 | 影響なし(方向のみ変更) |
| 書式のクリア | ホームタブ→クリア→書式のクリア | すべての書式が削除される |
| 標準スタイル適用 | セルのスタイル→標準 | 書式が標準状態に戻る |
縦書きと横書きを頻繁に切り替える作業では、セルスタイル機能を活用すると便利です。
縦書きの書式設定を「縦書きスタイル」として登録しておけば、ワンクリックで縦書き設定を適用できます。
「ホーム」タブの「セルのスタイル」から「新しいセルのスタイル」を選択し、縦書き設定を含む書式を登録すれば、今後同じ設定を繰り返し使用できます。
また、縦書きにした際に文字が見切れてしまう場合は、「折り返して全体を表示する」設定と併用することで、セルの幅に合わせて自動的に行の高さが調整されます。
ただし、縦書きと折り返しを同時に使用すると、意図しないレイアウトになることがあるため、プレビューで確認しながら調整してください。
まとめ エクセルで縦書き(表:文章:セル内:横書きに戻す)にする方法
エクセルの縦書き設定方法をまとめると
・セルの書式設定:「右クリック→セルの書式設定→配置→方向」で縦書き指定、ホームタブの「方向」ボタンでワンクリック設定、角度を0~90度で自由に調整可能
・テキストボックス:「挿入→図形→テキストボックス」で作成後に縦書き設定、セル位置に制約されない自由なレイアウト、図形の書式設定から文字列の方向を変更
・文字の積み上げ:各文字を正立のまま縦方向に配置、英数字の縦書き表示に適している、配置タブの縦積みアイコンで設定
・横書きに戻す:方向ボタンから「標準の方向」選択、セルの書式設定で角度を0度に設定、書式のクリアで一括解除も可能
これらの方法にはそれぞれ特徴があり、表の種類や用途に応じた使い分けが重要です。
列見出しをコンパクトに表示したい場合はセルの縦書き、自由なレイアウトで文章を配置したい場合はテキストボックス、英数字を縦表示したい場合は縦積み設定が適しています。
ただし、縦書きを多用すると可読性が低下する場合もあります。
本当に縦書きが必要かを検討し、列幅の調整や文字サイズの変更など、他の方法も併せて検討することで、最も見やすい表を作成できます。
Excelの縦書き機能を適切に活用して、美しく機能的な表やレイアウトを実現していきましょう!